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謎の武器
それを聞いても男は笑いながら続けた。
「そうは言っても、あの射程の長い強弓があり、接近されても太刀術があるから敵などいないのではないないか?
文句をいう輩は僻んでいるだけでろう。」
多門は、何も答えず、立ち上がり砂を払った。
遠くから、聞いたこともない爆音と馬の嘶きが聞こえてくる。
「何かあったのか?」
ひとり呟く多門に、男は東を指さしながら声を掛けた。
「煙が上がっているぞ?火矢のたぐいか?」
その言葉を聞きあきれたように聞き返す。
「火矢が爆発するのか?」
そう言うと、男に見向きもせず、音のするほうに走り出した。