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弱小ラグビー部にて  作者: 柏
3/5

ラグビー部入部手続き

そして日は過ぎ、部活を決める日となった。この学校では部活動が必須のため、部活動決定日、というものが存在する。四限授業帯の最終日である。


 俺は囲碁将棋応募の教室へ向かう。なに、結局あれ以来仮入部には行っていない。面倒だから。美術部でもいいかなとは思ったものの、なんだかんだ厳しそうだしな……。うちの囲碁将棋部は大会などには出ず、マイペースに行うものと聞いてここにしようと決めたのだ。

 その途中、最後の最後まで勧誘を続けるラグビー部の姿があった。

「ラグビー部にしませんか」そう言い続けている。

 ただの興味本位だった。一度、唯一行った仮入部先がどうなっているのかと。ラグビー部のいる教室を覗く。

「……わぁ」

 ものの見事に3人だった。

 頭を過ぎる。

『現在部員は合計11名で——』

 関係ない。俺が入ったところで足手まといだろう。

『ラグビーって結構緩いのな。これなら入ってもいいかもしれないな……』

 ここで話しておくが、俺はラグビーを全く知らない。つまり、あの練習がラグビーなんだと錯覚していた。体重云々の話は思い出していたものの、部活紹介でもパスをして遊んでいるようで。10キロは柔道部の次に行っていたための方便なんじゃないだろうか。そんなことを考えてしまう。

 そうして俺はラグビー部の教室へ足を踏み入れる。

 そう、同情の念だ。決して俺が入りたかったわけじゃない。別にもてはやされたかったわけじゃない。

 そうして入った俺を、先輩方は笑顔で迎えてくれる。

「ありがとう! 君で15人目だよ!」

「仮入部一回しか来てないのに、よく入る気になったね!」

「君、僕が誘った子じゃないか。来てくれてありがとうね!」

 ……まぁ、悪い気はしない。

 そうして待機していると、その後は5人が来た。

 俺が来る必要もなかったんじゃないだろうか……。

 しかし、もう逃げられる雰囲気ではない。時間になると全員が教卓を向く。

「俺がラグビー部部長、山本敦だ。今日は、ひーふーみー……八人か。よく来てくれた。今日からよろしく頼む」

 そういう先輩。やはり部長だったか。

「じゃあ、一人づつ自己紹介してもらおうかな。もちろん三年から順に」

「私は——」

 各自自己紹介を行う。その中で俺の番になった。

「えっと、俺は新一、一年生です」

「わかってるよー」という声が聞こえる。うるさい、他に喋ることが見つからないんだ。

 そうして自己紹介の時間は終わる。


 この日はこの後筋トレを少しして終わった。

 こんな筋トレ、何も話すことはないはずだったのだが……少し語ろうか。


 この日は、現部員とは別メニューで、ピロティで腹筋腕立てをして終わった。

 問題は俺の身体能力が低すぎたこと。俺は腹筋も腕立ても満足にこなせず、一人地面に突っ伏していた。中学でも俺一人ついていけないことはあった。まぁ、わかるだろう。これで俺はみんなに馬鹿にされることが決まってしまったのだ。先輩は一人笑っていたが、少し苦笑い気味。俺は悲しくなりながら一人自転車で帰った。


 仮入部の時、こんな肉体虐めるようなことしなかったじゃん!!!


 仮入部の練習、あんなのは方便で、10キロではなくあの軽いメニューこそ嘘だったのだ。

 気づけなかった俺が悪い。俺が悪いが……後悔してしまう。


 こんな部活、入るんじゃなかった。


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