ユキ
すみません。不慣れで「ユキ」が「アキ」になってたりしてました。
解説的で読みにくいと思いますが、がんばりますので、長い目で見ていただけるとうれしいです。
人や物の輸送や農作業に馬が普通に使われていた時代では、人々の馬に対する認識も今と違っていて、馬が人を噛んだり、蹴ったりすることは常識であった。
しかし、馬を見ることが競馬場や牧場に限られるこの時代では、そのような認識を持つ人は少ない。
ましてや少年団に入団してくる小学生はである。
まず彼らが知るのは、馬は、結構怖いということである。
サラブレットが住まいとしている馬房の掃除は、彼らにとって命がけの作業になる。
大人でも馬に噛まれたり、蹴られたりすると、場合によっては大きな傷や骨折になるので、そのような気持ちを笑うわけにはいかない。
実際に、先輩の歯型がつき、どす黒く内出血した腕を見せたれたりすれば、なおさらである。
ユキは違っていた。耳を伏せ、歯をむき出して威嚇する馬もいる中、ユキは、彼らが掃除しやすいように場所を空けてくれ、極めて友好的かつ協力的な対応であった。
当然、誰もが、ユキの馬房掃除を担当したがったが、そうならないのが世の中の常である。
良美が、初めてユキの馬房掃を担当したのは、少年団に行くようになって1か月が過ぎようとしたときであった。
それまで、他の馬の馬房掃で、馬房の隅に追い詰められて威嚇され、かなり怖い思いをしていた。
ユキの当番にあこがれた。
しかし、大人しい性格で、積極的に先輩にアピールできない良美には、なかなかかなわないことだった。
「おはよう。ユキ。今日は私が当番だよ。よろしくね。」
ユキが良美を見る目は、やさしかった。
一般的に馬は、人の三歳児適度の知能を持っていると言われている。
ユキはひょっとすると自分より、聡明なのではないかと良美が思えるほど理知的な目をしていた。
「友達になりたい。」
良美は、切実にそう思った。