僅かな抵抗
止める方法なんか思いつかない。
解決方法なんか、何もない。
もう、嫌だ......もう、渡りたくない......。
家路の途中スーパーに寄る。
時刻は18:30、夕飯の買い物には遅すぎた。
「怒られるかも......。」
日は落ち、辺りが暗くなり『アイツ』は現れた。
「ヒデー顔だな。」
「......もう、やめないか?」
「やめたとして、どうなると思う?」
考えてなかった。
今俺がやめたら元の世界に戻るのか、それとも。
「お前という存在は色んな世界にいる......だが、既に存在しない世界もある。」
「どういう事だ。」
「簡単さ、死んでる世界だ。」
死んでる......存在を赦されない世界......。
「だから、お前は渡るしかない、存在を受け入れる世界に。」
「なら!此処で!!」
「それはダメだ、俺の目的が成せないからな。」
銃を突き付け撃とうとした瞬間、俺は飛び掛かった。
予想していなかったのか『アイツ』は銃を手放し倒れる。
俺は銃を拾い上げ『アイツ』に向けた。
「なら、終わらせる。」
銃を構えるが撃てない......。
「殺される事には馴れても、殺す事は出来ないか?」
「......教えろ!お前の目的は何なんだ!?」
『アイツ』は少し考え言葉を選ぶように話し始めた。
「より良き世界......より良き俺の居場所。」
「なんだよそれ、答えになってないだろ!」
「......だが、それが答えだ......お前には理解出来ないさ。」
俺は銃の引き金に指を掛け語尾を強め訊く。
「俺達にとって最善の判断があるはずだろ!!」
「......ないな、少なくともお前には。」
『アイツ』の踏み込みが距離を一気に縮めた。
迷う事なく俺に掴みかかった時、引き金をひいた。
銃を奪いとられ『アイツ』は俺に言う。
「美咲多江子......あの女が、全てだ。」
撃たれた俺は意識を失う瞬間
『アイツ』の腹から流れ出る血を見た。
またか......
結局防げなかった......
他にも手はあったはずなのに......俺は......。
「う!あぁぁぁぁぁぁぁぁ......!!!」
強烈な頭痛で目を覚ます、今までの非じゃない痛み。
割れる様な痛みが治まり辺りを見回す。
スクランブル交差点の真ん中、日が眩しいくらいの時間。
車の音も、電車の音も、人の声も、何も聴こえない。
異様な静けさ、人のいない世界




