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『Freedom Frontier』  作者: 雪沢 泉
1章.“死狩兎の踊る森”
11/45

1━6.ウサギ?






森の中に出てくるのは、森に出てくるような生き物………


蛇とか、猪とか……


他にはゴブリンとコボルトなんかも出てきた。



「グギャア!」


「ギャギャ!」


「ほい、ほい」


「ギャボ!?」


「ギャボア!?」



ここら辺の奴らなら一撃で終わる。


というか、破壊属性強くないか? 攻撃を当てると、相手がぼろぼろと崩れるというか、砕けるというか、すごいことになる。うん。



「さてと、薬草、薬草」



頼まれていた薬草を探していく。


えーと、確かカヒリ草、マナ草、ユヤノ草、胡蝶花だったか



「とりあえず、鑑定していきますか」



特徴は覚えているのだが、この森の中だと注意深く見なきゃ分からないのだ。これなら、鑑定を発動させて見つけるほうが楽だ。


そういえば、二人は幾つ採取してこいとか、数を指摘してなかったな。まぁ、あるだけ取っていくか。



「薬草、薬草…………ん?」


「………?」



なんか、スライムがいる。


青くてプルプルしているあれですよ。


さて、スライムが出たのだから倒せば? と思うだろうが



━━━━━━━━━━━━


ブルースライム

状態:使役


━━━━━━━━━━━━



使役ということは、誰か主人がいるということだ。


プレイヤーかな?



「ルイー? 何処だーい? ルイー……あ、いたいた」



草むらから出てきたのは、真っ赤なスライムを頭に、緑色のスライムを左肩に乗せている少年だった。


髪は黒の混じった緑色で、瞳は水色をしている。


っていうか、ギルドで他のプレイヤーにパーティーを組んで欲しいとお願いしてた子じゃないか



「あ、どうも」


「どうも。スライムだらけだな」


「アハハハハハ。使役枠が増えたら、勝手に仲間になってまして………仕舞いには【スライムマスター】なんて称号が………」



【スライムマスター】って…………


なんというか、何とも言えないな。しかし……



「あんまり、他のプレイヤーにスキルとか称号のこと話さないほうがいいぞ。中には、利用しようとするプレイヤーがいるからな」


「あっ、そうですよね。ありがとうございます」


「いいよ、いいよ。そういえば、一人なのか?」



従魔師(テイマー)のようだが、パーティーを組んで欲しいとお願いしてたし、無事に組めたのかな?



「スライムだけのテイマーとは皆さん流石に組めないようで………昨日始めたばかりなんですけど、フレンドも一人もいないんですよね」



乾いた笑いを浮かべる少年は、最初のボスの熊はなんとか【回復魔法】を取得していたので、回復職としてパーティーに入って倒せたそうなのだが、本業のテイマーでは全然駄目らしい。


なんというか苦労してるんだな。しかし、将来は面白いことになりそうだ。



「良かったら、俺とフレンドになるか?」


「え!? いいんですか!?」


「あぁ、将来面白いことになりそうだからな」


「え? まぁ、とりあえずありがたいです。あ! ぼくディロと言います。それで、青いのがルイ、赤がシモン、緑がリメノです」


「俺は千夜だ」



ディロとフレンド登録をする。


レベル上げをするというディロと別れる。


スライム達が、別れ際にディロと同じようにお辞儀をしたのにはびっくりして、笑ってしまった。


いやね、これほどコミカルだと笑っちゃうでしょ。



「さてと、引き続き薬草探ししますか」



とにかく、薬草を採取していく。頼まれていた薬草以外にも、鑑定で薬草と出ている物や、ポーションに使えるという物も採取する。


採取するだけ採取して、あの二人に作ってもらおうと思いました。



「薬草、薬草、薬草………ん?」



薬草をプチプチしている時、ふと気づいたことがある。モンスターがいないのだ。


なんだろう……モンスターがいないというだけなら、ゆっくり薬草採取ができるからいいのだろうが、別段そういうわけではない。だって、ここフィールドだよ? モンスターは普通に出てくるもんだよ?



「いったいどういう………ッ!?」



突然、悲鳴が聞こえてきた。


沢山の悲鳴。おそらくだが、プレイヤーだろう。


ここは初心者用のフィールドのハズなのに、なんでこんなに沢山のプレイヤーの悲鳴が聞こえてくるんだ?


一つは、初心者狙いのPKの仕業


もう一つは……



「ギュイ!」


「うぉ!?」



黒い物体が飛んできた。それを、間一髪で回避する。



「ユニーク個体かっ!」



現れたのは、俺の背丈ほどもある漆黒の兎。


長い耳には、宝石のついた黒い金属のリングが着けてあり


爛々と紅く輝く瞳が、俺を睨みつけている。


鑑定してみると、こうなっていた



━━━━━━━━━━━━


【死狩帝兎 ヴォーパル・カイザー】


推奨レベル:780


━━━━━━━━━━━━



おぃぃぃぃぃぃ!!! 運営ーー!!?


こんなん初心者フィールドで出していいユニーク個体じゃねぇだろ! 出すなら、推奨レベル50ぐらいが限界だろうが!



「ギュイィィィィィィ!!!」


「ッ!?」



威圧か? しかも、なんだか嫌な感じを混ぜこんだ威圧のようだ。しかし、【不撓不屈ノ者】の効果で、無効化できたようだ。良かった。


しかし、悲鳴は絶えず聞こえてくる。


まさか、複数いるタイプか!? しかも、かなりバラバラになっているようだ。



「ま、他を気にしてる暇はなさそうだな」


「ギュ」



黒兎は、威圧が効かなかったのを見ても、特に驚いたふうもなく構えた。


さて、アルハガルナほどではないが、強敵だ。しかも、アルハガルナのように見逃してくれるような奴ではない。目を爛々と輝かせて、俺を殺す気まんまんのようだ。死狩とはよく言ったものだな。



「ギュイィィィィィィ!!!」



黒兎が叫びとともに突撃してくる。


こうして、“ガナ森林”でのプレイヤー対死狩兎の戦いが始まったのだった。








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