第8話 力の本質
遅くなりましたが8話の投稿です!
9.10話は頑張って早く出したいと思います。
本日2度目のゴルドー宅へ辿り着く。
ベルを鳴らすと今回は待つことなく扉が開かれた。
「おう、ノクト待ってたぜ」
「教官、お邪魔します」
ノクトは再び先程のテーブル席に座りお茶を貰う。
ゴルドーは真剣な顔をしながら席についた。
「ここからは俺とお前だけの秘密だ。
俺は誰にも話さないし答えられないことは答えなくてもいい。だが話せるのなら正直に話してくれ。
お前のその力はなんだ?」
「すみません、教官。
その事については話していいのか分かりません。
ただ、制限をされていないので話せるのであれば教官に相談にのっていただきたいです」
「話せるのか話せないのかは自分では判断できないことなのか。本当にどういったものなんだ…」
実際ホーラには口止めはされていなかった。
だがそう易々と話していい内容ではないと思ったため、ノクト自身でどこまで話していいのか悩んでいた。
また、自分が転生したことを知られることで避けられるような事にはなって欲しくなかった。
ゴルドーがそこまで薄情な人ではないと分かっているが怖かった。
「教官、俺が何者であったとしても変わりませんか…?」
「変わらん、お前はなんであれノクトであろう」
「分かりました。では俺の知っていることを話させてもらいます」
部屋がとても静かになる。
ゴルドーはノクトの次の言葉を待っていた。
ノクトは乾いた喉をお茶で潤し話す決意をする。
「俺は転生者なんです」
ゴルドーは少し沈黙の後、口を開く。
「すまんノクト、転生者とは一体なんなんだ?」
ノクトはこの世界に『転生』という言葉が無いことを悟った。
そしてどう説明していいか悩む。
異世界で死んで生まれ変わったらこの世界に居ましたとか信じてもらえるのだろうか。
でも説明するだけはしてみようと試みる。
「信じてもらえるか分かりませんが、俺は異世界で1度死にこの世界に生まれてきた。という事です。
異世界というのはこの今生きている大陸や国という訳ではないです。
ここには存在しない国で死んだんです」
「なんと…!信じ難いことだな…
だがお前が嘘をつくとも思えん。
きっと俺が考えている事よりももっととんでもない事なんだろう」
「信じてくれるんですか…?」
「当たり前じゃないか!
確かに俺には理解が追いつかない話だが、お前が俺に嘘をついてどんな利があるのだ。
だが教えて欲しい。お前は死ぬ前はどんな生活をしていたのだ?」
信じてもらえた事が嬉しかったノクトはゴルドーに光俊として生活していた時の話をする。
衣食住や文化の話、娯楽、そして学校。
友達だった智也と彩奈のこと。そして自分の最後を…。
「そうか、そんな事があったんだな」
「けど教官、自分が転生した事についてはつい最近まで自分でも知らなかったんです。ですが潜在的には自覚していたみたいなんです。転生した事を教えてくれた神様に口調などを指摘されました」
ノクトは苦笑いしつつ言う。
ゴルドーは納得したように笑い出す。
「確かに口調や態度は子供のものとは思えないものだったな。
いや、それを聞いて妙に納得したぞ」
「そんなに変でしたか?
自分では全然気づかなかったのですが」
「そうだな、その歳でなければ変ではないが歳不相応ではあったな。
それでだ、身の上話は分かった。
本題だ。その圧倒的な力については話せないのか?」
「いえ、ただその事について話す前に1つおはなししたいことがあります。これは力について話す前に話しておきたいです」
「なんだ、話してみろ」
「はい、実はこの力に関してなんですがあまり自分でもよく分かっていないんです。
だから自分でも分かってる事しか話せません。
それでもいいですか?」
「あぁ、構わない話してくれ」
「分かりました。
まず神様から与えられた恩恵は今のところ2つです。
1つは身体能力が他の人よりも高いことです。
これについてはどれくらい高いのか自分でもよく分かってないです。
2つ目は身体強化魔法が使えることです。
こちらはまだ俺自身もほぼ分かっていません。
これから色々試していこうと思ってますが、完全に扱えているわけではないです。
分かっているのは発動条件くらいですね…
自分でもどこまで出来るのか全く分かっていません」
「ま、待ってくれ…色々衝撃的な事実なんだが…
そもそも魔法とはなんなのだ…?」
「俺もこの世界で生活して魔法という言葉を聞いたことありませんでしたが、やはり無かったんですね…
魔法とは簡単に言うと人間には普通出来ないことを可能にする術です。
俺のいた世界では魔法とは人の手から火を放つなどの特殊能力を指していました」
「ふむ、まだ実感は出来ないが要するに魔法が使えれば他のものよりも強いということだな?」
「はい、その解釈で問題ないと思います」
「なるほど…な…。
ではノクトよ、これから魔法を更に把握するために修行をするのであろう?
これはダインとしっかり話し合ってからにして欲しいが俺はお前を1人で外に出ることを許可しようと思っ う」
「本当ですか!?」
ノクトは衝撃な言葉を聞き立ち上がる。
ゴルドーは興奮するノクト宥め話を続ける。
「実力は十分だ。だがお前はまだ8歳なのだ。
しっかり両親の許可を貰ってからじゃなければ許可することは出来ない。
今日家に帰ったらダインとレイアに話すんだ。
許可を貰えるようであれば2人のどちらかでも言い、修練の時に連れてきてくれ」
「分かりました!」
ノクトは興奮から落ち着くことなくもう外に出ることで頭がいっぱいであった。
「外に出られるからと言って油断してると痛い目に遭うぞ?
それに強さは過信するな、過信こそ最大の敵となる」
ゴルドーが顔を険しくしノクトに忠告する。
ノクトは我に返り気を引き締める。
「すみません教官、浮かれすぎていました。
まずは親ときっちり話してからにします」
「そうだな、今日は遅いしそろそろお開きとしよう。
また詳しい事が分かってら教えてもらえるか?」
「はい!しっかりと修行をして自分の中で及第点に達したら教官にも見てもらおうと思います」
「頼むな、では外も暗いし家まで送るぞ」
「ありがとうございます。お願いします」
ノクトはゴルドーに送られ家へ帰る。
帰り道ではノクトの知っている魔法がどんなものかを話しながら帰った。
「ただいま」
「おかえりぃー、お兄ちゃん!
遅いよーあぶないよ?こんな遅くに帰ってきちゃダメなんだよ?」
ユメアが飛びつきながら出迎えてくれる。
それを抱きとめ頭を撫でてごめんねと言う。
「ユメア、これから父さんと母さんに話があるんだけど2人とも居間にいるかな?」
「うん、いるよー!ユメアも行くー」
ノクトはユメアと一緒に居間に入る。
ダインとレイアはデーブル席に座りながらお茶を飲んでいた。
「父さん、母さん、ただいま」
「あらノクトおかえり、遅かったわね。
ゴルドーさんと何か重要な話だったの?」
「ノクトおかえり。真剣な顔をしてどうした?」
ダインとレイアがそれぞれに話ノクトは2人の前に座る。
「うん、大事な話があるんだけど…。
ゴルドー教官から1人で外に出てもいい許可を貰ったんだ」
「なんだと!?
その歳でもう1人で外に出るだと!?
危険すぎる、いくら鬼熊を撃退したからってゴルドー教官もいたのだろ?
流石に1人はまだ早い、先日だって角兎1匹にもそれなりにかかってたじゃないか
ゴルドー教官は何を考えているんだ」
「そーよ、まだノクトには早いわ。
修練の様子は聞いているし強いのは分かってるつもりよ?
でもまだ早すぎるわ、もう少し技術も体力も上がってからでもいいんじゃないかしら」
当然のように2人は否定をした。
しかしノクトは全く諦める気は無かった。
「2人が心配するのは当然だと思う。
だから俺の力を見て欲しい。
やっぱり1番分かりやすいのは外に出る事だと思うから明日の修練の後時間を貰えないかな?」
ユメアが心配そうな顔をして服を掴んでくる。
ノクトはユメア撫でると再度ダインとレイアを見る。
2人は目を合わせながらお互いの気持ちを確かめるように頷く。
「分かった。
お前がそこまで言うなら見せてみろ。
だが、ゴルドー教官にもついて行ってもらおう。
その上で3人で判断する。それでもいいか?」
「うん!ありがとう父さん。
じゃあ明日、修練が終わった後に教官も連れてくるね」
「ねー、ユメは?
連れてってくれないの?」
「ユメアは危ないからお留守番かな?」
「いや、ユメアも連れてくぞ?
流石に1人で留守番させるのは心配だからな。
それにこれはノクトの実力試験にも繋がる。
俺たち4人を護れない実力なら外に出る事は許すことは出来ない」
「分かった。ユメアも行けるって。
絶対にお兄ちゃんが護るからな」
「ほんとー!?
やったー!みんな一緒におそと♪おそと♪」
ユメアはウキウキしながらノクトの膝に座る。
再度ユメアを撫でながら、明日の事に思い耽るのだった。
お読みいただきありがとうございました!
そろそろノクトは魔法と向き合うことになっていきます!
次回もお楽しみに