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剣術世界の魔法剣士  作者: れお
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第7話 秘密

中々話が進まない!


ゴルドーさん大丈夫なんでしょうか…



ゴルドーの家へと着いた3人はベルを鳴らす。


「おぅ、少し待っててくれ」


家の中からドタバタ聞こえる。

直ぐに音はなくなり、ドアが開いた。


「お待ちどうさん。

ってノクトじゃねーか!良かった起きたのか」

「はい、ゴルドー教官が気を失った俺を運んでくださったそうで…

ありがとうございました。」

「いや、あの場はノクトが居たからこそ乗り越えられたんだ。

礼を言うのは俺の方だ、ありがとな」


ゴルドーが手を差し出し握手を求める。

ノクトも手を出し握手をする。

そのままゴルドーはノクトを引き寄せ耳打ちをする。


「後で話がある。3人で帰ったあと1人でこい」


ゴルドーは離れると3人を入るように促す。

席で待ってるように言い片腕で器用にお茶を入れだす。


「何かお手伝いする事ありますでしょうか?」

「心遣いありがとう。だが片腕で生きる訓練も含んでいるんだ。構わず座っててくれ」


ノルンが席に戻り、3人でゴルドーを眺めている。


「待たせたな」


ゴルドーは1つずつお茶を運び今の生活を話し始める。


「ノクトが寝ている間俺は衛兵長の座を降りることになった。だが、まだ教官は続けるから明日からの修練ではビシバシやるからな」

「あはは…、お手柔らかに…」


ゴルドーが笑っているとタニアとノルンが何かを聞きたそうにしていた。


「どうしたの?二人とも」


ノクトは何気なく聞くと2人は質問をし始める。


「ノクトって修練ではどんな感じなんですか?」

「ノクト君が鬼熊(オーガベア)を撃退したって本当なんですか?」

「修練ってどんなことをするんですか?」

「修練って私たちも出来ますか?」


2人が質問攻めをする。

ノクトから話は聞いていたのだが信じ難い話だったのでゴルドーに聞きたかったらしい。


(それにしても最後の質問って…)


修練が義務付けられるのは8歳以上の男だけであるので女はいない。

だが、確かに修練を受けてはいけないとは聞いたことがなかったのである。

ゴルドーは笑いながら1つずつ質問に答え始めた。


「修練でのノクトは今のノクトと大して変わらんな

何でも卒無くこなす。

模擬戦でも歳上に普通に勝つしな。

つい最近だとソウマに勝ったな」


「けどソウマさんって素行が悪いだけで実力は充分なんですよね?

ノクトなズルして勝ったとかではないんですか?」


「はははっ。酷い言われようだなノクト。

だが断言する。ノクトは実力でソウマより上だ。

それは俺が保証する」


タニアは感心するようにノクトを見る。ノルンは凄いですと言い手を合わせていた。


「次は鬼熊の話だったな。

あれに関しては俺も未だに信じられていない。

それくらい凄い出来事なんだ。

2人は鬼熊の強さを知っているか?」


タニアとノルンは顔を確かめ合うように見合わせ首を横に振る。


「そもそも鬼熊は王都の軍の精鋭が5人が最高装備で挑み討伐に向かうんだ。

そもそも1人や2人でどうこうできる相手じゃない

5人で連携を組んで回復や盾役を交互にこなして戦うものなんだ」


「なら、今回はどうやって戦ったんですか?」


タニアとノルンは興味深そうに聞く。

ゴルドーはとても言いづらそうな顔をしていたがタニアとノルンの聞きたそうな眼差しに負け語り始める。


「これは絶対に他の人には喋っちゃいけない。

ノクト、お前もこの2人と家族以外には俺と協力したということにしておいてくれ」


ノクトはゴルドーの言葉に首をかしげたがゴルドーの話を待つ。何か理由がなければゴルドーはそんな事は言うはずがないからだ。


「まず、鬼熊を撃退したのはノクトだ。

俺は鬼熊の攻撃を捌いていただけで鬼熊に1太刀すら浴びせることは出来なかった。

しかしノクトは1太刀どころか鬼熊を斬り裂いた。

そして最後の一撃で目を潰せてたしな。

通常鬼熊の懐に入り込む事すら難しいのに、ノクトは懐に入り込みダメージを与えたんだ」


「それじゃあ、ノクト1人で鬼熊を撃退したって本当なの!?」

「タニア、それは流石にないよ。

ゴルドー教官が攻撃を捌いてくれていたからできたんだ。」

「いや、あの場に俺がいてもいなくても結果はあまり変わらなかっただろう」

「そんな事ありませんよ、俺だって突進を受けてしまって動けなくなったんですから」

「ノクト君、なにそれ聞いてないですよ!」

「ノクト、私も聞いてない!」


しまったと気づいた時には時既に遅く2人が心配そうにノクトを触診しているのをゴルドーは笑いながら見ていた。


「2人はノクトのこと大好きなんだな」

「「違います!」」

「そんな全力否定しなくても…」


ノクトは肩を落とし俯いた。

俯いたせいで見えていなかったが、2人の顔は真っ赤に染っていた。

その様子をゴルドーはニマニマしながら眺める。

そしてノクトは何故隠さなきゃいけないのかをふと思い出す。


「そういえば教官、なぜ隠さなくてはいけないんですか?」

「おう、その事をまだ話してなかったな」


ゴルドーはノクトに尋ねられニマニマ顔から一瞬で深刻な顔になる。

その顔を見て3人は緊張する。


「それはな…

俺にも手柄が欲しかったからだ!」


3人ともポカンとした顔になる。

その顔を見てゴルドーが笑いだす。


「悪い悪い。嘘だ。 あまりにも3人とも緊張した顔をしていたのでな。

どうだ?少しは気が楽になったか?」


そう言われ3人は脱力する。

とても深刻そうな顔をしてたからすごく重い話なのかと思っていた。


「いや、重要ではあるがな。

近々貴族が来訪するのは知っているか?」


「はい、家の宿を手伝っている時に村長から予約の依頼を承りました」


「そうか、ノルン君は銀翼亭のところの娘であったな

なら、話は早いな。数日後に来訪する貴族とは公爵家なのだ」


「「「公爵家!?」」」


【公·侯·伯·子·男】これが貴族階級である。

左から順に位が高く公爵、つまり爵位の中では最も高いのである。


「待ってください教官、この村はバースベルト子爵領ですよね?何故公爵家の方が来るのでしょうか」

「来訪理由については俺も詳しくは聞いていないが村長に通達が届いたらしい。

衛兵団で村周辺の魔物を討伐し王都への道の安全を確保するように言われていた」

「あ、それで実地訓練だったんですね」

「皆の前では言えなかったがそうだ」


タニアとノルンは未だに公爵家が来ることを受け止めきれず唖然としている。


「ですが、それと隠す事にどのような接点があるんですか?」

「確かになんでなんだろう」


ノクトが再度疑問に思って聞き、我に返ったタニアが同調する。


「それは、ノクトお前のためだ。

公爵家の耳に入ればまず間違えなくお前を手に入れようとする。

我々平民は公爵家の言うことを聞かざる負えない。

まだ親元を離れるには若すぎる。

だがそこで2人でとなれば若いお前より俺に目がいくそうなればノクトにまで手を出さないだろうと踏んだ」

「ですが、それではゴルドーさんがこの村を離れてしまうことになってしまうのではないでしょうか…」

「ノルン君は鋭い所に気づくな…

だが俺にはこの家しか無いからな。

それに俺は今や手負いだ。もしかしたら目を逸らせつつ俺自身も要らぬもの扱いかもしれん」


ゴルドーはそう言い、だから秘密にしてくれと言う。


(俺自身、ホーラに冒険者になる様に言われてるし専属の騎士になんかなってられない)


ノクトは頷いた。だが2人は難しい顔をしていた。


「けどゴルドーさん、公爵家に呼ばれるって名誉なことなんですよね」

「呼ばれるって事はやはり騎士になるとかなんでしょうか…」

「確かに名誉なことだ。

それに関しては否定をするつもりはない。

だが公爵家の騎士ともなると騎士学園を上位で卒業しなければ基本なれない。

そこへ平民の8歳が鬼熊を撃退したからと言って入ったとする。

どうなるか予想はつくか?」


「もしかして、嫌がらせをされるんじゃ…」


「そうだ、恐らく1対多数などの打ち合い稽古だろう…

子爵家の騎士隊で昔実際に行われ平民が死んでしまった例もある。

だからこそ、更にプライドの高い騎士が集まる公爵家にはノクトに言って欲しくないと思ったのだ」


2人はゴルドーの話を聞き且つノクトと離れたくない気持ちもあり納得する。


外を見ると日が落ち始めている。

時間なのでゴルドーに帰ることを伝えゴルドー宅を後にする。


「何だか、ノクトがそんなに凄いなんて実感できない」

「そうですね、私達から見たらノクト君は弟みたいな感じですものね」


2人で楽しそうに話しながら帰路につく。

最初に銀翼亭へと着きノルンが挨拶をする。


「今日は楽しかったです。

また近いうちにお話しましょう。ではまた」


「またね、ノルンちゃん。また遊ぼうね」

「ノルン、また今度」


2人とも手を振って見送り見えなくなったところで歩き始める。


「なんか今でも信じられないなー。

ノクトが鬼熊撃退かー…」


タニアはそう言うとどこか悲しそうな顔をしている。


「どこにも行かないよ。

俺はこの村でまだやり残したこと沢山あるしね」


タニアが笑顔でノクトを見ると


「今日はここでいいや、またね、ノクト」


ノクトの返事も聞かず手を振りながら駆け足で牧場への道へ行く。


(タニアどうしたんだろう…)


タニアに声をかけられないまま後ろ姿を見送り家へ帰った。

家に着くとご飯ができており注文通りハンバーグが出てきた。

満足いくまで食べお腹いっぱいになるとユメアが遊ぼうと誘ってくる。


「ごめんね、これから用事があるんだ」

「またお兄ちゃんどこかへ出かけるの?」

「ゴルドー教官にこの後もう一度来るように言われててね」

「そうなんだ…ならガマンする! 行ってらっしゃいお兄ちゃん」

「行ってきます」


ユメア頭を撫でてダインにゴルドーからもう一度来るよう言われている事を告げ家を出る。


(一体何の話なんだろう…)


また良くないことが起こるのかと考えながら走り始めたのだった。

お読みいただきありがとうございました。


ゴルドーの話とはなんなのか…


次回もお楽しみに

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