溶ける謎
俺はこれまでの事を話し彼女の言葉を待つ。
「この世界は幾つ目?」
煙草に火を点け、煙を燻らせる。
元の世界、ロックスター、めぐ、あき、戦争、子供......。
「......7つ目です。」
「身体の変化は?」
「特に......でも、頭痛が。」
「......そう......これ以上渡るのは危険ね。」
頭痛、確かに渡るたびに酷くなったが原因も分からなかった。
「簡単に言えば、渡った世界の記憶を受け継ぎ、脳の容量が足りなくなっている......このまま続ければ、破裂する。」
記憶の受け継ぎ、覚えはあった。
知らない人の名前を知っていたり
行った事のない場所に行ける。
「......あと何回ぐらい......。」
「平均は10回。」
『アイツ』が来た。
椅子に腰をおろし体調がすぐれないのか
何時もの雰囲気とどこか違っていた。
「10回って、何でそんな事分かるんだ!?」
「彼はずっとそうしてきたのよ......おそらく、別の世界の貴方を......違うわね、『自分』を使って。」
笑いながら黒いフードを上げると現れたのは
「......俺......。」
額から右目の下まで大きな傷痕があったが
それは間違いなく、俺だった。
「俺が......何で......?」
「......並行世界を渡る為にはコレが必要。」
懐から出したそれは携帯ぐらいの大きさをした機械。
「こいつは時空間を圧縮し扉を開かせる物だ......だが、これは扉を開くだけの粗悪品で、何処に行くのか分からなかった。」
美咲さんが口を開く
「そして、それを扱える人間は限られていた。」
「さすが美咲多江子、正解だ......場所の特定には何故か、扱える人間の想像と死が必要だった。」
死と想像、だから俺は何度も......。
「研究の結果、扱える人間は世界人口の僅か2%。」
「それが、貴方達......。」
「じゃあ!!お前だけで渡ればいいだろ!!」
「さっきの話よ、渡る度に脳の容量を使いダメになるのを防ぐ......その為の人柱として、他の世界の自分を使う。」
「正解。」
「なんだよそれ!他の世界って言っても、俺自身なんだろ!」
『アイツ』は俺を睨み付ける。
「......俺は他の世界の自分を見て驚愕したよ、裕福でなに不自由なく育ち、アホみたいな悩みで頭を抱え、クソみてーな事で笑うお前らを!!!」
怒り、憎悪、どんな世界を生きて......。
「だから、決めた......俺は俺を殺して世界を渡る。」
俺は......俺に殺されていた。




