2━5.幽霊屋敷
「ここがそうか?」
「うん。そうみたい」
幽霊屋敷の調査の依頼を受けた俺達は、街の外れにある屋敷に到着した。
屋敷の外観は、そこまでぼろぼろというわけでもないが、屋根からは草が生えているし、蔦がかかってもいる。後は、蜘蛛の巣もついていたりするし、まんま廃屋……まぁ、幽霊屋敷な見た目をしていた。
それにしても、街中にもモンスターっているんだな、気を付けないと
というわけで、桂月に街中によく出るモンスターがいないか聞いてみたのだが……
「基本出ないよ」
「え? でも、幽霊は出るんだろ?」
「……あぁ。ここに出るとしても、モンスターのゴーストだとかじゃなくて、普通の幽霊だと思うよ」
「普通の幽霊って、幽霊?」
「そう」
つまり、死んだ人(この場合は住人など)の魂が、何らかの理由で未練を残したりしていると、幽霊になるらしい。この場合、【霊感】やらのスキルがないと見えないそうだ。
幽霊にも強さのようなものがあり、中にはポルターガイストを起こしたり、呪いをかけたりしてくる奴もいるらしい。ちなみに、未練の強さ……基本は憎しみとか怒りが大きいほど強いそうだ。
「倒しかたとかあるのか? やっぱりお祓いとか?」
「モンスターより楽だったり、大変だったり、めんどくさかったりする」
なんでも、未練を解消させて成仏させる方法なら誰でも出来るが、さじ加減が微妙過ぎて、この方法をやる人は少ないらしい。
続いては、普通に祓う。といっても、危険な幽霊の場合のみで、特に害のない幽霊は放置らしい。
さて
「……【霊感】スキル持ってる?」
「ないよ」
「えっ!?」
「でも、別の方法がある」
そう言うと、桂月は右耳についたヘッドホンらしきものをトントンと叩く。すると、右目の前に眼鏡のレンズのようなものが現れた。
「新しいタイプの眼鏡?」
「違う。装備品」
話を聞くと、『極翔龍・空鏡天眼』という装備らしく、望遠、透視、看破、完全視という能力が備わっているらしい。
そして、完全視で幽霊を視ることができるらしい。
「どうだ? いたか?」
「ん~?」
中に人がいるのは分かったそうだが、視れるようになるだけであり、それが幽霊なのか人なのかは、実際に見えないほうの左目で見ないといけないそうだ。
というわけで、幽霊屋敷に入ることになりました。
「中は………普通なのか?」
「微妙」
床がギシギシいうし、内部は外よりぼろぼろな気がする。
築何年なんだか
とりあえず、桂月に誘導されて進む。
「幽霊屋敷の調査って、そういえばどうすればいいんだ?」
人間が二人かな? スキルレベルが低いからまだよく分からないんだよな。とにかく、ここにいるのは幽霊でないかもしれない。
「幽霊がいるかどうかの確認だけでいいみたい」
「ふーん。あ、なんで幽霊がいるって言われてるんだったっけ?」
「変な音とかするけど、人がいた痕跡がないからだって」
「成る程」
それ幽霊じゃなくて、後ろから着いてきてる奴じゃないか? 桂月も気付いているようだが、一先ず泳がしておく。
桂月の案内で暫く進むと、何か物音というか、声が聞こえてきた。
「ん? 幽霊か?」
「………多分」
と、何故か桂月からフレンドトークがきた。聞かれたくないことがあるようだ。
『多分だけど、幽霊はいない』
『そうなのか?』
『ん。死霊術士かも』
死霊術士の中には、普通の幽霊に協力してもらえる奴がいるらしい。というか、桂月のフレンドに沢山の幽霊の友達がいる死霊術士がいるらしい。
『面白くて、いい人』
『男の人?』
『? 女の人』
『そっか』
良かった。
さて、それにしても幽霊のふりとは………俺達にここにいてほしくないのか?
どうやら、幽霊よりもっと厄介なのがいるようだ。
しかし、どうするかな?
『どうする桂月?』
『ん~。いったん外に出るね』
『どういうことだ?』
『私が適当な理由で屋敷から出て、気づかれないように潜入する。千夜は、適当に屋敷の中を捜索して』
『了解』
というわけで、一芝居うつための打ち合わせを少々行う。しかし、俺もそうだけど、桂月に出来るかね? ま、とにもかくにもやってみることに
「いやっ!」
桂月が突然叫んで、首を振りながらいやいや言う。しかも、涙目で
演技うまっ!?
「まぁまぁ、俺がついてるからさ」
「無理っ! 怖いもん!」
もんって………後で追及するのはやめておこう。
「けどさ、後少しだろうから」
「いやっ! もう帰る!」
「あ、おい!」
桂月が涙を流しながら、屋敷の出口に向けて走って行ってしまった。にしても、本当にうまいな。役者になれるぞ、あれ
「さて、探索を続けますか」
忍者な桂月ならうまくやるだろうし、当初の目的通り適当に探索しますかね
次回は、桂月視点の予定です




