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状況把握
多門の弓は冴えに冴え敵の数を減らして行くが、矢が尽きかけていた。
仕方がないとばかりに、竹崎の騎馬の元まで駆け寄り声を掛ける。
「竹崎殿!なぜ五騎ほどの手勢で、この数に攻めかかったのですか?」
当然の疑問を投げかける。
すると、竹崎は悔しそうに、
「元々は赤坂の敗走兵を追撃しただけだ。
すると、突然、陣もないところで左右から新手が現れ、儂と他四人が分断されたのだ。」
(なるほど、向こうのほうが一枚上手だったということか・・・。)
その言葉を聞いた多門は、面倒なことに首を突っ込んでしまったと後悔していた。
「竹崎殿!私が敵を引き付け、弓兵を叩きますので、貴殿は騎馬で強引に突っ切ってください。」
そういうと、弓と残り少ない矢を地面に置き太刀に手を掛けた。
「山科殿すまぬ。この手槍を置いていくので使ってくれ。」
そういって、馬に付けていた手槍を置いて前方に駆け出した。