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剣術世界の魔法剣士  作者: れお
5/16

第5話 鬼熊戦

オーガベア戦になります!


楽しんで読んでいただけたら幸いです。


後1話から4話までの主人公や出てきたキャラの年齢設定を変更しました。




ゴルドー教官と森の中に入ると先程入った時には無い違和感を感じた。


「ゴルドー教官、先程森に入った時より森の中が静かな気がします。」

「ふむ…。もしかしたら鬼熊(オーガベア)の出現で辺りの動物や魔物が逃げてしまっているのかもしれないな…」


より一層気を引き締め今回の救出に向かう。

ゴルドー教官は準備をしていた際に逃げてきた生徒からより細かな情報を聞いていてこの辺だと告げる。


「血の臭いはしないな…。少し辺りを探してみるか。」

「分かりました。」


2人が距離をあまり取らずに探しているとメキメキッ…と音が聞こえてきた。


「ゴルドー教官!今の音って…」

「しっ…。もしかするとヤツ近くにいるのかもしれない…

ここからは気づかれないようになるべく物音を消して近づこう。まだ2人を追っているのかもしれん」

「分かりました」


小声で答え茂みの影に隠れながら少しずつ音のする方へ進んでいく。


「来るな…!来るなーーー!」

「ソウマ君、落ち着いて。大声を上げると更に鬼熊が興奮する」


ある程度近づくと声が聞こえてくる。

ゴルドー教官の方を見るとこちらを見ており、確かめるように頷いてくる。

そのまま鬼熊が見える位置まで移動をした。

鬼熊は小さな穴の周りをウロウロし時には中に手を入れたりしていた。

1度ゴルドー教官に近づき小声で話しかけた。


「2人はあそこにかくれていそうですね」

「ああ、一旦動きの確認をしておこう。

俺が囮になるからノクト、お前が2人を村まで連れていくんだ。」

「ゴルドー教官はその後どうするつもりですか」

「いくぞ…」


ゴルドー教官は返答をせず鬼熊に向かって手頃なサイズの石を拾い投げつけた。


「この木偶の坊、ついて来やがれ」


石を当てられたことに怒ったのか、挑発に怒ったのかは分からないが鬼熊はゴルドーを睨みつけ追い始める。


(今のうちに…)


ゴルドーに言われた通り2人の保護に向かう。

するとそこには足を切り裂かれて重症の衛兵と満身創痍のソウマが居た。


「助けに来ました。まずはこれを…」


予め持ってきていた回復薬と包帯を渡し骨も折れていそうだったため近くから木の枝を拾ってくる。


「た、助かったのか…」

「すまん、今鬼熊はどうしてる」


ソウマが救助が来たことに驚いていたが、衛兵は痛みを堪えながらも状況を確認してくる。


「鬼熊は現在ゴルドー教官が囮となってくれています。

今のうちに安全なところまで行きましょう」


ソウマに手伝ってもらい脚の手当をしている間に衛兵には回復薬を飲んでもらい小さな洞穴から抜け出た。

今出せる限界の速度でその場を後にし、村まで後半分のところでノクトは立ち止まる。


「すみません、ここからはお二人で戻って下さい」

「ダメだ、君は教官の勇姿を無駄にするつもりか?」


察した衛兵はすぐにノクトを引き止める。

ソウマ何を話しているのか分からず早く逃げようと急かしてくる。


「俺はゴルドー教官を見殺しになんて出来ません。

だから、すみません」

「ま、待つんだ…!」


衛兵の言葉を無視し洞穴の近くまで戻る。

そしてゴルドー教官が逃げていった方向へと足早に進んでいく。

しばらく進むと金属音が鳴り響いていた。


(近くにいるのかもしれない…)


そう思いなるべく物音を立てずに音の鳴るほうへ進んでいった。


«グォォォォォォォ…»


遂にゴルドー教官への近くまで着いた時、何かが目の前に降ってきた。


ボトッ…


ノクトは咄嗟に落ちたものに目を向けてしまった。


「う、腕が…」


目を離し目の前に広がる状況を確認した。

鬼熊が腕を振りぬきゴルドーの左腕を吹き飛ばしていた。


「ぐ、ぐあぁぁぁぁ…」


左腕を吹き飛ばされたゴルドーは痛みに膝を付きしかしまだ片手で剣をしっかり構えていた。


(助けなきゃ…!)


すぐに状況を判断したノクトはバッグから投げナイフを抜き鬼熊に向けて放った。

ナイフは鬼熊の背中に刺さったがダメージを与えられるほど深くは刺さっていなかった。


«グォ…?»


背中に違和感を感じた鬼熊はノクトの方に振り返る。

新しい獲物を発見したかの様に口からは涎を滴らせ全力で突進をしてくる。


「ノクト!なぜ戻ってきた

村に戻れと言っただろ」


「すみません、ゴルドー教官

俺には見捨てるなんてこと出来ませんでした」


お互い大声でやり取りをし剣を構える。

突進を躱された鬼熊は木に激突しメキメキと音を鳴らしながら木を倒す。


(あんなの当たったら確実に死んじゃうな…)


ノクトは絶対に攻撃は回避するように決め、振り返る鬼熊と向き合う。

ゴルドーも流石ベテランと言うべきか止血を終え剣を構えている。


再度鬼熊はノクトに狙いを定め突進をしてくる。

(今度もしっかりと避けてやる)

前転回避をしながら進行方向から逸れる。

しかし、角兎(ホーンラビット)とは違った。


「ダメだ!もっと大きく逸れなきゃ避けきれん」


ゴルドーが叫んだ時には遅かった。

鬼熊は方向修正をし、ノクトを追尾する。

ノクトは2度目の回避行動が間に合わず鬼熊に衝突される。


「ぐはっ…」


8歳の軽い身体だった事が幸いしたかそのまま空へと飛ばされ鬼熊に踏まれることは無かった。

しかし、身体へのダメージは深刻なものであった。

(これは…自惚れ過ぎてたかな…

身体能力と魔法を授けられた事で強くなった気でいすぎた)

そんなことを考えていると背中から地面に叩きつけられ呼吸すらも一瞬止まる。

落下した時には鬼熊は体勢を立て直し再度ノクトに向けて突進をしようとしている。

(次あの突進を受けたら確実に死ぬな…

それにしても全身が痛い… 動けない…)


ゴルドーが何かを言いながら鬼熊に仕掛け注意を引こうとしているが、気にせず鬼熊は狙いをノクトに定める。


(やっぱり弱いやつに狙いを定めるものなんだな。

俺はこのまま死ぬのか…)


鬼熊が遠くからスタートをきり速度を上げつつみるみる近づいてくる。


(嫌だ! まだ死にたくない…!)


そう思った刹那身体が急に熱くなる。

一瞬で熱は引いたが引いた直後に身体に違和感を感じる。


(おかしい、全身の痛みが消えてる…)


一瞬で身体の痛みが消え思考が停止するが目の前から迫りくる鬼熊を思い出した。


(今度こそ回避しなきゃ死ぬ)


回避する事に専念して意識を足に集中させて横へ飛ぶ。


「……え?」


進行方向から逸れるだけのつもりで横に飛んだつもりなのだが()()()()()少し離れた茂みに頭から突っ込む。


(どうしてこんなに飛んだんだ…?)


鬼熊は確実に殺れると思っていたのか回避されたことで意表をつかれたかの様にして木に頭から突っ込む。

メキメキと音を鳴らしながら木を薙ぎ倒していくが、スピードを上げ過ぎたのか止まるまでに時間がかかった。


「ノクト、まだ動けるか…?ここから逃げるぞ」


「はい、分かりました」


«グオォォォォォン»


ゴルドーと鬼熊に背を向け逃げ始めるが渾身の一撃を避けられた鬼熊は咆哮を上げてから追いかけてくる。


全力で走るが鬼熊はとても早く直ぐに追いつかれてしまう。

「っち…。逃げる事は不可能ってか…

やはりノクトお前だけでも…」

「嫌です。逃げる時は一緒にですよ」

「聞き分けの悪い奴だぜ…」


ゴルドーは少し呆れ気味だが顔には笑みを浮かべ再度鬼熊と向き合う。

ノクトもゴルドーにならい剣を構え再度向き合う。

鬼熊は突進攻撃をやめ2人との距離を詰める。

すると岩をも砕く腕力を持つ腕を振り上げさっきまで2人がいた所に振り下ろす。

振り下ろされた場所にはクレーターができ、鬼熊のどの攻撃を受けても瀕死は免れない事を再度認識させられる。

鬼熊は狂ったかの様に襲い掛かってくる。

しかし突進攻撃と比べ攻撃範囲が狭い為避けるだけならギリギリできた。


(避けてばかりじゃ体力が尽きる…何か手はないか…)


鬼熊と少し距離を取り周りを見渡すと鬼熊の突進で薙ぎ倒された木がそこら中に転がっていた。


(あれを使って少しでいいから足止め出来ないか…)


すぐ近くの倒木に近よりゴルドーに声をかける。


「ゴルドー教官、離れてください!」


ゴルドーが鬼熊から離れたのを見計らってノクトは倒木を蹴る。

鬼熊は死角から木が飛んで来たため避ける事は出来ず倒れ込む。


(あれで少しでも足止めになれば…)


«グオォォオォン»


更に怒ったの鬼熊は息遣いを荒げてすぐに攻撃体勢へと戻る。


(ダメか… 一体どうしたら…)


ゴルドーが再び鬼熊に接近し攻撃を捌きつつも疲労で動きが鈍くなりつつあった。

片腕を無くしバランス感覚も失っているのにここまでやりあえるのはゴルドーだったからであろう。

いよいよゴルドーの体力が尽き鬼熊の爪がゴルドーを襲う。


「ゴルドー教官!!」


ゴルドーを助けようと足に意識を集中し走り出す。

しかし出だしが遅いため間に合いそうにない。


(もっと速く…、もっと速く! 助ける!)


そう思った時ノクトの目の前にゴルドーが居てゴルドーを抱え走り抜けた。


「た、助かったのか…」

「ま、また…」


死を覚悟していたゴルドーは驚きの声をあげる。

しかしノクトはその事に気付かず思いに耽ける。


(さっきも同じ様なことが…)


自分では考えられない様な身体能力が発揮した。

1度ならず2度までも…


(ま、まさか…身体強化魔法…?)


今まで使い方を分からなかった身体強化魔法だと推測する。


(状況から考えるともしかして強く思えば強化されるのか…?)


咄嗟にそう判断しノクトは決心する。


(鬼熊を倒す…!絶対に倒す!)


しかし何の変化も訪れなかった。


ゴルドーが目の前から消え困惑していた鬼熊はようやく2人のことを見つけ距離を詰めてくる。


「ノクト、また鬼熊が来るぞ!」


鬼熊が再度腕を振り下ろそうと立ち上がる。

ゴルドーは再度剣を構える。

しかし姿勢からしてもう力は残っておらず、立っているのもやっとの状態であった。


(なんだ…、何が発動条件(トリガー)なんだ…)


再度思い出す。思い出すために頭に意識を集中させる。

考えていた時間は1秒とかからなかった。

しかしノクトにとってはそれは5分くらいの時間に思えるくらい時間があった。


(ま、まさか…)


右腕に意識を集中させこちらから鬼熊に攻撃を仕掛ける。

すると右腕が何かに包まれた感覚になり確信する。


(やっぱり…!)


「な、ノクト… よせっ!」

「はぁぁぁぁぁぁ!」


ゴルドーは攻撃を仕掛けるノクトに驚き声をかける。

そして目の前に広がる光景に唖然とした。

鬼熊のお腹に大きな切り傷が付いていた。


«グォァァァァ…»


切り付けられた鬼熊はよろめきながら四つん這いになる。

ノクトは更に右腕に意識を集中させ鬼熊の右目に剣を突き刺す。


«グォォ… グガァァァ…!»


鬼熊はよろめきながら逃げ始める。

こちらに再度攻撃を仕掛けようとする素振りは見せずそのまま森の奥へと去ってゆく。


「お、鬼熊が逃げていった…だと…」

「な、何とかなったぁー。」


ゴルドーが驚きの声を上げ、ノクトはその場に崩れ落ちる。


「ノクト!大丈夫か!」


ゴルドーがノクトに駆け寄るとノクトはぐっすり眠っていた。


「まさか、この歳で鬼熊を撃退するとはな…」


ゴルドーはため息混じりにそう言うとノクトを担ぎよろめきながら村へと帰るのだった。


お読みいただきありがとうございました。


初の強敵戦いかがでしたでしょうか。


鬼熊ʕ•ᴥ•ʔ「なんで突然あんな強くなったんだ…

ここは逃げよう!」


こんな感じだったと思いますw

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