僕は_
シャーロット公爵家は僕の家とは程遠いほどの輝きだった。
屋敷のベルを鳴らすと、一人の少年がこっちにかけてきた。
「トリア!」
「レオっ!」
輝く銀髪に深い青色の瞳を持つ少年。
「今日は妹をよろしくね!呼んでくるから!」
背を向けて奥へ走り去っていくレオ。
確かフォルツの婚約者候補だっけ。
傲慢で我儘で高飛車。三連の令嬢なんだよね。
「お初にお目にかかりまs_」
元気かつ鈴を鳴らすようなかわいらしい声が響いた。
僕は声の方を向き息をのんだ。
女の子・淑女に免疫のない僕でも見とれてしまった。
レオと顔立ちの似た、あどけないが凛とした輝きを持つ令嬢。
夫人に似た、絹のような淡い金髪の髪を下ろし、レオとよく似た大きな瞳を僕たちに向ける。
瞳も、サファイアをそのままはめ込んだような美しく曇りない美しさ。
真っ白な頬がほんのり桃色に紅潮している。
「お初にお目にかかります。シャーロット公爵が娘 アリスリア・シャーロットです。」
そして空色のワンピースの裾をつまみみごとなカーテシーを披露する。
さすがフォルツの婚約者候補だ。
でも、性格の悪さはわからない。
僕が考え込んでいると、
「え~っと。お初にお目にかかります!アリスリア・シャーロットです!アリスって呼んでくださいっ!」
とはじける笑顔を僕に向けていた。
僕もハッとして頭を下げる。
「あ!あっ!申し訳ありませんっ!僕、緊張して_マルス侯爵が息子 シュトリア・マルスですっ!
僕のことはトリア。と呼んでください」
と。
また僕の人見知りが...と下を向いていると。
「はい!敬語でなくともいいですよ?なんか1歳しか歳変わらないのに不自然ですよね?」
と、またも微笑んできた。
やっぱり噂はデマだった。
彼女は可愛い年下の令嬢だ!
僕の顔には笑みが浮かんだ。