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弱小ラグビー部にて  作者: 柏
1/5

物語の始まり。

俺、新一(あらたはじめ)は中学校を卒業した。

楽しい生活だった。友人がいて、成績もある程度上位の成績をキープしていられた。部活動ではあまり楽しい記憶はない。けれど、こんなのはただの俺の僻みでしかない。

うちのサッカー部はそこそこ強かった。俺がいるうちに全国まで進むことはなかったが、何度か県大会では優勝している。その中で俺は一度もレギュラーとして試合に出ることはなかった。一年生のころは意識していなかったが、中学三年生になっても、後輩には追い抜かれ、最後まで二軍のままだったのだ。

 だからというわけじゃないが、俺はスポーツが嫌いだ。才能というものを思い知らされるから。努力が足りないと言われればそれまでだが、自分と同じことをしていて、自分も自主練をしていたのに、いつまで経っても試合ではうまくいかなかったのが俺の心を折った。理由なんてそれだけ。何かあるわけでもなく、「自分には合わないから」と切り捨てた。

 卒業式も特に問題も起こらず終わり、受験に合格している俺はただ怠惰に時間を過ごしていた。

 合格したのは青芝美波高校。通称青校。成績も中の上程度の高校だ。


 そして、高校説明会の日。


 当たり前だが高校説明会がどんなものかなど知らない。親の話を聞き齧った程度である。

 そこでの光景は大方予想通り。様々な部活が「うちの部活に来ませんかー!?」と勧誘している。ちなみにうちの高校は部活動に入るのが必須らしく、このどれかに俺は入る必要がある。

「ま、入るとしても囲碁将棋部とかそんなもんだよな。運動部に入る気なんて毛頭ないわけだし」

「私は運動部に入ってほしいけどなぁ」

 そう言う親。今日は説明の他教材購入のようなものもあるので、ほとんどの生徒は親同伴でやってきている。

「俺がサッカー部で最後までレギュラーを取れなかったのは知ってるだろ。もうスポーツをしたいとは思えない」

 そう言いながらビラ配りしている中を歩く。

 俺は受け取らないのも申し訳なく思い、多くの紙を受け取りながら説明会を行う体育館へと向かった。

 退屈な時間が過ぎる。話す内容は在学生としてこうしなさいとかそういう話ばかり。そんなもの、優等生だった俺が不祥事なんか起こすわけがない。けれど優等生として眠るわけにもいかず、話半分にぼーっとしていた。

 説明会も終わり。あとは授業教材を購入し、帰宅するだけ。

「しかし……案外多いな、この荷物」

「だねぇ」

 親の適当な相槌と共に荷物をえっさほいさと運ぶ。

 特別体を鍛えず、卒業以来動いていなかったのが祟ったようだ。なかなか運ぶのに難儀する。

「あ、重そうだね。その荷物もとうか?」

 そう話しかけられ顔を上げる俺。

「あ、すいません。でもなんとか――」

 とても短いパンツ。ムキムキの手足。薄いTシャツ。

 ……これは、関わっちゃいけない奴だ。

「あ、すいません。困っているところを」

 などとのたまう親。

「だ、大丈夫です! 一人で運べますから!」

「いえ、特に見返りなどは求めないので! 任せてください!」

 そう言って俺の荷物を手に取る先輩。すげぇ軽そうに持つ……。

 そうして俺らの案内と共に車まで。

「ラグビー部をよろしくお願いします!」

 そう言って去っていった。

「……ったく、入らねぇっての」

 誰があんなガチムチの部活に入るってんだ。俺は温厚に高校生活を終えたいんだ。変なのに巻き込まれるのはごめんだぞ。


 そんなことを考えながら家路をたどった。




 そして、入学式の日。

 ここで俺の目標を説明しておこう。

 ここまで言ってなかったが、俺はれっきとしたオタクという人種だ。それは重々自覚している。中学の頃は同志が集まっていたが高校ではどうかわからない。だからオタクバレもしないよう、友人も作らず生活する。先生の話はよく聞く方だ。友人の手など借りずとも進級、大学に行くことも可能だろう。

 式典の前に、クラスでの顔合わせがある。顔合わせと言っても、入学式に赴くのがクラス単位だから一度集まるというだけのもの。

 そこで、問題が起こる。

 同じクラスに、中学の俺を知っている人間がいたことだ。

「お、ラッタじゃん」

 そう話しかけられる。

「ああ、中学以来だな杉山」

 話しかけてきたのは中学三年のころ同じクラスだった杉山(すぎやま)(かける)。特別仲が良かったわけではないが、今話しかけられたことからわかる通り険悪だったりするわけではない。

「……あのさ、呼び方についてはともかく、俺のオタク趣味については言いふらさないでくれよ」

 そう小声で釘を刺しておく。

「あーはいはいわかったよ。でもどうせ意味ないと思うぜ」

 オタク趣味がバレて学校内で煙たがられるのは避けたい。あくまで平穏な日々を目指してるんだ。

 ……意味ないってのがどういう意味かは知らないけど。

 

 そのあとは、つつがなく式典は始まり、終わる。

そして、式典が終わると部活紹介が始まる。ここでどの部活にするかを仮決めする、というわけだ。

「まずは文化部から紹介します!」

 お、先に文化部か。これはありがたい。

「われわれ美術部は——」

「人数は少ないですが、僕たち囲碁将棋部は仲良くやっています」

 特に特徴のない紹介。平凡で味がないと言えばそう言えるレベルのもの。

「次は運動部です!」

 ん、運動部か。こっちは特に興味な——

「サッカー部は、二年生11名、三年生15名で切磋琢磨しながら成長しています!」

 うるさっ。そりゃそうだ、運動部だもんな……陰キャとか言いたいわけじゃないが大人しめな文化部に比べると音が大きい。

 興味があったわけじゃないが如何せん暇だ。見てるくらいしかできない時間だろう。

 そう決めると少し気が楽になった気がした。

 サッカー部含め、様々な部活はパスやシュートなどを実演して見せた。

 その中で印象的な言葉はラグビー部や柔道部のこんなセリフだ。

「うちの部活に入ったら、体重が10キロ以上増えます!」

 ……筋肉の話というのは分かるが、これ、プラスの話なんだろうか。逆に入る気が失せるぞ……。

 そしてすべての部活紹介が終わると、教室に戻って荷物を持って今日の学校は終わりだ。

「っはー疲れた。っだあ運動部は声がでけぇなぁ。関わりたくねぇ……くわばらくわばら」

「全く。本当だよなぁ。部活なんて個人で決めるんだからこっからの仮入部で決めればいいっての」

 そう話しかけてきたのは……来たのは……

「誰だお前」

「あ、オレは同じクラスの高橋涼介。ラッタだっけ? さっき言われてたのが聞こえてさ。面白いあだ名で気になって。これからよろしく頼むよ」

 そういい手を出してくる。

「……よろしく」

 こういうタイプの人間ってのは、碌な奴がいない……じゃなくて、俺にとっては苦手なタイプだ。俺は日陰で暮らすしがないオタクなんだから、こういう明るいやつといるとSAN値が減る。とても。使い方が間違ってるような気もするが俺にとっては合ってる。

「ああ、じゃあまた明日」

「あ、うん。あれ、君のそのゲームって——」


 数十分後


「だろ!?このキャラクターが超絶推しなんだよな!」

「わかる!!でもオレはこっちの子の方が個人的には好みなんだよな~!」

 ゲームの話で盛り上がっていた。

 好きなゲームで話せる仲間って、いいなぁ……。

「そういえば、仮登録の部活ってどうしたんだ?」

「あー、オレはバドミントン。楽そうだし」

「スポーツで楽そうとか言えるのが羨ましい……俺は美術部だな。楽そうだし」

 お互い理由は同じようだ。同じと言っても基準が違うんだが。

 少し話し込んだ後翔は仮入部でバドをしに行った。俺? 俺はと言えば仮入部に行くのも面倒で直帰。どうせ楽な部活なんだ。わざわざ行くのもだるいって感じ。

 次の日から授業が始まる。早く帰って本読んで、さっさと寝てしまおう。


序の序、というところです。話としてはまだまだ展開していませんが、ここからラグビー部に入るまで、ラグビー部内での物語を描いていこうと思います。

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