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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
1章.“死狩兎の踊る森”
23/45

1━18.戦いの終わり


久しぶりの、千夜視点です






さて、【ヴォーパル・カイザー】なのだが………



正直、唯一無二の能力があるの? と、言いたくなるほど肉弾戦しかしてこない。いやまぁ、“氣”の上位に位置するであろう“覇氣”を相殺されているので、それが唯一無二の能力なのかな? と、思ったのだが………


普通に【氣術】のレベルが高ければ、相殺できるんじゃないか? と考えて、他にも能力があるのかな? となるのだが………



「ギュイ!」


「【柳】、『川流』」



単一の場合の、受け流し技


受けるのは不可能と判断し、先ほどから受け流すのにとどめている。


『竜帝ノ覇衣』によって、防御力は上昇してはいるのだが、それでもダメージを食らう。といっても、攻撃がかすってだ。なので、直撃すればかなり不味いことになるかもしれない。



「ギュイ! (『断頭斬波』)」


「【破壊撃】、【剛】、『氣刃』!」



こちらに向けて飛んできた……というか、完全に首を斬り落とすコースで飛んできた、真空刃のような刃を、破壊属性を強く纏わせた『氣刃』で、破壊する。


避けてもよかったのだが、弾丸のようにこちらに飛んできたので、今度は【ヴォーパル・カイザー】の上を通るように、跳び前転をして回避する。


木の倒れる音を聞いたので、直ぐに振り返る。



「ギュイィィィィィ」


「【螺旋】、『氣弾』!」


「ギュイ!」



『氣弾』を弾かれるのは想定済み、直ぐ様飛び蹴りを【ヴォーパル・カイザー】にかます。


直撃したので、そのまま追撃を仕掛ける。



「【剛】、しっ!」



氣の威力を単純に上げたければ、【剛】を使えばいい。単純に攻撃力が上がるので、魔法系スキルを持っていない近接攻撃職は、殆ど全員が持っているスキルだろう。


【螺旋】のほうは、槍とかの突くタイプの武器の近接職の人にとっては、必須といえるスキルで、“氣”を螺旋状に回転させられるので、威力を格段に上げられるのだ。あ、後は弓矢や、銃なんかも威力が上がるらしい。


とにもかくにも、“氣”の特性を【剛】に変えて、倒れていた【ヴォーパル・カイザー】に、踵落としを食らわせる。



「ギュイ!」


「がっ!?」



腕でガードされて、身体を回転させて蹴りを叩き込まれた。


痛い。


痛覚100%にしたせいで、かなり痛いんだよな。


まぁ、アルハガルナの息吹を相殺した時に比べれば、そうでもない痛さだ。あの時は、死んだほうがマシだなと思ったからな。



「ギュイィィィィィ!!!(【死面礎化】)」


「……本気……ってかんじだな」



【ヴォーパル・カイザー】が、ドス赤黒いオーラに包まれた。全身が見えなくなり、オーラにより輪郭が分かるぐらいだ。


そして、赤い瞳が輝くように、俺を睨みつけている。



「そっちが本気なら、俺も本気でいきますかね、【竜血活性】」



身体の奥底から、力が溢れ出てくる。


血液が力強く脈動しているのが分かる。


身体に、白いオーラが溢れ、そこに赤いオーラも混ざっていく。


よく見ると、手や腕に白銀の鱗が出ている。


成る程、【竜血活性】とはよく言ったものだ。



「『竜の爪撃(ドラゴン・クロー)』」



以前とは威力のまるで違う。いや、規模のまったく違う三つの斬撃、竜の爪の一振りが放たれた。


当たれば、ただでは済まないだろう。


しかし


【ヴォーパル・カイザー】は、避ける素振りも見せずに、その右足を振り抜いた。



「ギュイィィィィィ!!!(『死狩空鎌』!)」



【ヴォーパル・カイザー】の脚から放たれたのは、巨大な漆黒の鎌の斬撃


死の気配を纏ったようなソレは、俺の放った『竜の爪撃』を打ち消した。



「ギュイィィィィィ!!!」


「【柳】、『カウンター』」



飛び蹴りをかましてきた【ヴォーパル・カイザー】の攻撃を、そのまま反す。


【柳】と【無心】を発動させているのに、ジャストは成功しなかった。さすがと言えばいいのかな? ダメージが少しづつ蓄積すれば、俺の多くないHPが、余裕で無くなるだろう。


つまり、短期決戦。


やるのは、隙を見つけてからの“肉を切らせて骨を断つ”



「【剛】、『氣弾』! 【螺旋】、『突拳』」



『氣弾』を放ち、【ヴォーパル・カイザー】に当たる前に、【螺旋】にした『突拳』を『氣弾』を殴りつけて、そのまま叩きつける。



「ギュガ!?」


「まだまだぁ! 【剛】、『氣刃』!」



右足に『氣刃』を発動させて、蹴りつける。



「ギュイィィィィィ!!!(死狩嵐)」



蹴りを受け止めた【ヴォーパル・カイザー】が、少し前に使ってきた、暴風を纏ったような回転攻撃を放とうとしてきたので、急いで足の裏から“氣”を放出して、離脱。



「『竜の爪撃(ドラゴン・クロー)』!」



両手を交差させて、二つの『竜の爪撃』を放つ。


回転の勢いを弱らせることが出来た。


さて、どうするかな………


前と同じように、『廻放』を使うか?


いやしかし………


と、迷ってる暇はないようだ。



「【破壊撃】、【螺旋】、『廻流』」



相手の攻撃を受け流し続ける。


さて、ここからは……


その場から、緊急離脱。



「ギュイ!?」



真上に……だ。



「【破壊撃】、【剛】、『氣弾』!」



【溜め】を行っていた左足から、『氣弾』を放つ。


高速回転中の物には、側面から当てても弾かれる可能性のほうが高い。


しかし、上からならば……



「ギュゥガ!?」



よし、当たった。


このままいくとしよう。



「ギュイィィィィィ!!!(『死狩鎌』!)」



全力の攻撃か………


まぁ、俺は空中にいる。回避のしようがないのは、一目瞭然だろう。


迫り来るのは、死の気配を纏った脚撃



「……【堅】、『不退転』」



迫り来る脚に、左腕に集中させた、【堅】込みの『不退転』を叩きつける。


砕け散るのは俺の腕


しかし、隙は作った!



「【螺旋】、『貫手』!」



【ヴォーパル・カイザー】の右目に、右手を突き込む。



「ギュグァ!?」


「『竜の爪撃(ドラゴン・クロー)』!」



止めだ。


右手から放たれた『竜の爪撃』は、【ヴォーパル・カイザー】を内側から三つに斬り裂いた。



「……ギュゥ……」


「………」



動かないが、油断はしない。



『………満足だ』


「……」


『全力かは分からないが………それでも楽しかったぞ』


「……そうか」


『あぁ………千夜、腕を犠牲にするのに躊躇いは無かったのか?』


「どうせ治るからな」



それに、勝利する確率が上がるからな



『ククク………面白い男だな……出来れば、来世は友になりたい……いや、それは不可能だな……』


「今からだってなれるさ」


『………そうか? ならば、お前は生涯最初で最後の友だな』



【ヴォーパル・カイザー】の身体が、光になって消えていく……



『千夜よ……我は消えるだろうが、“証”は残るだろう。お前の手に収まるだろう』


「そうだろうな」


『さらばだ………次はきっと━━━』



最後に何を言おうとしていたのかは分からなかった。


しかし、俺も満足出来た。



……………



この左腕どうするかな……



《お知らせします》


《5体のユニーク個体が討伐されました》


《討伐最大貢献者、“レイカ”、“ディロ”、“霧羽”、“桂月”、“千夜”に討伐報酬が与えられます》







【死面礎化】



作中にある通りというかなんというか、能力値の強化と、即死攻撃の強化、それと狂乱状態にもなってしまう、危険な能力でもあります。




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