修行後:黒白の荒野と竜の帝
どうも千夜です。
外に出るために色々と準備中です。簡単に言うと、鉱石を素手と素足で砕いて採掘しています。
鶴嘴というか、採掘のための道具は無いのだが、【採掘】スキルのお陰で、各鉱石の原鉱の(小)と、(中)が手に入る。たまに(大)も手に入るので嬉しい。
そして、林の少し奥に進んで、ゴブリン狩りをしている。破壊属性のお陰で、結構楽に戦えている。そして、ゴブリンのドロップでは良質魔石(中)と(大)が手に入るのだ。
「【螺旋】、『突拳』!」
「ギャグオ!」
「ギャギャ!」
「グギャギャオギャ!」
「【柳】、『廻流』」
【格闘】スキルは結構使える技が多い、『廻流』はソロだとよく使えるいい技だ。なんせ、囲まれて一斉に攻撃されても、回転しながら攻撃を受け流せるのだ。
「【螺旋】、『氣刃』!」
身体全体に【螺旋】、両手に『氣刃』を発生させ、高速回転して周囲の敵を切る。さらに、破壊属性が付与されているので、傷口がぼろぼろになっている。
そのまま、一人づつ【螺旋】の『突拳』を食らわせて倒していく。
「ふう、こんなもんかな」
アイテムも大分集まってきたし、ここから脱出しますかね。
ということで、壁を登ります。
手と足に破壊属性を纏わせながら、ズボっと岩の壁に指入れて登っていく。
「多分これ、普通の脱出方法じゃないんだろうなぁ」
上に行くと、天井のような場所もあるが、そこも問題なく進んで行く。
そこから上に上がるのが大変です。くの字から、足ブラーん、そして、頑張ってよじ登る。
「うーん。荒野かな?」
月明かりに照らされているのは、黒と白の地面が斑に続く荒野。
木はおろか、草一本生えていない。というか、モンスターやら獣の姿も、気配もしない。
「何処なんだここ?」
とりあえず、見える範囲には何も無い。
そう、何も無い
ただ、ただ、黒白の荒野が広がっている。
「とりあえず、進みますか━━」
と、暴風が襲ってきた、顔を腕で庇う。
どのくらいの時間がたっただろう?
腕をおろして前を向くと━━
「ッ!?」
月明かりに照らされた、金と銀の巨躯
全てを包み込みうる巨大な翼
地を這う巨大な丸太のような尾
口から覗くのは純白の牙
全てを斬り裂きうる爪
その深い紺色の瞳は射殺すようで
そこにいたのは……
「ドラ……ゴンっ!?」
身体が勝手に跪く
身体中から冷や汗がどっと吹き出す
怖い、恐い、畏れ多い
目の前にいるのは絶対強者
目の前にいるのは生態系の頂点
目の前にいるのは圧倒的捕食者
目の前にいるのは王者
今すぐにここから逃げ出したい。でも、身体が動かない。
ふざけんな!
耐えられないなら、今だけでも忘れてしまえ
『ほう、我が【竜帝圧】を受けて立ち上がるか』
【無心】スキルの間違った使い方かもしれないが、立ち向かうにはこれしかない。そして、こういう時のために準備をしてきた
『強き者よ、貴様の不屈の闘志に敬意を評し、我が息吹にて沈めてやろう』
竜の口が光輝く
俺が耐えることは不可能だ。
しかし
俺の全力をかけて、抵抗してやる!
『GRAAAAAAAAAAA!!!』
竜の息吹が迫ってくる。
「『氣砲』ォォォォォォォォォ!!!」
一時間の【溜め】、全力を込めた『氣砲』、そして破壊属性をのせて打ち出す。
轟音が荒野に響き渡る。
光の奔流が、圧倒的な熱量が、辺りを飲み込んだ。
一瞬の静寂の後………
『━━━見事だ』
俺は立っていた。
初期装備はぼろぼろになっており、身体は火傷で爛れている部分があり、『氣砲』を放った右拳はズタボロになっている。
それでも、俺は倒れない。倒れたくない。
『強き者よ、我が名は“竜帝”アルハガルナ。貴公は王者足り得る者、故に与えよう“覇王”の名を』
竜帝が、そう言った。
『それでは、貴公を始まりの町へと送ろう。次に合間見える時は、酒でも酌み交わそうぞ、強き者よ』
俺は、笑って訂正する。
「千夜だ」
『そうか、千夜………では、また会おう』
「あぁ、またな」
アルハガルナに別れを告げる。そして、視界が白くそまった━━
《1000レベル以上差のあるモノに対し、戦闘行動をとったことにより、称号【不撓不屈ノ者】を取得しました》
《1000レベル以上差のあるモノに戦闘行動をとり、生き残ったことにより、称号【空前絶後の生還者】を取得しました》
《称号【竜帝の友】を取得しました》
《“竜帝”アルハガルナより、“覇王”の二つ名が与えられました》
《【瀕死覚醒】スキルを取得しました。【緊急転移】スキルを取得しました。【竜血活性】スキルを取得しました。【覇氣】スキルを取得しました。【覇王圧】スキルを取得しました》
《『竜帝ノ覇衣・天』を取得しました。『竜帝ノ覇衣・地』を取得しました。『幻想ノ竜帝爪』を取得しました。『アルハガルナの涙雫』を取得しました》
“竜帝”アルハガルナは、この世界でいう神みたいなものです。プレイヤーが勝てるレベルではありません。まぁ、主人公ブレス相殺しましたけどね