6‐④ 集う精鋭達
「嘘だ……嘘だ……!」
気づくと、ツミキは彼女を抱きしめていた。
瞳から流れた涙が少女の頬に落ちる。少女は温かい涙を感じて、突き出そうとした手を引っ込めた。
「ずっと……あの写真が送られてからずっと、思っていた。もしかしたら君が、君が居るんじゃないかって……!」
「――君は、ツミキ?」
「当たり前じゃないか! 僕はツミキ・クライム、君の――親友だ。君は、アレン・マルシュだろう?」
「……うん。私の名前はアレン。ツミキ、ちょっと苦しいかも」
ツミキはハッと我に帰り、顔を赤くしながらアレンから距離を取る。
「ご、ごめん! つい嬉しくって……あっはは、夢みたいだ。君が、生きてるなんて――って、アレン?」
アレンはツミキに近づき、ツミキの胸に顔を埋めた。
「私も嬉しい、君に会えて」
「アレン……なんだか、雰囲気が変わったね。――無理もないか。僕も以前とは変わったから。君がどういう経緯で生き延びたにせよ、苦境の中に居たのは間違いない。アレン、本当にありがとう。生きていてくれて……」
アレンはツミキの体温を感じて、後ろめたそうに顔をツミキから離した。
「……ねぇツミキ、積もる話もあるし――デートしよ」
「えっ!? 話があるのは僕も同じだけど、で、デートって言い方はちょっと照れくさいかな……」
「……。」
「わ、わかったよ! デートしよ、デート! ――本当に雰囲気変わったね、アレン……」
―――――――――
アート・キングダム軍事用玄関。
そこに一台のキャンピングカーが訪れていた。
『入場許可書確認! ナルミ・ハルトマン、ピスケス・トーエン、アーノルド・ミラージ、エルフ・エイド、フリップ・メルク、カミラ・ユリハ。以下六名の入場を許可する!』
『許可する!』
『いらっしゃいませ!』
『いらっしゃいませ!』
人形たちに頭を下げられながらキャンピングカーはアート・キングダムへ入った。
Tシャツを着た少女、カミラ・ユリハはポニーテールを揺らしながらソファーの上を跳ねる。
「うるさいぞ下民! なにをバタバタしている?」
「だってだって、見ろよアーノルド! 人形が喋ってるぜ! うわ、あっちにめっちゃカッコいい銅像ある! 見ろって、ほら!」
「カミラ……私たちは観光で来たわけじゃないんだから」
「エルフの言う通りだぜ。ここは義竜の領地だが、アウェーであることは間違いない。下手なことすると火傷するぞ」
「あっはっは、ピスケスもエルフちゃんもかったいね~。もっと肩の力抜いてこうよ、――フリップ君、君も一度運転は機械に預けて、こっち来て景色を眺めたらどうだい?」
ナルミに言葉を掛けられ、キャンピングカーの運転手フリップ・メルクはめんどくさそうに返事する。
「遠慮しときます、運転席からでも景色は見えますから」
テンションを上げながら窓に釘付けのカミラ、紅茶を嗜むアーノルド、鎮座するエルフ、運転に集中するフリップ、拳銃の手入れをするピスケス。
それぞれ別のことをやりながら一行は美術の園へと右腕を追ってやってきた。
「まずどこへ向かうんだ? すぐに捜索開始とはいかねぇだろ」
「そりゃ、まずはあの人に挨拶しないとね。この都市の領主、人形師様に……」
互いのチーム戦力一覧
~盗人チーム~
ツミキ (リーダー?)
プール (戦闘員)
サンタ (軍師)
テンオウ (戦闘員)
ネット (諜報員)
~追跡チーム~
カミラ (戦闘員)
ナルミ (リーダー)
アーノルド (戦闘員)
エルフ (戦闘員&諜報員)
ピスケス (戦闘員&副リーダー)
フリップ (運転手)
~美術都市~
人形師 (リーダー)
アレン (戦闘員)