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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
2章.“battle of the Imperial City ”
39/45

2━14.“黒轟”後編






“黒轟”のグレイマン


騎士王国ファルノートのクランの一つ、《黄昏の灰トワイライト・アッシュ》のクランマスターにして、ファルノートプレイヤー三強の一角。


彼についての情報は、三強の中でも最も多い。



そして



最も間違った情報(・・・・・・)の流れているプレイヤーである。











■中央噴水広場■











(くそっ。黒い雷と黒い炎を扱う事は聞いていたが、術系統じゃなかったのか………)



一瞬で自身のクランのプレイヤーを灰にされた骸王は、目の前の大男━━グレイマン━━に対して完全に警戒していた。


帝国に伝わっているグレイマンの情報は、黒い雷と黒い炎を操り、広範囲や範囲限定の攻撃、敵を一瞬で倒す高威力攻撃に、牽制に使われる低威力攻撃等々、その図体に似合わず多彩であるということだけ



(くそっ! 術系統じゃない雷に炎だとッ!? そんなの聞いたことがないぞ!)



「どうした? 誰も来ないのか?」


「ちっ! 全員一斉砲撃だ!」



《超暗黒傭兵団》のプレイヤー、残った全員が武装に施された収納箱(アイテムボックス)から、小型の大砲を取り出して、グレイマンに向けて一斉に弾丸を放った。


迫る弾丸を見たグレイマンは、臆することもなく右手を振るった。



「『灰と化せ』」



グレイマンに迫った弾丸は、そんな呟きとともに、一瞬で灰になる。



「なっ!?」



さらに、空中に留まる灰と、落ちる灰に別れ、地面に落ちた灰は、落ちた地面を灰と変え、さらにその灰が隣接する地面すら侵食し、灰と変えていく。


ちなみに、残っていた《黄昏の灰》のメンバーは、グレイマンが『灰と化せ』を使用した瞬間、物凄いスピードで逃げ去っている。



「な、なんなんだよこれはっ!?」


「コイツが俺の本来の戦闘方法だよ。ま、特別に見せてやるから、デスペナの後ゆっくり攻略法を考えな」



グレイマンの本来の戦闘方法は、敵味方関係無しに攻撃してしまう、無差別型。


無差別型は、味方すらも巻き込むリスクはあるが、敵に対しては恐ろしいほどの攻撃性能を見せるタイプが多い。



グレイマンの場合は、“灰化”と、“侵食”。


“灰化”は、物体を灰と変える能力


“侵食”は、物体のもつ性質を、隣接する物体にも与える能力



グレイマンは、両者の能力を使い、物体を灰に変え、その灰に触れた物体おも灰に変える攻撃を行う。


さらに………



「灰にばっか気をとられるなよ? その灰だけでも攻撃になるが、侵食力はかなり遅いからな」



グレイマンが自分で言った通り、“侵食”の速度はかなり遅い。



(ああ? なら灰をどうにかすりゃいいのかァ?)



そんなことをふと思った骸王は、収納箱から取り出した火炎放射器で灰を焼いてみると、簡単に消えた。


それを見ていた《超暗黒傭兵団》の他のメンバーも、火炎放射器を取り出して焼き払い出す。



「なんだよ! 思ったより強くないじゃん!」


「だな!」


「ハハハハハ! ファルノート三強の一人といっても、所詮はこの程度かァ!」



勢いを取り戻し始めた《超暗黒傭兵団》だったが、次の瞬間、その判断は間違いだったと理解する事になる。



「『黒鳴神』はもう使わせてくれない(・・・・・・・・)か………なら、地道にやってくしかねぇな。『黒龍火線ブラック・ドラグ・ライン』」


「そんなん当たるか!」



グレイマンが黒い炎でかたどられた龍を放つが、《超暗黒傭兵団》のプレイヤーは、余裕を持ってかわした━━━



「は?」



しかし、途中で軌道を直角に変更した黒炎の龍は、プレイヤーを飲み込み焼き付くした。



「なっ!? 何をしやがった!」


「ん? 見なかったのか? もう一度やるからちゃんと見とけよ」



続いては、黒い炎の龍と、黒い雷の龍が放たれ、両者共に直角に方向転換をしつつ、二人のプレイヤーをデスペナルティにした。


それを見ていたグレイマンは、あることに気がついた。


彼らが焼き払えなかった灰………空気中に漂っていたそれが、黒い線を………細い道のようなものを作っていた。



「“導火線”と“電線”………って所か?」



そう言いながらも、再び黒い龍を放って敵のプレイヤーを倒すグレイマン。


最早、彼にとって《超暗黒傭兵団》など、そこいらにいる雑魚モンスターと何ら変わらないとばかりに、黒い炎と黒い雷で倒していく。


骸王を除く、《超暗黒傭兵団》のメンバーが全員デスペナルティになった時、骸王は内に溜まった激情のままに、『魔導機械武装マギ・マシン・アーマー』の力を解放させる。



「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「お? 本気になったのか?」


「はんっ! 余裕でいられるのも今のうちだァ! こうなると後少ししか持たねェ! さっさとけりをつけてやる!」



骸王が発動させたのは、『機能過剰強化(オーヴァードライブ)』という、本当の意味での最終機能。発動すると、3分間武装のありとあらゆる性能が限界を超えてパワーアップするが、3分後に過剰な出力に耐えきれなくなった武装が、周辺もろとも大爆発を起こす。



「ハハハハハ! もう全部終わりなわだよォ! てめェがどう足掻いたってあの兵器はどうにも出来ねぇだろうが!」


「確かに、俺のスキルと借りてる(・・・・)能力じゃ、あのデカイのを破壊するのは時間がかかる」


「あ? 借りてる(・・・・)?」



骸王がグレイマンの言葉に疑問を感じた瞬間、帝国からやって来た巨大兵器……“対城塞兵器No.04 MCTメカニック・カノン・タートル”……王都を破壊するために今か、今かと待っていたその兵器が………



『ドガァァァァァァァァァァンンンン!!!!』



爆音とともに一部が爆発を起こした。



『なっ!? アナタ………なんでそこに━━━』



巨大兵器からした声も焦りを残して途絶え、再び爆発が起きる。



「なっ、なっ!?」


この国(ファルノート)を舐めすぎだ、バカ野郎」



唖然とした骸王に向けて、グレイマンの巨大な大剣が振り下ろされた。



(はっ。ここまでか………だが、こいつも無事ではすまねぇ………)



『機能過剰強化』による大爆発は、所持者がデスペナルティになった時にも起こる。それを知っていた骸王は、自身が倒されたとしても、グレイマンはデスペナルティになる可能性があると、思っていた(・・・・・)


しかしそこで、ゆっくりと振り下ろされる大剣の正体が分かってしまった。



(んなっ!? まさかっ!)



それは、大剣などではなく、大剣の形を取った、灰の集合体だった。



そして、大剣に触れた骸王が、跡形もなく灰となって消えた。



「周辺に被害が出そうなモノを、そのままにしておくわけねぇだろ」



最後にそう呟いたグレイマンは、爆発を起こす巨大兵器に向けて、進み始めた。






“侵食”は地味に持ってる人が多いです。そして、持ってる人は9割9部無差別型です。

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