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最後の隣人


走るしかなかった。


人の陰を探して、痕跡を探して......。


聴こえるのは自分の息遣いだけだった。



美咲多江子。


死ぬ直前に想像した人。


なら、この世界にもいるはず......。




もう何度その扉をノックしたか覚えていない。


「......失礼します。」


彼女の姿はなかった。


机の上、資料が散乱していて(おもむろ)にそれを取る。


「......粒子加速器......。」


前の世界で見た経歴で、事故により死亡と書いてあった。


彼女はそこにいる......。



後は場所の特定だけだった。


ここに居たのなら何かを残しているはず......。


『OKI製薬会社』


一枚のメモ、その端に書かれた文字。


「......ひょっとして。」


賭けだった。


もしかしたらという思いだけで、その場所へと向かう。




たどり着いたそこは、ガラス張りのアーチ線上、未来的な建物。


地下へと続く階段を降りて行く。


期待や不安、恐怖や希望......。


もう俺の心は不安定だった。



最下層、扉を隔てた先に見える巨大な機械。


姿はなく、辺りを探していると


音が聴こえた......。


歩く音、ハイヒールの音......。


振り返ったそこに彼女はいた。


「......美咲さん。」


一瞬戸惑った様に見えたが、落ちつきを取り戻し話す。


「説明して。」


小木真左廣(おきまさひろ)


彼女に殺された日、教えてもらった名前。


意味は分からなかったが、次の世界の彼女に通じた。


この世界でも通じるのか......。


その名前に苛立っている様に見えた。


「......誰、いえ、どの私に聞いたの?」


通じた、彼女には分かったんだ。


「その人が誰なのかは聞いてません、けど、別の世界のあなたに言えば、その後の話しがスムーズになるって......。」


「......父の名前よ。」


「えっ?それだけで、信じるんですか?」


「知っているのは私と母だけ、母は亡くなりその名前を一生涯口にしないと決めた......私以外の相手に。」


「それって......。」


「別の世界へ渡った時の合言葉......でも、渡る事が出来たのは私ではなかったし、合言葉としては成立したかしら。」


「訊きたい事が山ほどあります。」


これまでの事、この先の事、答えが欲しかった。


『アイツ』が何を狙っているのか?


俺が何故、並行世界を渡れるのか?


疑問が解ける様な、そんな期待をしていた。




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