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*これは序章のようなものなので見なくても多分話は分かります。です。
平穏。
それが俺にとって一番重要なことだった。成績ルックス共に中の中で、退屈な授業を聞き流し、昼休みには友達とくだらないことをダベり、家に帰っては趣味に没頭する―――それが俺の日常だった。
そんな俺は八木沼優(16)。俺はそんな生活を気に入っていたし、このまま静かに暮らしていこうと思っていたのだが、俺が今日から通うことになる学校で、そんな思いは打ち砕かれることとなる。
俺が入学するのは俺の住んでいる街から随分離れたところにある学校で、学校名を蓮花高校というらしいのだが、なんでも最近出来た学校で、基本的には普通の学校なのだが、そこに通っている生徒や教師の中にそれはもう、大変な変人がいるらしい・・・
これだけ聞いていれば無視してればいいのかもしれないが、案外そうでもないらしい。
なぜなら、今その変人生徒にからまれているからだ。
「ねえねえ、君って、男の子だよね?」
入学式が終わり、HRも終わったところで、その少女はツインテールを揺らしながら俺にそう言ってきた。
なんなんだ一体。自慢じゃないが俺は人生16年の中で女の子っぽいとか言われたこともそう思ったこともなかったぞ。
「お、おう一応男だが、、」
「そっかぁ~、良かったあ♪」
「あ、一応、自己紹介しとくね。あたしは九条まろん。
趣味は漫画とか映画観賞かなー。」
なんか個性的な名前だな。本人は気にしてない様だから触れないでおくが。
「そ、そうか。よろしくな、九条。俺は――」
「八木沼優、でしょ?さっき自己紹介聞いてたからわかるよぉ」
「そ、そうか。それで、俺に何の用なんだ?」
さっきの「君って男の子だよね?」発言の事も気になるし、こいつ何者なんだ?
「あ、うん、えーっとね・・・」
そして言葉を続ける。
「あたしと、付き合ってくれないかな?」
・・・・・・・・・驚愕。
「えええええ!?」
いやいや、待て待て。一旦整理しよう。俺は今まで告白なんてワクワクイベントをするのはどっかのイケメン野郎か超絶美少女ぐらいかと思っていたのだが、それが今はなんだ、俺がそれの対象となっている。それによく見ればこの子結構顔は可愛いな。いかん。状況を整理したためか、ドキドキしてきたぞ。
「え・・・えっと、俺のどこに惹かれたのかなー、なんて・・・」
「一目惚れかなー」
・・・・・・・・・さらに驚愕。
さっきも言った通り容姿は大したことはないんだぞ?
「・・・・・自分で言うのも何だが俺以外にもイケメンはごろごろいるんじゃないか?」
「いや、顔じゃなくてねー、なんていうのかな、こう・・・オーラみたいな!?」
「何で疑問系だよ・・・」
「それでね、どうかな?」
不安そうに言う九条。なんか捨て猫みたいで守りたくなってしまう。
しかし困った。こんな顔されたらさすがに断るわけにはいかないしな・・・
「じ、じゃあ、友達からってのはどうだ?お互いのこともまだあんまり分かってないわけだしな、それじゃダメか?」
とっさに出たのがこれ。我ながらいい判断だと思う。だっていきなり付き合うとか無理じゃん。
「・・・・・・うん!それならいいかも!仲良くしよーね、八木沼くん!」
満面の笑み。なんだろう、性格覗く全てが可愛いなこいつ。ますます俺のことが好きだってのが信じられなくなってきたぞ。
そんなこんなで俺の高校生活記念すべき一日目は終了。友達(?)が初日にできたってのはいいことだと思う。
九条まろん。こいつとの出会いが、俺の高校生活を大きく左右することになるのは、言うまでもなかったことだろう。
続きは追って投稿いたします。