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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
2章.“battle of the Imperial City ”
27/45

2━2.恋模様


ヒロイン登場です






「それで? あれから茗ちゃん達はどうしてるんだ?」


「ん? あぁ、変なクエスト見つけたり、変なモンスターと戦ったりして、茗は上位の職に就いたってよ」


「早っ!? 何をどうしたらそんなことに……」


「知らん。ちなみに、“具現絵師エンボディメントアーティスト”だってよ」



戦い方だが、スケッチブックやキャンパスに描いた絵を具現化させることができ。ある程度操ることができるので、ぶつけたりしてダメージを与えるらしい。


いずれは、絵の軍団を作りそうな職業だ。



「なんというか、ダブルFは奥が深いなぁ」


「だな」


「そういや、千はこの後帰ってやるのか?」


「いや」


「どっか行くのか?」


「あぁ、ちょっと」



創とは大学で別れて、そのまま目的地に向かう。


実は、ゲームが楽しすぎて行っていなかったカフェに、久しぶりに行こうと思うのだ。


大学から家への道から外れて、暫く歩く。


周囲と埋没するように、ひっそりとそのレトロなカフェは今日もある。


扉を開くと、綺麗な鈴の音が聞こえた。



「おや、久しぶりですね千さん。いらっしゃいませ」


「久しぶり、マスター」



このカフェのマスターで………名前、年齢、その他もろもろが不明のマスター。


見た目は、グレーの髪をした落ち着いた雰囲気のある、髭の無い50台~60台くらいの男性で………カフェのマスターと言われて直ぐに納得出来る容姿と言ったら、分かってもらえるだろうか?


ちなみに、バーで働いていたことがあるらしい。


なんというか、謎の人物である。



店の中を見回すが、俺以外は誰もいない。


とりあえず、カウンター席に座る。



「何になさいますか?」


「いつもので」


「かしこまりました」



俺はここの常連だ。


高校一年生の時にここを見つけ、ここの雰囲気と味を気に入っていらい、不定期に通っている。


俺が先ずいつも頼むのは、紅茶と日替わりスイーツである。


ケーキやプリン、ティラミスなんかは普通にあるのだが、それ以外でマスターが気紛れで作るスイーツ、それが日替わりスイーツだ。


通称、マスターの気紛れ今日のスイーツ。



「今日はこちらになります」


「…………ナニこれ?」


「たい焼きです」



マスターが出したのは、確かにたい焼きだが………


大きさが普通ではない。


何故か、ホールケーキ一つ分ぐらいもある。



「うまい」



しかし、食べてみると美味しい。


本当に、このマスターはいったいぜんたい何者なんだろうか?


いつも通りの疑問を浮かべていると、扉の開く音と鈴の音が聞こえてきた。



「こんにちわ」


「いらっしゃいませ。ラウラさんは昨日ぶりですね」


「そうだね」



入って来たのは、白と青を基調としたワンピースに、黒のジャケットを羽織った、綺麗な白髪に澄んだ青い目をした女性である。


八影(ヤカゲ) ラウラ。


日本人の父親とロシア人の母親のハーフで、俺と同い年。



「久しぶり」


「久しぶり」



ラウラが、俺の隣に座った。


彼女とは、このカフェで会って仲良くなった。



「最近来なかったけど………何してたの?」


「ゲームが面白くて」


「ふーん………」



ちなみに、一目惚れである。






…………………






正直、この年まで生きてきて、恋の一つもしてこなかった………つまり初恋の俺は、何をどうすればいいのか分からない。


マスターにも相談して━━━創には話しづらいし、隣の家の奴は論外、家族は嫌な予感がするので━━━協力してもらってるのだが………


出会って3ヶ月は経つが、進展は殆ど無し。


しかし、これは仕方ないと言う他無い。


なんせ、ラウラと同じ店にいるだけで、かつて無い緊張が襲ってきているわけで………



それにしても、ラウラは今日も可愛らしく、綺麗だ。



「ゲームといえば、先日知り合いからお礼だと言われて、これを貰い受けまして」



そう言って、マスターがカウンターに置いたのは、『Freedom Frontier』のハードだった。



「あ、俺が最近やってるのコレだよ」


「そうなの?」



マスターに言ったのだが、反応したのはラウラで、身を乗り出して迫ってきた。



「あぁ、友達に貰ってやり始めたら面白くて」



ドキドキしながらも、なんとか言葉を返す。



「………そっか。実は、私もやってるの」


「え?」



マジか



「そうなんですか? いやはや、このゲーム店も出せると聞きましてね、どうせならゲームでもカフェをやろうかと……前々から気になっていたのでね。そうだ! お二人もやっているんでしたら、ぜひご教授願えませんか?」


「え? まぁいいけど」


「私も」


「そうですか、良かった。でしたら、今週末の現実(リアル)で8時に、このゲームのスタート地点に集まるというのでどうでしょうか?」


「いいけど……」


「私も予定無いし」


「では、決まりですね」



トントン拍子に進んでしまい、現実で連絡を取り合えたほうがなにかと便利というマスターの言葉に従い、三人で連絡先を交換した。


そう、今の俺のスマホには、ラウラの連絡先が登録されている。


嬉しくてガッツポーズをしそうになるのを抑えて、用事を思い出して、その日は帰った。






■千が帰った後の店内■






スマホの連絡先に、彼の名前がある。


嬉しくて、嬉しくて、仕方がない。



「いやはや、上手くいきましたね」



マスターの心遣いには感謝するしかない。ゲームでは、精一杯恩返しをしようと思う。


とりあえず、今日のところは帰ろう。


じゃないと、嬉しくてゴロゴロしそうだから



「マスター、またね」


「えぇ、またのご来店をお待ちしております」



『カラン。カラン』



「さてと、両片思いのサポートは簡単でいて難しい。しかし、お二人のためにも頑張りますかね」






両片思いです

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