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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
2章.“battle of the Imperial City ”
38/45

2━13.“黒轟”前編







■中央噴水広場■











『皆さーん! 申し訳ありませんが、今から王都を落としまーす! 三分待って上げるので、降伏の準備と死ぬ覚悟をお早めにー!』



そんな言葉とともに、大地を割って“対城塞兵器No.04 MCTメカニック・カノン・タートル”が王都に姿を現した。


王都中から悲鳴と怒号が響き渡り、襲撃者が現れた時以上の大混乱が起き始めた。


そして、ここ中央噴水広場での戦局も新たな動きを見せ始めた。



「ハハハハハ! もう終わりだなァ! お前らがどうあがこうと、王都は崩壊するんだよォ!」


「くそ! 最低限………俺が魔法を発動させる時間稼ぎが出来る奴だけ残って、後はあのガラクタを破壊しに向かえ!」


『了解!』



銀海の指令を受けた《黄昏の灰トワイライト・アッシュ》のメンバーが、直ぐ様行動に移り、散開していく


それを見ながら、《超暗黒傭兵団》のクランマスターである骸王は嘲笑った。



「はんっ! 今さら何しようが無駄だよォ、あの兵器からは小型の機械モンスターも出るからなァ。それの処理をしている間に、ことは済んでるだろうぜェ?」


「どうなるかは最後までわからんぞ━━」



銀海は、決着をつけるために詠唱を開始する。



「は! 無駄な足掻きをしやがってェ!」



骸王が銀海を仕留めるために動くが、銀海を守るように様々な近接系プレイヤーによる攻撃と防御、さらに、後衛からの援護射撃やデバフによって、動きを阻害される。



「ちっ! 鬱陶しいハエ共がァ!」



それでも、骸王と仲間のプレイヤー達は、身体能力の補正やステータスアップの効果の発揮された、帝国の新兵器である『魔導機械武装マギ・マシン・アーマー』を装備した《超暗黒傭兵団》のほうが若干強く、《黄昏の灰》のメンバーは、追い詰められていく。



しかし



劣勢を見せた《黄昏の灰》に希望の光が━━━



「準備が完了した! 総員! 連中を一ヶ所に集めろ!」



銀海の言葉に頷き、《黄昏の灰》のメンバーは敵を吹き飛ばしたり、押し出したりして一ヶ所に集めた



「ちっ! 何を」


「食らえ! 『ドラグ・ノヴァ・ストーム』!」



《超暗黒傭兵団》に向けて放たれたのは、竜おも一瞬で灰となる、爆炎の嵐。


さらに、銀海のもつ【魔法変化】スキルにより、圧縮、範囲限定された爆炎の嵐は、周辺被害を一切起こさず、範囲内にいるものを灰も残さず一瞬で焼き尽くす。



「我々を舐めすぎたな」


「そうかァ?」


「なにっ!?」



爆炎の嵐から、無傷の状態で《超暗黒傭兵団》が現れた。



「バカな! 魔法は完璧に発動したハズだ!」


「あぁ、あれをまともに食らってたら負けてたぜェ? けどよォ」



クックッと骸王が笑い、驚愕の表情を浮かべる《黄昏の灰》のメンバー達に、種明かしをする。



「この武装にはなァ、『対魔法完全防御障壁アンチ・マジック・バリア』が備わっててよォ、一日一回しか使えねえが、発動中は魔法やら氣術を無効化するんだよォ」


「なっ!?」



ガルガンシアの開発プレイヤーが、総力を決して完成させたのが、『対魔法完全防御障壁アンチ・マジック・バリア


発動中は、ありとあらゆる術系統の攻撃を無効化するという、トンでもない効果を発揮する代物だ。



銀海の必殺の魔法を耐えた《超暗黒傭兵団》のメンバーは、勢いのままに残った《黄昏の灰》のメンバーを次々と倒していく。



「ハハハハハ! 万策尽きたみてェだな!」


「くっ!」


「ま、デスペナルティになっても、また挑めばいい話だろォ? ま、今よりもっと早く負けるだろうがなァ!」



骸王が、無防備な銀海に向けて、トドメの一撃を食らわせようとし━━━



「よぉ、うちの庭でよくもまぁ暴れてくれたな」



骸王の拳を片手で受け止めながら、もう片方の手で葉巻を持った男。色が少し抜け落ちた黒髪に、無精髭の似合う筋骨隆々の大男が、ニヤリと笑ってそこに立っていた。



「クランマスター!?」


「何? コイツがァ………?」



遅れてやって来た、《黄昏の灰》のクランマスターグレイマンは、煙を吐きながら周囲を見回し、銀海に声をかける。



「よぉ銀海、ログインしたらあのデカイのがいてびっくりしたぜ、まぁ、あのデカイのは気にしなくて良さそうだったんで、こっちに来た……っと、あぶねぇな」



グレイマンは、骸王の蹴りを軽く避けると、葉巻を地面に落として、足で踏んだ後、どこから取り出したのか、自身と同じぐらいの大きさのある、巨大で無骨な大剣を構えた。



「さてと、んじゃあいくぞ」


「クランマスター! アイツらには術系統は効かない! 注意してくれ!」


「ん? そうなのか? んじゃ、試してみっか」



グレイマンは、《超暗黒傭兵団》の一人に目を留めると、そいつに向かって上げた腕を降り下ろしながら呟いた。



「降れ、『黒鳴神』」



次の瞬間。轟音とともに、グレイマンが目を留めたプレイヤー目掛けて、漆黒の雷が降った。



「ハハハハハ! 無駄だァ! 『対魔法完全防御障壁』の前には術攻撃なん………て…………はぁ?」


「お、術系統が効かないっていうから試してみたが、予想通り効くみたいだな」



雷が当たったプレイヤーは、消し飛び、後には真っ黒な灰しか残っていなかった。



「て、てめェ! どんなチートを使いやがった! んなのありかよォ!?」



骸王がグレイマンに向かって叫ぶが、それをニヤリと笑ってグレイマンは流す。



「このゲームでチートなんざ使えないのは当たり前のことだろ? 術系統を無効化する程度なんだから、いくらでも抜け道はある」


「はぁ?」


「ま、受ければ分かるさ」



右手に黒い炎を生み出し、左手に黒い雷を迸らせたグレイマンが、骸王を見ながらそう呟いた。





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