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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
1章.“死狩兎の踊る森”
20/45

1━15.弱者ゆえの革命






「キュイ(『心得其二狂闘(フェイズ・ツー)』)」



【ヴォーパル・リベリオン】のその言葉とともに、灰色の板が弾け飛び、赤いオーラに包み込まれる。


それを見た三人は、警戒を強める。


先ほどの“不退”を見たため、強力な能力だとなんとなく予想しているのだ。


三人が思った通り、『心得其二狂闘(フェイズ・ツー)』は、“不退”とは全く逆ともいえる能力である。


“不退”が絶対強者から退かない力だとすると


“狂闘”は絶対強者を傷つける………いや、敵対者をただただ殺すための力である。



「キュイ!」


「ッ!? く!」


「ロンター!」


「大丈夫です!」



赤いオーラに包まれた【ヴォーパル・リベリオン】が、先ほどの、受けて反撃するという姿勢から一転。鋭い蹴りをロンターに浴びせ始める。


ロンターは、上手い具合に盾を動かして受け流していく。



「『ダブル・スラッシュ』!」


「キュイ!」


「よっ!」


「『シールド・バッシュ』!」


「ギュプ!?」



霧羽の二連撃は、一度目は当たったが、二度目は跳ね返された。しかし、霧羽はそれを避けて、霧羽のほうを向いた【ヴォーパル・リベリオン】に、ロンターが盾による攻撃を当て、吹き飛ばした。


さらに、吹き飛ばされた【ヴォーパル・リベリオン】に、追撃が入る。



「『ヘブンズ・クロス』~」


「キュイ!?」



起き上がった【ヴォーパル・リベリオン】に重なるように、光輝く純白の十字架が現れる。


【ヴォーパル・リベリオン】は、マントで跳ね返そうとしたが、それは叶わずに、十字架は強い光を放った後に消え去った。



「キュイ?」


「うーん~、思った通り反射はされないけど~。ただの実体系には~、やっぱりあんまり効果ないね~」



蒼百合が放ったのは、光属性の魔法の中でも強力な魔法だが、非実体系や死霊系に強いだけで、ただの実体系にはあまり効果はない。


しかし、直接当てるタイプの魔法ではないため、反射はされないようだ。



「キュイィィィィィィ!!!」


「行かせません『グラウンドガード』」



【ヴォーパル・リベリオン】は、蒼百合に向けて飛び蹴りを食らわせようとしたが、和って入ったロンターが、地面に盾を突きつけて攻撃を完全に受け止めた。


さらに、霧羽が攻撃を仕掛けようとしたが、【ヴォーパル・リベリオン】は、直ぐ様その場から離れた。


そして、【ヴォーパル・リベリオン】は、思考する。


“不退”も、“狂闘”も、この三人の連携の前にはあまり効果はない………と、


“狂闘”の能力は


攻撃力・俊敏の強化


攻撃回数の倍加


耐性無視


耐久を大幅に削る


以上の能力である。


時間をかければ、ロンターの盾を破壊して一気に仕留めることも可能だろう。しかし、破壊する前にこちらが殺られる可能性もある。


既にHPは3分の1を切っており、このままでは負ける………つまり殺られてしまう。終わってしまう。


だが、元より引くことなど出来ないのだ。


故に、最後の力にかけることにした。



「キュイ! (『心得其終革命(フェイズ・エンド)』)」



【ヴォーパル・リベリオン】が黒銀のオーラに包まれる。


最後の心得だけは、既に決まっていた。それが



心得其終革命(フェイズ・エンド)



どんなに弱い者でも、革命を起こすことは出来るのだ。


“革命”の能力は、【ヴォーパル・リベリオン】のありとあらゆる能力の強化。


それに加え、心得の一つの能力の全てである。


今回は、“不退”を使用している。



「今度は、なんだよ」


「なんだか不味そうですね」


「でも、やるしかないよ~」


「分かってるよ! 『リープ・スラッシュ』!」



霧羽が放った飛ぶ刃は、マントによって跳ね返され、音速を超えて霧羽に直撃した。



「ぐぁ!?」


「霧羽くん!? 大丈夫かい!?」


「あぁ………くそ。ペンダント割れた」


「あらら~、『ハイ・ヒール』」



吹き飛ばされた霧羽は、直ぐに立ち上がったが、首に下げていた。『肩代わりのペンダント』が割れているのを見て、残念そうな顔をする。


一度だけだが、即死攻撃や、致死ダメージを肩代わりしてくれる『肩代わりのペンダント』たが、かなり高い。


最近になって買ったのだが、買った後になんで今買ったんだろうと後悔した品物である。しかし、今回はこのペンダントによって命拾いした。



「キュイ!」


「赤いオーラを纏い始めましたね。えっと、もう盾が壊れそうなんですが………」


「なら、決めにかかりましょう~」


「だな! 作戦通りに行くぞ!」



【ヴォーパル・リベリオン】は、三人に止めをさす準備に入った。


どんな攻撃が来ても、跳ね返して相手を倒すことは出来るし、“革命”のうえに、“狂闘”の状態でもあるので、盾も直ぐに破壊出来るだろう。


【ヴォーパル・リベリオン】は、勝利を確信していた。


しかし、一つだけ間違えていることがあった。



「キュイィィィィィ!!!」



【ヴォーパル・リベリオン】が、盾を構えるロンターに向かって、蹴りを放つ。


蹴りが盾に当たると、盾は粉々になって砕け散った。止めをさすために蹴りを放とうとした【ヴォーパル・リベリオン】が見たのは、騎士の剣だった。



「『最後の守り』!」



“守る”というのは、守りたいものを守れればいいのだ。


しかし、盾を失った騎士の中には“守る”ことが出来なくなるものがいる。


そして誕生したのが、盾を失うことにより次の攻撃力を大幅に上昇させ、その後自身の防御力を1にするという技。


『最後の守り』である。



「ギュボ!?」



吹き飛ばされた【ヴォーパル・リベリオン】は、“革命”により命が救われた。


しかし、直ぐ様感じた嫌な予感に、“狂闘”を“不退”に変更する。



「『サンシャイン・レイ』~!」


「キュァァァァァ!?!?」



空より降り注いだ光の熱線が、【ヴォーパル・リベリオン】を焼いた。


しかし、まだ倒れない。


そこに、霧羽が剣を構えて走り寄る。


【ヴォーパル・リベリオン】は、自身のHPは残り少ないが、今駆けてくる男を倒せば、後の二人を倒すことは簡単であると、認識した。故に、再び“狂闘”に戻した。



「『銀破斬』!」



霧羽の渾身の一撃が放たれた。


それを、マントを振るって反撃する【ヴォーパル・リベリオン】、そして、直ぐ様残りの二人のほうを見る。


後は、あの二人だけだから



「【手加減】なんて使えないとおもってたんだけどな、『ブレイク・クレッセント』!」



突如として聞こえてきた、倒したハズの相手の声に、振り向こうとして━━━



「ァ━━━?」



━━━光の粒子になって消えた。



そもそも、革命とは下のものが上のものに対し行うものであり、上のものが下のものに行うことではないのである。


こうして、格上の撃破に至ったのは、霧羽、ロンター、蒼百合の三人だった。





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