未来を変えるためにやってきた奴等とSF警察。
「俺はホーモネーターだ。今からお前をホモにする」
行き付けの小学校のプールを覗いていただけの善人トムはいきなり出現した屈強なイイ男にそう告げられた。
「な、何なんですか!? いきなりそんな……アッー!」
イイ男の放った銃弾でシャツを破られ、ズボンを爆破されたトムは貞操の危機を感じ白ブリーフ一丁で逃走を開始した。
「逃げても無駄だぞ。お前を容赦無くホモにする」
盗んだママチャリで追いかけてくるホーモネーター。逃げるトム。ママチャリは最新の電動式でホーモネーターの脚は軽い。
いよいよ追い付かれて万事休すかと思われたその時―――
「アッー!」
ホーモネーターのケツに汚い銃弾が撃ち込まれた!
パツキンでネームーカイデーな姉ちゃんが火縄銃を構えて立っているではないか!
「誰だか知らないが助かったぜ! 俺は小学校のプールを覗いて悦に浸ってただけなんだ!」
トムが助けを求めると姉ちゃんは火縄銃をトムに突き付けこう言った。
「私はユーリー・ユリスキーよ! あなたが自暴自棄になって百合界に来るのを阻止するために未来からやってきたのよ! 死んでもらうわ!!」
なんと、この姉ちゃんもトムを殺しにやってきたのだった。ホーモネーターとユリスキーから必死に逃げるトム。近くにあった警察署に転がり込むと警察官のズボンにすり寄り鼻水を擦りつけ命乞いをした。
「助けてくれ!ホモ野郎とユリ女に命を狙われてるんだ!」
だが警察官は微塵もトムの話を信じてくれない。諦めて別の場所へ移動しようとしたトムに向かい、警察官が声をかける。
「待ちたまえ、君。もしかしてこのくだらない作品をジャンル:空想科学(SF)に投稿しようとしているんじゃないかね?」
見ると警察官の胸に“SF警察”のバッヂが!
「この犯罪者め!ジャンル詐欺でターイホだ!」
なんと、SF警察までもがトムを追いかけ始めた。
トムをホモにしようとするホーモネーター、トムが未来で百合に染まる前に殺そうとするユリスキー、そしてジャンル詐欺を過激に取り締まるSF警察! みながトムを追いかける!
トムが必死に逃げて道路に飛び出したところに―――
「ブロロロッー! 危ないッー!」
転生トラック(二トン車)が突っ込んできてトムは轢かれて腸が横腹から結構はみ出た。こうして世界は救われたのである。
「……いでぇ」
「…………いでぇよぉ!!」
慌てて腸をしまおうとするが腹圧で上手くしまえず、少しはみ出たままのトム。ハーミデーターの誕生である!
「なっ! コ、コイツ……腸がはみ出たままだぞ!?」
「ほ、本当だわ!!」
固まるホーモネーターとユーリネーター。トムは気合で逃げようとするが腸がブラブラと下がってきて上手く走れずにいた。
「これは……ツッコんだら負けなのか……!?」
焦るホーモネーター。すかさず追い打ちを掛けようとするユーリネーター。SF警察は自販機の下を弄るので忙しい。
「……いや、ツッコんだら負けるなら…………突っ込まれれば良いんだな!!」
ホーモネーターは速やかにズボンを脱衣しトムの腸を掴んだ!
「な、何を……!?」
トムは正しく断腸の思いで問い掛ける!
「お前の腸と俺の(直)腸を結合させる……!!」
「そ、それに何の意味があるんだ!?」
「これでお前をホモにする!!!!」
「なるわけねぇだろ!!」
ユーリネーターが後ろから跳び蹴りをかまし、ホーモネーターを時空の彼方へと放り込んだ。
「大丈夫か?」
「す、すみません……」
トムに肩を貸し病院へと歩き出すユーリネーター。その優しさにトムはユーリネーターが好きになりそうになった。
「これ治ったら……俺と美味しいケーキの店に行きませんか?」
「ゴメン、私女の子としか行かないんだ……」
トムは呆気無くフラれた。ユーリネーターは女の子としか付き合えないのだ!!
「……ならば…………俺も女になる……!!」
トムはオネェになる事を決めた! ターミオネェーターの誕生である!!
「いい加減にしろ……!!」
SF警察が空中元彌チョップでユーリネーターを時空の彼方へと放り込む!
「残り字数も殆ど無い! 早くこの宇宙船に乗り込んでSFしろ!!」
「えっ!? えっ!?」
腸がはみ出たまま宇宙船に押し込まれ、宇宙船は青白い光とハム音に包まれながら時空の彼方へと消えていった。
「よし、これでノルマ達成だな…………」
SF警察は再び自販機の下を弄りだした…………
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