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ミラクルカウンター[未完]  作者: 次元レベル町内会長
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侵蝕対策(表) 案ずるより攻めるが易し!

 侵蝕、忙しかったねー。


 いやー、まさか精霊や妖精の攻撃に耐性あるとか思わなかったですよ。


 そしてなぜか俺の、人間の霊気が通用しちゃったし。


 つまりは今後……俺も前線で頑張らなきゃいけない必要があるかも、と。


 まぁねぇ~、別に俺が戦うことはいいんだよ。


 女神さまの加護あるし、ちゃんと鍛えてるし。



 ただ純粋に足りないんだよ。


 俺、一人だもん。


 今回はなんとかなったけど、複数の場所から出てこられたらアカンやつだ。


 四人がかりで倒してたのも見てたけど、精霊が散開できないのはちょっとキビシイ。



 ◇◇◇



「なので簡単にですが、対策をしてみました」


「それがあの術式符ですか」


 ちょうどよく吟堂さんが訪問してきたので、せっかくなので見てもらっている。



「………ほう。これは………さすがです、局長……」


「あっはっは! これは面白いな!」


 戴宗と武松が術式符を起動し、左手に蒼い光をまとっている。


 それを武闘棍にエンチャントする。


「よーしよしッ! 武松よ、準備はよいか? よいなッ!」


「………来い、戴宗」


 わかりやすくはしゃいでる戴宗と、わかりにくいけど機嫌よく微笑んでいる武松。


 始まった模擬戦はスゴいというか、綺麗でした。


 蒼い光と棒術の動きがこう……パフォーマンス感スゴいね。



 とりあえず効果が切れるまで戦ってもらった結果。


「……数秒の誤差があるが、一八〇秒ってとこかィ。これを長いとみるか、短いとみるか……符さえ用意できンなら問題ネェんだろうけどよ~」


 タタラに時間を測ってもらっていたが……三分か。


 思い付きではあるけれど、まぁ悪くないかな?



 ◇◇◇



 他の精霊や妖精も試用を始めたので俺と吟堂さん、そして吟堂さんの部下の文官のみなさんで接客室に移動。


 とりあえずナキリさんにお茶菓子を出してもらったんだけど。


 文官の方々、スッゴい食べるね?



「あー、まぁ、喜んでいただけたようで何よりです」


「いや、お恥ずかしい……いや、一つ言い訳をさせてくれ。彼ら一等文官の給金ではカスティラやロウルケーキのような菓子などそうそう口にできんのだ。そうでなくとも帝都の菓子料理屋は、やれ緋鳴き鳥だの陽女麦なぞを競って使うものだから」


 いわゆるブランドな素材のことですね。


 知ってます、俺も見かけたときに高ェッ!? ってなったから。


 うん、お土産も用意してもらおうか。


 じゃないと宿で留守番してる文官さんたちと揉めそうだし。



「とりあえず、侵蝕結晶についての扱いは君の管理下になるように手を打つ」


「よろしいので? 技術部の人たち、欲しがるでしょう?」


「逆手にとる。部隊結成前のことだ、桜国軍としての侵蝕での交戦はなかったことにする」


「確かに今のところ私たちは存在しない部隊ですが……」


 この流れ。


 吟堂さんがヤバイことなっちゃうパターンちゃう?


 薄い本(需要不明)にされてしまうのでは?


「大丈夫だよ百弥君。こんな楽し…危ない橋を一人で渡る勇気など私にはないよ。しっかり上官殿に動いていただくよ」


 今楽しいって言いかけたよね?


 この人マジで強キャラだよ!



「正式な、強制力を持つ納品命令を出したければ正式な部隊として認めるしかない……と、いうことだ。もちろん従う必要が出てくるわけだがね………功績が欲しければ」


「そうですか。ではありがたく使わせていただきましょう」


 功績? イラネ。


 俺の望みは精霊ハーレムで[自主規制]したいだけだし。



「問題は今後の魔獣の動きだが……過去の記録に学ぶなら、侵蝕は一度では終わらんだろう。一度や二度なら持ちこたえたという記録があるからな」


「ちなみに、その記録で人間が戦ったという記述は……?」


「ない」


 断言されちゃったよ。


 ま、そりゃフツーは試さんよな。


 普段の魔獣にさえ効かないんだもの、侵蝕のときになってもしかしてなんて思わんよな。



 しかし困った。


 俺も講義で教えられたけど、侵蝕は連続で起きるものだ。


 こうして会話している間にも、いつ警鐘が鳴るのやら。


 何がヤバいって、住民の皆様のストレスやべーことなるっていうね。



 俺?


 別に平気ですよ?


 伊達に一度死んでないからね。


 ただほら、俺は侵蝕を知らないが、この街には旧播磨南4区から逃げてきた人もいるし、そもそも隣の地区が魔獣に飲み込まれたの見てるわけで。


 昨日のことだって、そうとう精神にきたんじゃないかな?



「それは確かにだがね、実際問題、後出しの……対処する以外の選択肢がないのでは―――」


「ありますよ。選択肢」


「何……?」



 そう。


 俺が選べる選択肢はある。


 実に、実にとぉ~っても単純な選択肢が。



 降りかかる火の粉を払う役目も、それはそれで大事だろう。


 が、なんのことはない。


 火元が消えてしまえば、そもそも火の粉が舞うことがなくなるのだから。


「―――ッ!? 百弥君、まさか……中尉殿ッ! それはさすがに危険が過ぎるものと進言いたしますッ!!」


「吟堂少尉。一つ、伝言を頼まれてくれ」


「中尉殿ッ!!」



「七参八壱機動霊装部隊は、播磨南4区の防衛を確実とするために、旧播磨南4区の奪還を試みる、と」

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