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“銀”の英雄  ~Revival of Andromalius~  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
幕間 激闘! “チェイス相撲”!?

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4.5‐① ユーレリオン村

「あっはっは! ごめんカミラちゃん、迷子になっちゃった」


『“なっちゃった”じゃねぇ! なにやってんだお前ッ!』


「いやぁ、朝の散歩に出かけたらさぁ、良い匂いがしたからつい誘われちゃって」


『ガキかお前は! 場所教えろ!』


「――えっと、“ユーレリオン”?」


『ゆーれりおん、ユーレリオン……聞かねぇ名前だな』


「せっかくだし、ちょっとここでゆっくりしていくよ。気になることもあるしね。カミラちゃんは先に王都へ向かってて」


『そうもいかねぇだろ、これ以上戦力を分けるわけにはいかない。地名調べて迎えに行くから待ってろ』


「助かるぅ」


『お前、手ぶら?』


「チェイスは充電切れ。他の荷物は宿屋に置いてきちゃった」


『なら、近くの宿で地図をだな……』


「あ、ごめん。その前に」


『なんだ?』


「お腹が空いたのでご飯食べてもいい?」




――――――――――





 港町から景気よく出発したツミキ一行は夜も更けていたので小さな村“ユーレリオン”の宿屋で一夜を過ごした。


 宿屋は中世が舞台のRPGに出てくるようなボロ屋だ。ツミキ、サンタ、プール、テンオウ、ネットの五人は宿屋の一階にある食堂で卓を囲っていた。朝食タイムである。


 宿屋の若い娘が「お待たせしました~」と村の近くでとれた川魚の白身をテーブルに置くと、ツミキの正面に座るサンタが話を切りだした。


「改めて自己紹介しておこう、ワシはサンタ・クラ・スーデン。趣味は将棋、好物はあたりめ。以前は小国で指揮を執っていた。まぁ、いわゆる軍師というやつじゃ。よろしく頼む」


「僕はツミキ・クライムです。以前はサーカス団に所属してました。趣味は読書、好物はコーヒーです。よろしくお願いします」


「私はプール・サー・サルン。元・傭兵、趣味は機械いじり。よろしく」


「は、はい……」


 テンオウはまじまじとサンタとプールを見つめる。


「すごいですね、()()()()()()……」


「ん? なんやテンちゃん、この二人の名前知っとんのか?」


「はい! だってサンタ・クラ・スーデンとプール・サー・サルンって言えば、理由なき戦争に出てくる英雄じゃないですか」


「プールさんの名前がレイジレストの英雄と同じってことは知ってるけど、サンタさんの名前はあったっけ?」


「サンタ・クラ・スーデンと言えば理由なき戦争第一期、王国側の英雄だよ! 王国の軍神サンタと美しき革命家ダキ。両雄の頭脳戦はそれはそれは素晴らしいもので、後世の戦術家たちにも多くの影響を……」


 サンタが気まずそうにテーブルを指で叩く。


「その辺にしておけテンオウよ。――どうやらお(ぬし)は相当な歴史馬鹿らしい。その名を知る者はほとんどおらんぞ」


「そっか。僕、第一期は見たことないから知らなかった」


「私とサンタは念のため、こうして偽名を使ってるのよ。アンタらほどの歴史オタクじゃないとこの二つの名前は知らないしね」


「ほれ、ワシらのことはもういいから、(ぬし)らも名乗れ」


 サンタが言うと、ネットが嬉々として手を挙げる。


「ワイはネット・フィーリス! 元・情報屋、趣味はのぞき、好物はカニ。よろしく~」


「わ、わたしはテンオウ・オルコットです。趣味は読書、好物は……シガレットです。よろしくお願いします」


 全員が自己紹介を終えると、次々とツミキ達のテーブルに料理が運ばれている。


「お! 美味そうやな!」


「良い匂いです……」


 六人前、七人前、八人前と料理が並んだ所でツミキは店員に声を掛けた。


「あ、あの。僕達こんなに頼みましたっけ?」


「え? はい。そちらの青髪のお客様がメニューにある注文全てと」


 ツミキはプールの方を見る。するとプールは鹿肉のソテーを口いっぱいに頬張りながら喋りだした。


「はによ(なによ)?」


「いや、こんな量食べきれるんですか?」


「とうへんはない(当然じゃない)。いんほくてんはひってめふーへんぶたのはないほは、ひふれいってもんでほ(飲食店入ってメニュー全部頼まないのは失礼ってもんでしょ?)」


「大丈夫じゃツミキ。こやつはコレ全部一人で食べる。ワシらが心配すべきは自分の皿じゃ」


「あっはは……こんな食べ方する人はじめて――」


 ツミキは背後からガツガツッ! という咀嚼音を聞いて言葉を止めた。


 ゆっくり背後を振り向くと白色のYシャツにビリビリの上着を羽織った緑髪の男性がプールと同じようにテーブルに皿を並べ、鹿肉を頬張っていた。


「僕の世界は狭かったようです」


 テーブルの上で皿がピラミッドを作った所でサンタは今後の方針について話し出した。


「アート・キングダムへの道のりはまだ決めていないが、とりあえずこの村で食料と、あとはチェイスの補修も済ませよう。確かここは鉱業が盛んだったはず」


 サンタの“チェイス”という言葉を聞いて、宿屋の若い店員が駆け足で三人のテーブルに近づいてきた。


 その店員は「あ、あの!」と慌てた様子で三人に尋ねる。


「あなた方はチェイスを操縦できるのですか!?」


 五人はキョトンとした顔で目を合わせ、同時に頷く。すると店員は顔をパーッと明るくさせた。


「お願いします! 明日の採掘区域争奪チェイス相撲に、私たちの代表として参加してください!!」


 全員が口を揃えて聞き直す。


()()()()()()?』

〈一人称〉


ツミキ「僕」

サンタ「ワシ」

プール「私」

ネット「ワイ」

テンオウ「わたし」←この回から。



〈ニ人称〉(なお相手によって変わることあり)


ツミキ「あなた(年上に対して)」「君(年下もしくは同級生)」

サンタ「お主、主(基本)」「貴様(ちょっと怒ってる時)」

プール「アンタ」

ネット「お前さん、お前、おたく、おたくら」

テンオウ「あなた」

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