1━14.叛逆者ノ心得
【叛逆近衛兎 ヴォーパル・リべリオン】
彼は、本当の意味で皇帝に忠誠などしていないのである。
ただ、他の近衛達を………皇帝を否定するために、打ち砕くために、自身の力の証明と自身の力を磨くために、そのために動向しているだけで、彼の真の目的は他の近衛と皇帝の撃破である。
故に、叛逆。
故に、リベリオン。
彼は、強大な力を打ち返すための能力を持っていた。
しかし、それだけでは足りなかった。
限界がある。
だから、それを補うために、とある能力を取得し、そして、絶対強者に対する一発逆転をするための、心得という名の枷を能力として手に入れた。
それが
【叛逆者ノ心得】
まだ3つの心得だが、それでも自身の弱点をカバーし、逆転できる能力を手に入れた。
先ずは、絶対強者の威圧を、強大な技を受けても退くことがない力
『心得其一不退』
それが、発動した。
◇
「キュイ! キュイ!」
「またなんか面倒くさそうな感じだな」
「ですね」
「でも~、戦い方はいいよね~」
「おう! そら!」
「キュイ!」
「『カバーチェンジ』」
霧羽が【ヴォーパル・リベリオン】に剣を叩きつけると、それはマントによって、反撃の一撃として反される。
しかし、次の瞬間には、霧羽とロンターの位置が切り替わり、反撃の一撃はロンターの盾によって受け止められ、それに驚き怯んだ【ヴォーパル・リベリオン】に、光の矢が3つ突き刺さる。
「キュイ!?」
「成る程~、防御力強化ですか~、『ライトアロー』~」
「キュイ!」
「こっちだ! 『ヘヴィ・スラッシュ』!」
「ギュ!?」
「ん!?」
追加で放たれた一つの光の矢は跳ね返されたが、それはロンターが再び防ぎ、反射後の無防備な身体に霧羽の渾身の一撃が【ヴォーパル・リベリオン】に叩きつけられたが、剣は【ヴォーパル・リベリオン】に当たった状態で、止まっていた。
これが、『心得其一不退』の力
物理ダメージ・魔法ダメージ70%減
物理エネルギー消失
威圧無効化
恐怖・畏縮無効化
以上の能力を持っているのである。
そして、敵を倒すまでその敵から20メートル以上離れられなくなる。
勝つまでは退くことはできない。それが不退である。
「なんか気持ち悪いな」
【ヴォーパル・リベリオン】に当てた瞬間に手応えがなくなった剣を見つめながら、呟く霧羽。そして、攻撃があまり効いていなさそうな【ヴォーパル・リベリオン】を見て、ため息を吐いた。
しかし、三人はこの程度ならば時間をかければ勝てると判断した。
「うおっし! やるぞ!」
「お~け~」
「ですね!」
「『リープ・スラッシュ』!」
霧羽が飛ぶ刃を飛ばし、直ぐに【ヴォーパル・リベリオン】の背後に移動し、それを撹乱するために蒼百合が光の矢を放つ。
そして、ロンターはいつでもカバーできるように身構える。
【ヴォーパル・リベリオン】は、そんな三人の行動を見ながら、身体にマントを巻き付けて、飛ぶ刃と光の矢を受けた。
「ん?」
「あれ~?」
「これは……」
今までと違う【ヴォーパル・リベリオン】の動きに、三人が戸惑っていると、【ヴォーパル・リベリオン】は霧羽のほうを向いて、マントを振るった。
「キュイ!」
「んなっ!?」
霧羽が驚愕の表情を浮かべる。何故なら、霧羽に向けてマントから、エネルギーの塊が放たれた。
霧羽は、ギリギリでエネルギーの塊を避け、ゴロゴロと転がる。
「んなのありかよ!」
「あらら~」
「そりゃまぁ、普通の攻撃もありますよね」
マントよりエネルギーの塊を放った技は、反撃する攻性ダメージを貯めて放つ能力。
【蓄積されし怒りの弾丸】
これによるものだ。
ダメージをストックし、エネルギーの塊として放ったり、次の反撃・反射時にダメージを上乗せすることができる能力である。
「まぁ、なんとかなるかな」
「だね~」
「とにかく気をつけていきましょう」
三人の言葉に、【ヴォーパル・リベリオン】も納得する。
なので、次なる手を発動させる。
「キュイ(『心得其二狂闘』)」
まだまだ続きます




