いざ魔術学園へ!
エマ・フリージアさんの見た目は、ほぼ八尺様です
「魔導の真髄は調和であり
その調和の質は対象への理解の深さである
つまりは、それが魔力の本質…
私は魔術師ではなく魔法使いなんだよ…」
と師匠はそう言う…これは極意だとドヤ顔で
しかし弟子の僕にはその意味がサッパリなのである
正直なところ彼女はいきなり答えだけを得意気に叩きつけ全く仮定を語らない人間なので弟子に何かを教えるのには向いていない
本人もそれは理解していたそうで僕に出会うまで弟子を一人もとってこなかったらしい
魔術界始まって以来の天才、鬼才、怪物、八尺さま?っと魔術界の生きる伝説として恐れられてきたが成人済みの魔術師が弟子を一人もとらないというのはこの世界では非常識扱いされ
後世に自身の魔道を伝える気が無い者として異端者のような誹りを受けることもあるほど対面のいい行為ではなかった
彼女はそんな周囲の目を知ってはいただろうが全く気にせず自身の魔道の探究に邁進する日々を送っていたそうだ…
しかしそんなある日、彼女は僕を偶然見つけ初めての弟子をとる…
僕は魔力燃料として闇市に陳列させられ
燃料としてその生涯を終えようとしていた
この世界では度々口減らしのために貧しい村々から魔力の多い子供が人買いに売られ魔力燃料として売られる事があり僕もそのうちの一人だったのだが
彼女はその場でただ一人だけ人間として僕を欲してくれていた
長身で背中まで垂らした黒髪が印象的な彼女は
恐ろしく美人で絶望の淵にいた僕でも目を奪われるほどだった
彼女は僕を買い取りそのまま家に連れ帰ると得意気に要件だけを叩きつける
「君はこれから私の弟子です…可愛い可愛い私の弟子…ぐふふ…これからは楽しくなりますよ~ぐふふ…ぐふふふふふっ…手取り足取り可愛がって上げますから楽しみにしていて下さいね…ぐふふ」と…
この時は風前の灯火だった命を救われ
物としてではなく人として扱ってくれたことに感謝していのであまり気にしないように心懸けていたが
正直この時に感動の涙がでなかったのはあまりにも彼女が残念美人で危ない人だったからだろう…
僕を師匠が引き取り弟子にしてから数ヶ月間、僕は意外とまともに魔術師の弟子としての教育を受けさせて貰えた
最初は弟子とは名ばかりの愛玩用のペットみたいな扱いで買われたんだろうと思っていたが
彼女は殊の外真面目で多少性癖の面で残念なところはあっても魔術に対し真摯に向き合い
またその道で自分の弟子と定めてくれた僕に対しても真摯に向き合ってくれていた
この頃からだろうか僕が彼女を師匠と呼び始めたのは…
それから暫くして師匠は僕に魔術学院への入学を提案し僕はその学院へ入学することになる。
「師匠…今日から僕は魔術学院の初等部に編入するということですが注意しなければならない事など何かありますか…?」
「簡単な事ですよシーザー…貴方が注意しなければならないのは女生徒です…!貴方は女性経験が皆無なのですからホイホイとついて行ってはダメですよ…?特に上級生には気を付けなさい…?あの年頃の女生徒は色恋に目が眩んだ亡者のようなモノですから…」
自分以外の同年代の子供とあまり接したことのない僕は緊張を紛らわすために師匠に語りかけ緊張をほどいて貰おうと期待したが返ってきた言葉は期待外れというかいつも通りというか残念な上に一番の危険人物は師匠だと思わせる残念回答だった
師匠からの助け船を早々に諦めて師匠と一緒に編入の手続きを行う事務棟へ向かうと運動場のようなところから怒号のような奇声が響いてきてた
「師匠…あれは何の声ですか…?」
「あれは、魔術決闘の団体競技でその円陣のかけ声ですね…これから試合をするのでしょう貴方も興味があるのなら観に行ってみるといいですよ…?
戦闘で魔術がどのように使用されるのか肌で感じるモノがありますから…」
師匠から軽く説明され魔術決闘に興味を持ちながら後で観に行ってみようと考え期待を膨らませているといつの間にか事務棟へ到着していた
「お待ちしておりましたエマ・フリージア様この度はお弟子様の編入を我が校に選んで頂き誠に光栄の極みです」
「こちらこそ…急な編入に対処していただきありがとう存じます」
普段の師匠からは想像出来ないようなマトモな挨拶を終えると事務棟の中にある一室に案内され編入に際しての契約書に自分と師匠の二人が各々でサインし正式な手続きを終える
「それではシーザー様こちらへ」
そういうと彼は手を二回叩いて事務棟の下働きを呼ぶと僕を初等部の教室へ案内するために貸し出してくれた「私のいないところでは下働きの者とは会話しないように」と師匠から注意されていたので黙って案内について行くと初等部の教室がある棟が見えてきた
遠目からは分からなかったが初等部の窓ガラスは絵画のようなステンドグラスで彩られとても綺麗な見た目をしていて一枚一枚に物語がある
おそらく何か魔術師に深く関わりのある伝説や物語なんだろうと考えているといつの間にか教室の前に着いていて下働きのものが教室の中へ伺いを立て許可を貰うと中に入るように促される
ガラガラと音を立て戸を空けるとそこには50人くらいの生徒がいて色々な表情でこちらを眺めていた
その多くは好奇心だったが中には敵愾心を感じる者が数人いた「初対面の自分に何でそんな顔をするんだろう」と不思議に思っていたが自己紹介の途中でその理由を知ることになる
「私の名前はシーザー・フリージア
エマ・フリージア様に拾って頂き育てられ内弟子として魔術を学んで参りました…途中からの特別編入という身ですが皆様に受け入れて頂けるよう努力していきたいと存じます」
「ふんっ…貴様があのエマ様の内弟子だと…?あの方はこれまで弟子を一人もお取りにならなかったのだぞ?それが聞けば貴様、魔力燃料として売られていた孤児だそうではないか…そのような卑しい身分の者にあの方の弟子を名乗る資格が本当にあると思っているのか?」
なるほどそういう事か…。
こう言った意見は僕が師匠の弟子として魔術を教えて貰っていた最初期からたびたび大人の魔術師には言われてきた言葉だった
魔術師は血統を重んじる者が多い…その理由は魔術師の才能が遺伝として受け継がれるからで
その才能によって魔術師の可能性は確定するそうだ
そしてそれは弟子入りに関しても同じで
魔術師にとっての弟子入りとは一子相伝の秘術を受け継ぐにも等しく、師弟間には魔力がある程度拮抗していなければそれらの秘術を受け継ぐことが出来ないとされている
そのため高名な魔術師には血筋のいい魔術師を弟子入りさせる事が通説だからだ
つまり魔術師達にとっては血筋が最下層の僕が
魔術師として最上位に君臨するエマ・フリージアの弟子だという事実は魔術師界の誇りを傷つけ
貶めるような受け入れがたい事実だったということだ
「貴様が本当にエマ様の弟子としての力量を持ちあわせているのか私が試してやろう…今から決闘だ!
我が名はレオナルド・ダイノス魔術界に多くの優秀な魔術師を輩出したダイノス家の次代当主である私が貴様の不義を暴いてやろう」
レオナルドの言葉でクラス内の空気が決闘に盛り上がり出した頃それまで成り行きを傍観していた魔術師の先生が大きく手を二回叩いて場を制す
「勝手な行動はそこまでですよレオナルド…
今は自由時間ではありません編入してきたシーザーの自己紹介をしてその後はちゃんと授業をしなければならないのです…でなければ減点評価を与えますよ…?」
「マリエラ先生…」
丁寧な言い方ではあっても厳しい雰囲気と圧力でレオナルドは口を噤んで態度を改めるとマリエラ先生は中断された自己紹介を促しそれが終えると授業を始めた
基礎魔術について容量よく説明し分かり易い授業がひと段落つくとマリエラ先生は少し脱線した質問を生徒達に問いかける
「皆さんは魔力というモノについてどのように認識していますか?魔力とは何なのか…何が魔力の強さに反映しているのか…?皆さんは考えたことがありますか…?」
「魔力の強さは血筋で出来まる…それ以外に答えはありません」
マリエラ先生の問いに即答したのはレオナルドだった彼はよほど血統に対してのプライドが強いのだろう頑なに血筋による優位性を絶対だと主張している
そんな彼をマリエラ先生は見透かすように笑ってこたえる
「レオナルド…この質問は貴方が普段から尊敬しているエマ様自身が私に向かって質問した問い掛けなんですよ…その答えが血筋なんていうつまらないモノだと本気でお思いですか?」
「どういう意味ですか…?」
「この質問の答えは私にも分かりません…ですがエマ様は理解の深さが魔力を生むと…そうおっしゃいました…意味は勿論分かりませんが少なくともエマ様の中では血統など魔力にとっては些細な問題だと考えておられるようですよ…?
それはシーザーを弟子としての迎えた事を見ても明らかでしょう…?それでもまだ決闘を望みますか?」
マリエラ先生の言葉にクラスの全員が驚き固唾を呑み込む
当然だろう魔術師での通説が血統を重んじている以上それに対する批判は異端であり罪に問われることは無くとも悪評や誹りを受けても仕方ないような意見だからだ
「決闘は行います…本当に血筋に関係なくその者がエマ様に実力で選ばれたというならこの身で確かめなければ納得出来ません…」
それを聞いてものすごく面倒くさいことになってきたと考えながら決闘を有耶無耶に出来ないものかとマリエラ先生に懇願するように目配せをしてみる
するとマリエラ先生はこちらに向かって微笑みかけた後レオナルドに向かって面白がるようにこたえる
「ふふ…よろしいでしょう丁度この時間の授業内容はすべて終わらせました…この余った時間の範囲であれば決闘を認めましょう…
実は私もエマ様の弟子の実力が如何程か興味もありましたし…」
「え?」
……………ん?今なんて?
僕は先生が言った最後の呟くような一言を聞いて理解した…この先生は始めから決闘を折り込み済みで授業を進行させていたのだ
レオナルドの勢いで授業を中断して決闘を行わせれば授業進度に影響が出る危険性があり
自由時間で決闘を行えば責任者であるマリエラ先生は責任を問われてしまう
その結果リスクを負わずに決闘を行わせられるよう
管理しやすい授業時間内にノルマを終わらせた後で決闘を行わせるようにマリエラ先生は展開を誘導してたんだ…
「それではシーザー健闘を祈ってますよ」
ハメられた…。
そう思った時には既に遅く僕は決闘場に足を運んでいた…プライドの為に気合い十分のレオナルドがこちらを凄い剣幕で睨み臨戦態勢に入っている
逃げられない処まで来てしまったと後悔しその後僕は腹をくくる
ここで負けるとこの先の学院生活はお先真っ暗だ…「卑怯な手でエマ様の弟子になった」とか「血筋の卑しい奴が同情を引いてエマ様の弟子になった」とか言われるだろうそれは何としても防がなければ…
「それでは今回の決闘のルールを説明します
今回は被害を出さずに時間内で終わらせることを重視いたしますのでダメージではなくヒットを勝利の条件とします!使える魔術は無属性のエネルギー魔法のみで、先に相手に魔法で攻撃を当てた方が勝ちというものにします」
マリエラ先生はルールを説明をすると同時に空間内のエネルギーを支配し調整する魔術の魔術式をくみ上げる
この魔術は指定領域内の最大ダメージを一定に縛る魔術でこれを使用した空間内で決闘を行えばどれだけ魔力を込めて影響範囲や魔力の質量を上げてもダメージは均一なので致死量のダメージにはならないというものだ
因みに縛られた一定量に満たない魔術は不発になる。
この魔術式を構築したのは師匠で
魔術決闘の殆どはこの式の応用で選手のケガが防がれているらしい。
「よし、準備はこれでいいでしょう
それではレオナルド、シーザー準備はいいですか?」
「は、はい…」
「問題ありません」
返事と共に指定フィールド内の術式が組み上がり始める
「ふん…残念だったなシーザーとやら…
この決闘は魔術の早さと精密さが勝敗の全て…つまり血筋による魔術回路の質がものを言うルール…野良の魔術回路しか持たぬ貴様には到底勝ち目は無い」
レオナルドの言う通りダメージ量ではなくヒット先取で勝敗を決めるこの決闘では球数の多さが勝敗の決め手で、球数を上げるには魔術を組み上げる早さはもちろん、その一定化された魔力量ピッタリにどれだけ近づけて魔術を組み上げるかで魔術の連射数も変わり
精密な魔力操作を可能にする魔術回路の質がイコールで球数に比例するので血筋のいい魔術回路持ちは有利の決闘といえる。
「マリエラ先生も貴様の事を気にしているとはいいながらやはりエマ様の弟子と思い上がる貴様を気に入らなかったようだな…」
フィールド内の魔術式が組み上がりマリエラ先生は開始の合図をした。
「はじめ…!」
開始してすぐにレオナルドの打撃魔術が飛んでくる。さすがに魔術回路の質は格別で同年代の魔術師としては数段早い魔術構築を行っている。
僕は少し遅れて打撃魔術に比べると簡易的な構築式で発動出来る防御魔術を組み上げ、すんでの所で飛んできた打撃魔術を防御する。
一回の対峙でもこのままでは防御魔術を組み上げるのが精一杯になりレオナルドの魔術構築スピードに押し負け敗北するのは安易に想像出来た…
レオナルドは勝利を確信したのかどんどん打撃魔術を連射していく。
「ふはは…どうした…?防御魔術を組み上げるのが精一杯で反撃出来ないのか?
これは勝負あったな…防御魔術が間に合わずこちらの打撃魔術がヒットするのは時間の問題だ…」
レオナルドは打撃魔術の構築スピードをジリジリと上げていきこちらの防御魔術の構築スピードを押し負かそうかという瞬間…
レオナルドの脇腹に打撃魔術がヒットする。
「うぐっ…!?
はぁっ?」
レオナルドの驚く声と共に周囲で見学していたクラスメイト達も状況を飲み込めず驚いた声が聞こえる
「え…何々…?
なにが起こったの?」
「あれってアイツが反撃したのか…?」
「でも防御魔術の構築で精一杯だったはずじゃ…」
そんな驚いた生徒たちの反応を余所にマリエラ先生の勝敗を決する声がその場に響く
「それまで…!
勝者シーザー」
その声で我を取り戻したのかレオナルドはマリエラ先生に抗議する。
「こっ…こんなのは無効だ…ありえない
アイツが不正をはたらいたに違いない…!
アイツは防御魔術を構築するので精一杯で打撃魔術を構築なんて出来る筈が無かった
何か魔道具でも使って不正をはたらいたはずだ!」
レオナルドのその意見に見学していたクラスメイト達の何人かがレオナルドの意見に賛成し不正だと言い始める
そんな生徒たちをマリエラ先生は呆れた顔で見つめ先程の決闘について説明し始める
「あなた達はそれでも魔術師ですか…?
先程の打撃魔術は確かにシーザー自身から放たれたものですよ…魔力痕を読めば明らかでしょう…魔道具なら魔道具独特の魔力痕になるではないですか…」
「でっ…ですがマリエラ先生…その者は防御魔術を構築するだけで精一杯でレオナルドの打撃魔術を防ぎながら反撃の為の魔術を構築する時間など無かったはずです…」
その意見に更に呆れた表情を強めたマリエラ先生はこちらに視線を向け説明をするよう僕に促す
「まったくあなた達は…
ならば本人に聞いてみましょうか…
シーザー君…説明して上げなさい…」
「わかりました…」
マリエラ先生が生徒たちにあきれ果てて説明すら面倒だというのが態度で伝わってきたので僕は説明を始める
「確かに僕は彼の打撃魔術を防御魔術で防ぐ事で精一杯でした…あのままでは僕が100%負けていたでしょう…
ですが、それは並行構築を行わなければの話です」
「並行構築…?」
その言葉を始めて聞く者が大半のようでその言葉の意味に対して疑問の声が響く
「並行構築とは言葉通り二つ以上の魔術を同時に構築し魔術を発動する技術の事ですよ…
これが出来たから僕は防御魔術でレオナルド君の打撃魔術を防御している間に反撃の打撃魔術を並行的に構築し決闘に勝利することが出来たのです…」
そう説明しこれで納得してもらえただろうと思った瞬間レオナルドが更に不満を強め意見を訴える
「貴様の様な野良の魔術回路しか持たぬ魔術師に並行構築など出来る分けがないであろう…アレはより繊細な魔力操作が求められる技術…血筋の確かな者でさえ熟練した魔術師しか扱えない超高等技術なのだ
この私ですら到底出来そうもないというのに防御魔術にすら時間を使う貴様にその様な真似が出来る訳がない…!」
レオナルドは並行構築を知っていたらしくこちらがそれを使えるという事が信じられないらしい
そんな中さすがに見かね果てたのかマリエラ先生がレオナルドに説教をしはじめる
「レオナルド…何も魔力操作の力量が全て魔術回路の質で決まる訳では無いのですよ…?
簡単な話、魔術回路とは運動神経の様なものです、運動神経がよければ反応速度や感覚の鋭敏さが上がるのと同じように魔術回路の質の良さは構築速度や魔力感知の鋭敏さが上がるといもの…
確かにそれが良ければ並行構築の助けにもなりますが並行構築とは魔術の同時構築を行うのでそれぞれの魔術式が混ざり合わない様に魔術の構築式を強くイメージする事が出来なければなりません…並行構築にはむしろこちらの能力の方が大事なほどです
なのでハッキリ言えばこの部分さえ出来ていれば並行構築は可能という事…
シーザー君はこの魔術式のイメージ力が群を抜いて得意という事です
今回の敗因はあなた自身が血筋による恩恵を重視し過ぎ、それ以外を軽んじ過ぎた慢心が生んだもの…これを反省しこれからは血筋というものに固執し過ぎ無いようになさい」
「…………っ
分かりました」
不服そうにはしながらもレオナルドは自身の落ち度を認めさらに僕への謝罪をしてくれた
「悪かった…今回は私の負けだ…だが次は油断しない…覚悟しておけ…」
正直これっきりにして欲しいなと思い「機会があれば…」と遠回しのお断りの言葉で流しておく
そのあとすぐにマリエラ先生は後片付けを行うよう指示を出し授業は終了し
その後は、決闘騒ぎで血統による偏見などはある程度落ち着いたのか表面化した問題などは特になくその日の抗議は全て終えた
恐らく生徒達の敵愾心から僕をある程度守る予防線を張るまでがマニエラ先生の中では織り込み済みであったのだろう…そう思うと今後1番敵にまわしてはいけないのはマニエラ先生のような気がしてきた
そんなことを考えながら帰り支度を済ませると何かを察したのかマニエラ先生から声をかけられる
「シーザー君何か失礼な事を考えていませんか?」
「い、いえ…そんなことは…ただ今日の一件で先生にはお世話になったなと考えていただけですよ」
「そうですか…」
やや疑うような目でジトッと見つめられながら僕は作り笑いで誤魔化すとマニエラ先生はこう続けた
「今回に関してはアナタの運が良かっただけでしょう…レオナルドは普段であれば良き生徒です
真っ先に敵対したのが彼であったからこそ今回のような決着を迎えましたが中には扱いにくい生徒もいますので拗れていた可能性もありましたしね
権力者でりながら裏表がないのは彼くらいのものですしレオナルドとは仲良くしておいた方がいいでしょう
貴方の立場は、あらゆる面で危うく利用したい輩は多いでしょうから…」
暗に今後起こり得る危険性を指摘された僕は、平穏無事な学園生活への道のりの険しさに戦慄し胃が痛くなった
前向きな反応があるとモチベーションが上がるのでよろしくお願いいたします!