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今朝の濃い珈琲

作者: 無追 直

毎朝仕事前にコーヒーを淹れて飲む。それがここ10年来の習慣だ。


ネットワークに接続されたコーヒーメーカーは豆を挽いて抽出するまでボタン一つを押すこともなく毎朝仕事前の時間に動いてくれる。在宅で仕事をする私の行動を日々記録し、毎週月曜はミーティングの為に早く作業を始める私に合わせてくれる。


しかし今日は休日で淹れられるはずのないコーヒーがキッチンにあった。


独り暮らしの私の家には他にコーヒーを飲む人間もおらず、休日は専ら喫茶店のモーニング探訪をしているので家で朝にコーヒーを飲む習慣がはない。


誤作動かと訝しんでコーヒーを手にした、そしてそのコーヒーの香りに気が付いた。これはいつも平日の朝に飲むコーヒーではない。誤作動でなければ間違いなく私以外の人間が選択したコーヒーの淹れ方だ。


知らない間に設定が変わったのかと思いコーヒーメーカーを覗いた。タッチパネルを一頻り操作して設定が変えられたかを確認する。いや、そもそも操作することはこれまで無かった。分かったのはコーヒーメーカーの所有者として登録されているのが3年前まで一緒に住んでいた彼女だという事だった。


コーヒーメーカーは彼女と分かれる1年前あたりで誕生日の贈り物として半ば押し付けられるように貰ったものだった。彼女が淹れていたコーヒーの味そっくりのコーヒーに驚いたものだったがそれに馴れてしまい気が付かなかった。


おそらく彼女はどこかで同じメーカーのコーヒーメーカーを買い、そしてそれをまた誰かが、おそらく今彼女の隣にいる伴侶が使っているのだろう。そしてその伴侶の行動を学習して同期したのだろう。毎朝同じ味のコーヒーを飲んでいるに違いない。


ただ違うのは、その伴侶は「休日の朝に濃いコーヒーを飲んでいる」という事だ。

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