修行開始前:始まりはランダムから
明けましておめでとうございます。今日より投稿を始めた作品です。
「………VRゲーム?」
「そっ!」
大学の食堂、俺の正面に座った友人が、唐突に言い出したのは、一緒にVRゲームをやらないか? というお誘いだった。
「『Freedom Frontier』ねぇ」
俺も名前だけは聞いたことがある。確か……全世界で大人気なんだっけか? よく覚えていない
「そ! 一年前に出たんだけど、直ぐに人気がでてさ! やっと買えてプレイしてみたら、面白いのなんのって、それで、お前も誘おうと思ったわけよ!」
「しかし、俺がゲーム下手なの知ってるだろ?」
そう、俺こと京極 千は、ゲームが土下手である。それはもう下手である。
目の前にいる友人の三原 創に、色んなゲームをプレイさせられたが、壊滅的だった。いつしか、創はゲームを薦めなくなったっけ、なのに、今になってどうしたのだろう?
「ちっちっち、このVRゲームはまるで現実の自分を動かすように、キャラを操作できるんだよ」
「……どういうことだ?」
「簡単に説明すると、もう一つの世界を冒険するというか、異世界に行った感じかな?」
「成る程」
つまり、今いる世界がゲームになった感じね。コントローラーを使うゲームの上手い下手ではなく、どちらかというと身体を良く動かせる人が有利なゲームかな?
しかし、そういうゲームならやってみてもいいかもしれん。
「基本的にはパーティーで攻略って感じだけど、千は━━」
「一人でやるぞ。たまになら大勢もいいけど、暫くは一人でやりたい」
「そうか! そうか! やる気になってくれたか! とりあえずは、レベル上げ頑張れよ。最初のボスと戦う時は呼べよ、手伝うから」
「了解。それじゃあ、大学終わったら買いに行くわ」
「ふっふっふ。こんなこともあろうかと! じゃーん! 用意しておいたぜ!」
「え? いいのか?」
創が、俺のほうにVRヘッドギアと、『Freedom Frontier』と書かれたソフトを渡してきた。
しかし、これ高いって聞いたけど大丈夫なのか?
「大丈夫、大丈夫。それ貰い物だから、でも、うちはもうやる奴全員持ってるんだよ。だから、お前にやる!」
「ありがとな、早速やってみるよ」
「おうよ! あ、これ俺のフレンドコードな、説明書読めば何か分かるから、登録したら連絡寄越せよ」
「分かった」
その後、大学の講義を全てすませた俺は、早速帰って説明書を読んだ。
とりあえず、RPGのようにメニューがあり、見れるのは自身のステータス。現在受けている、依頼、クエストの内容。世界地図。フレンドに関する項目らしい。
そして、デスペナルティ。
HP……つまり体力というか命が0になった後のペナルティだが、ゲーム内時間で三時間の全ステータス半減。一部スキル使用不能。自身の称号効果の無効化。一部アイテム使用不能。そして、一番最近よった神殿への強制転移である。
なんか、結構厳しいけども、色々と理由があるらしい。
とりあえず、こんなもんでいいかな? 知っておけばいい情報は知れたので、さっそくゲームを始める
気がつくと、白い空間に一人立っていた。
《『Freedom Frontier』へようこそ》
突然、抑揚のない女性の声がし始めた。
《この世界でプレイヤーであるあなたは、異邦人として降り立ちます》
《冒険、生産、開拓、悪人、善人、あなたは好きなようにこの世界を生きることができます》
《この世界をどう見るかはあなた次第ですが、よく考えて行動するといいでしょう》
《では、キャラクタークリエイトを開始してください》
なんか意味深そうで、そうでもないようなことを言っていたが、なんなんだろうね? ちなみに、俺は適当に生きます。
キャラクタークリエイトだが、目の前に鏡のようなものと、ウィンドウが浮かび上がっている。容姿は、鏡を見ながら弄れということだろう。
ええっと、確か髪と目の色だけでも変えといたほうがいいんだっけ? とりあえず、髪は銀色と灰色の中間、目の色は青紫にしてと
次は、種族だな。人族、獣人族(犬か猫)、エルフから選べるようだ。普通に人族……と、獣人族にすると獣度とかも弄れるらしいが、するつもりはないので気にしない。
さて、次はステータスだな。名前と、性別、職業、初期能力値にボーナス5ポイントの割り振り、それとスキルポイント15でスキルリストのスキル習得……か
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〈名前〉千夜 Lv:1
〈職業〉格闘家
〈種族〉人族
〈性別〉男
〈所属〉
HP 100
MP 100→95
〈能力値〉
STR 10→20
VIT 10
INT 10→5
MID 10→5
DEX 10
AGI 10→15
LUK 10→15
(0P)
〈称号〉
無し
〈スキル〉(0P)
【格闘:Lv1】【体術】
【腕力強化:Lv1】【俊敏強化:Lv1】
【解体】【料理:Lv1】
【鑑定:Lv1】【気配察知:Lv1】
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色々弄った結果こうなった。
なんか、上げるだけじゃなくて下げて割り振りポイント増やせたので、知力と精神、MPを下げて別に割り振った。
スキルだが、【格闘】2ポイント、【体術】2ポイント、【腕力強化】1ポイント、【俊敏強化】1ポイント、【解体】2ポイント、【料理】2ポイント、【鑑定】3ポイント、【気配察知】2ポイントで15ポイントだ。
それで、レベルが一つ上がると、HPMP5上昇、ステータスポイント2、スキルポイント1上昇する。
あ、名前だが千夜にしておいた。名前に“夜”を追加しただけだが、結構いい感じなのでいいだろう。
さて、これでオーケーと思ったが、なんかウィンドウがまだ下にいけるようだ。何故に?
ウィンドウ右上に常に出ている《ゲームスタート》を無視して、下げる、下げる。すると
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〈初期地点〉ファノの町→ランダム
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こうしておいた。なんで下にこんなのがあるのか不明だが、ファノの町、東の草原、西の草原、北の森、南の森、ランダムの何れかを選べたので、ランダムにしておいた。ちなみに、それ以上調べても何もなかった。
ということで
ゲームスタート!
この作品の更新ですが、とりあえず5話分。次回は、2月の第1日曜日に2話分を予定。以後、一月ごと、第1日曜日に2話分づつを予定しています。