想像という理想
「誰かーッ!誰かいないのか!!」
状況を理解できない。
今まで渡った世界は理想的で、
そうでなくても元と変わらない場所で
今俺がいる此処は、まるで戦争でも起きた様な世界で......。
幾重にも連なる並行世界にはこんな判断をした世界があり
元の世界が、堪らなく恋しくなった。
人の息遣いが、聞こえた。
走っている様な、そんな声。
俺は夢中だった......淋しさからか誰でもいいと走った。
瓦礫の山を登ると俺の方へ走る親子が見える。
人がいた......そう思った瞬間、博打みたいな音が聴こえた。
母親が倒れ子供がうずくまると、さっきと同じ音が
見た事のない服を着た兵士?が俺を見る。
本能だろう......逃げなきゃいけないと。
山を降りようとした時足がもつれ転げ落ちる。
痛みに耐えそれでも逃げようとしたが
兵士はすでに瓦礫の山の頂上にいた。
何度も殺された......その度に感じた恐怖。
でも、この恐怖は......。
走る音。
瓦礫の中を器用に駆け抜ける。
頂上の兵士に一気に詰め寄ると顎先に銃を突き付けた。
「こいつは、俺のモノだ。」
引き金をひき兵士は崩れ落ちた。
黒フードの男『アイツ』が俺を助けた。
「......馬鹿が、何も想像しなかったのか?」
俺の元へ歩みよる。
「お前......何なんだよ、この世界!?」
「思い描かないから、目的地が定まらなかった。」
「思い描く......目的地......?」
「考えた事ないか、何故こんな事を思うのだろう?何故あんな事を夢見るのだろう?それは、全て別の世界の出来事だ。」
「......なんだよそれ......。」
「想像だ......お前が想像する世界は全て存在する......そして、それを頼りに俺達は渡る。」
自殺する前、ロックスターを夢見た。
その後渡った世界でめぐが殺され
俺はめぐと共にいる世界を想像した。
次は妹のあきを想像して
『アイツ』に殺された屋上では、何も考えていなかった。
「......俺が......想像する事が......カギなのか。」
俺の額に銃を当てる。
「一回ムダにした......さぁ、想像しろ。」
撃たれる直前、想像した。
めぐとの......幸せ......。
「パパ!!」
子供が、俺をそう呼んだ。




