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「赦しの日」
『かつて在りし彼らの祈りの残火は、未だ私の内にくすぶり続けていた。
その火の粉は私を通し、どこへなりとも至る。
我が「主」は多くの火の粉を浴び、煤けていた。
我が「主」は教会の説くような「裁き」と「救い」の象徴ではなく、ただ純なる「想い」の塊であるようだった。
私は今日も一人、我が主に祈っている。
強く。
ひたすらに。
いつしか人が、私を「呪術師」と呼ぶのに相応しく…………』
〔「赦しの日」,第2章より〕
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