彼女の決断
めぐ......。
思いがけず聞く名前。
混乱していた......俺と同じ様に......こんな。
「......何故、私なの?」
今にも撃ち殺そうとしている人間に美咲さんは問う。
「私の話を聞いて、貴方は判断をした......それはまるで、私の答えが渡る為の判断基準の様ね。」
「......並行世界は簡単な選択で生まれる。だが、時に大きな選択で生まれるモノがある、それは人類全体の選択の様に、全く違う世界を創造し作り上げる......。」
ふと思い出した。
以前美咲さんに言われた「核兵器を造るか造らないか」アレだ。
「つまり、私の判断はそういうモノなのね。」
「あぁ、『特異点』なんだよ。」
銃を握り直し照準を俺に向けるが、やっぱり何か変だ。
額から汗が流れ、血色が悪く、少しふらついている。
「......それは、前の世界から?」
美咲さんの目線『アイツ』の足下、血だ......。
取っ組み合った時に、俺が......撃った......。
「......気にすんな......。」
『アイツ』は笑ってそう言うと、俺を撃った......。
8つ目の世界......何かが違う......。
何時もなら、瞬きの様に一瞬だが......遅い。
暗い部屋に閉じ込められたように......。
やがて、それも終わった。
止めどなく流れて来る......俺の......『アイツ』の?
映像が目まぐるしく変わり、その全てが光にのまれた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
割れそうだ......頭が......脳が............。
呼吸さえ苦しく、限界なんだと覚らされた。
......俺の部屋......。
リビングには誰も居なかった、人のいない世界......?
とっさにテレビを点ける、昼のニュースが流れた。
《続いてのニュースです。世界中で相次ぐ謎の脳死症状はウィルスによる物なのか............》
人のいる世界、外の喧騒、不協和音でさえ、ホッとした。
死ぬ瞬間、めぐを思い出した。
こんな思いさせられないと、その為には『アイツ』の求めるモノ。
美咲多江子を......想像した......。
「ここで、終わらせる。」




