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誤算
二人を切り飛ばした刹那、振り返ると左側の二人の矢の照準が自分に向いていた。
(撃ち落とすには近すぎるな)
そんなことを考えていると、
「多門殿、後ろだ!」
とあの男の声が聞こえた。
その声に反応し再度振り返ると切った男たちと岩の隙間から小柄な男が自分を狙っていた。
(少年?まさかもう一人いたのか・・・。)
完全に誤算だった。
通常混乱してもおかしくない状況でも多門は迷わなかった。
より距離が近い小柄な男に一足飛びに近づき心の臓を太刀で貫き、身を翻してその男を盾に矢を防いだ。
ザシュ!!
そのまま射ったばかりの二人に切りかかろうと踏み出した刹那、足元に槍が突き刺さった。