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扉の魔導師<BLUE BLOOD RED EYES>  作者: Cessna
母の良き息子
213/411

106-1、破れ、エルフの永遠の呪縛。俺がありのままの歌を絶唱すること。

 ある夜、突如として部屋にやってきた深紅の瞳の少女・フレイアに誘われて、俺(水無瀬孝、26歳ニート)は魔法の国サンラインへと旅立った。

 「蒼の主」ことリーザロットの館に招かれ、正式に「勇者」としての役目を引き受けた俺は、自警団の少女ナタリーらとの出会い等を経て、サンラインの歴史を左右する重要儀式「奉告祭」に参加する。

 だがそこで俺達は五大貴族の一人、及び異教徒「太母の護手」を手引きとした、敵国・ジューダムから襲撃を受ける。

 辛くも危機を脱した後に、俺達は少数精鋭で、都市・テッサロスタの奪還を目指し遠征を開始する。

 旅はつつがなく進むかに見えたが、その途上で俺達はまたもやジューダムからの刺客と遭遇、ついにはジューダムの王…………俺のかつての親友、ヤガミと対峙する事態にまで陥った。

 戦いの最中で仲間とはぐれ、満身創痍の俺達の下に現れたのは魔導師・グレン。彼は俺達に救いの手を差し伸べ、再びテッサロスタの奪還へと挑ませた。

 そして今、俺は仲間がジューダム軍を引きつけてくれている間に、ジューダムの支援を行う「太母の護手」の指導者と対決していた。

 咄嗟に身をよじり、俺は辛うじてエルフの氷の刃から逃れた。

 鋭い氷柱が地面に突き刺さり、砕けた破片を青白くきらめかせる。エルフの男は荒く乱れた息遣いで、憎悪の視線を俺へ向けた。


「貴方は…………! 貴方は…………!」


 彼はそのまま、ブツブツと聞いたことの無い言語を繰り返していた。小刻みに震える肩と拳、そして異様に切り開かれた瞳孔が、彼の完全に常軌を逸した状態を如実に示していた。

 俺はダッシュでナタリーの元へと戻り、肩を揺すった。


「ナタリー、大丈夫か!? っていうか、何だ? この気持ち悪い虫は…………!?」


 俺がお腹に蠢く白いナメクジに触れようとしたら、彼女は慌ててそれを止めた。


「ダ、ダメ!! それに触っちゃ…………」


 翠玉色の潤んだ眼差しが弱々しく俺を見つめる。

 俺は哀れなその姿に、腹の底がカッと熱くなった。


「あの変態野郎、何しやがった?」


 ナタリーが唇を噛み、嗚咽を堪えて俯く。

 それから彼女は、途切れがちに話し始めた。


「何も、されてない…………この虫も…………ただの…………」

「ただの…………何だって言うんだよ!? こんな気色悪いものが何でもないわけあるか!! 嘘を吐かないでくれ!!」

「…………でも…………んんっ」


 ナタリーが煩わしそうにナメクジを剥ぎ取り、忌々しげに火に放る。俺はナメクジが燃え尽きる直前に小さな人型に変わったのを見て、背筋を凍らせた。

 ナタリーは喘ぎ苦しみながらも虫を全て剥がし終えると、服を直して立ち上がった。


「…………あの虫は、私の精神を「浄化」させる効果があるんだって。私のためだけに作った虫だから、誰にも触れないとか言っていた。…………あんまり話したくないことされて、身体中に付けられたの。アイツらがくっついていると、何より気持ちが疲れちゃうんス。だからあんな風になってたんだけど、もう大丈夫」

「…………。話したくないことって?」

「話したくないの。…………でも、誤解しないで。思いっきり暴れて、スカートの中には指一本触れさせてないし、顔を近付けてきた時には、思いっきり頭突きしてやったもん」


 ナタリーがまだほのかに赤みを帯びている額をさする。俺はあくまでいつも通りの彼女に、少しホッとした。


「そっか。何だかひどい目に遭わせちゃったみたいで、ごめん。こっちは色々あって、あの革表紙の本をただの変態日記帳にしてきた」

「…………ミナセさん、何してきたの? アイツらのことが知りたいって、やっぱり嘘…………だったってことだよね?」

「…………一応ちゃんとわかり合いたかったんだけどさ。ちょっと…………芸術観の違いがね。…………それよりアイツ、めっちゃキレてるね」

「私が全然言うこと聞かない時点で、それなりにキレてたよ。…………それで、次はどうするんスか?」


 怒りを通り越して、エルフは最早虚ろな表情をしていた。彼が口走る言葉は、俺には何一つ理解できない。

 ナタリーはそんな男を睨み据えつつ、拳を固くする。俺はまだ若干足下のおぼつかない彼女を支え、答えた。


「この力場の裏打ちである日記がまっさらになったおかげで、アイツはもう相当崩れてきている…………はずだ。

 けど、あのエルフの意志を継ぐ「太母の護手」の指導者の男…………あの牙の魚の飼い主をやるためには、何かもう一撃、決定打を与えなきゃならない…………と、思う」

「…………

 見当はついているんスか?」

「…………」


 無言でいる俺を、ナタリーが眉間を険しくして見守っている。もう二度と彼女を嫌な目に遭わせたくないと思うと、プレッシャーであると同時に気合が入った。変態に白いナメクジを身体中にプレゼントされて、トラウマにならない女の子はいない。何としてでもアイツを倒して、少しでも払拭してあげなくては。


 エルフの男は壮絶なまでに蒼白な顔つきで、俺達にもわかる言葉で罵ってきた。


「何故なのです!? 何故貴方達はこんなにも愚かしい!? 愚者は何のために生まれる!? 混沌の糧としてか? 邪悪の権化としてか!? …………いいや、意味など一切無いのはわかっている! 世はあるがままだ、正邪の区別など無い!! 夢現を分かつのが唯一己のみであるが如く、明暗を名付けるのがただ己のみである如く、正邪も世にあり得ない!! まつろわぬ魔とて…………魔術のうねりがもたらす現象に過ぎないのだ!!

 …………母様は全てを受け入れてくださる!! そして世界は混沌すらも越えた、一なる場所に辿り着く!! ああ、ああ、ああ、ああ!!! 真摯なる信仰も!! 卑劣極まりなき嘘も!! ああ、ああ、ああ、ああ、ああ!!!」


 混乱する己をさらに自分で掻き乱し叫ぶ様は、まさに自傷行為そのものだった。

 俺の行動が彼を深く傷つけるものだったのは重々承知しているが、それでもここまで取り乱させるのは予想外だった。


 見るからにひどい錯乱状態に陥っている。彼にとって俺が到底受け入れ難い存在であるとはいえ、それこそ気の遠くなるような時間をかけて「母なるもの」を追い続けてきたヤツが、今更こんな風に壊れるのだろうか? (っていうか、書庫の王といいコイツといい、俺はそんなに嫌われるタイプだったっけか…………)


 隣にいるナタリーもまた、豹変した相手を不審がっていた。

 彼女は、絹の川のようだった金色の髪を振り乱して、ひたすらに自問自答を繰り返す男を横目に、俺にそっと耳打ちした。


「あの人…………おかしいよ」

「知ってる」

「そうじゃなくて、本当に様子が変だよ。何だか…………別の人と会話しているみたい」

「別の人って…………心の中のもう一人の自分とかじゃなくて?」

「そんなのは、ああいう人にとってはいつものことだよ。でも、今は本当に違う誰かと話しているみたい」


 それからナタリーは一瞬悩み、続けた。


「…………わかったかも。ある意味では、やっぱり自分なんだ。…………あの人、牙の魚の術者と喧嘩してる」


 なんだって、と俺が返すのに被さって、エルフが一際太い叫び声を上げた。


「――――――――黙れぇぇえぇえぇっ!!!」


 俺とナタリーが同時に肩を強張らせる。エルフの男は真っ直ぐ過ぎて底の知れない、狂人の目つきで言葉を継いだ。

 明らかに、俺達へは向けられていなかった。


「疑念など…………断じてあり得ない!! この「私」を誰だと思っている!? 貴様らの如き弱く愚かな人間などとは、生物としての格が違うのだ!! 愚者であるも、弱者であるも一向に構わん!! だが、この「私」の折れることなどあってなるものか!!

「私」は永遠だ…………!! 何を迷う!? 「私」だけを信じていればいい!!! 母様と、この「私」だけをだ!!!」


 エルフは頭を左右に振り、奇声を上げて炎を自分の周りに渦巻かせた。

 俺達は振り掛かる火の粉を避け、呆然として行く末を眺めていた。

 エルフの絶叫がなおも長く、激しく続く。彼の憤怒は炎の巨人となり、辺りの空気を強烈に炙り焦がしていた。


「「私」はあらゆるものを滅ぼしてきた!! 粉砕し、踏みしだき、墓をも焼き捨て、生き続けてきたのだ!! 絶望、愛着、そして無数の「私」を乗り越えて、ついにここへ辿り着いたのだ!!

 …………母様はおられる!! 今や、眼前に!! 母様は一なるところへと我々を導いてくださる!! 今更、どこに迷いがあろう!?」


 巨人が癇癪を起す。宮殿が音を立てて崩れていく。

 俺はナタリーを庇い、瓦礫を背で受けた。

 心配してくれるナタリーの声は、続くエルフの声で掻き消された。


「うぅぅぅうぅあぁああぁぁあぁああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!

 ジューダムが!! 王が!! 青い血が!! 稲妻が!! 一体何だというのだ!? 己の些末な私事など、真理の前にどれ程の価値がある!? 己の陳腐な憎悪も劣等感も復讐心も、弱き者の患いに過ぎぬ!! 「私」を信ずれば、全てに打ち勝つことができるのだ!! それは、可能なのだ!!!」


 …………ジューダム。

 王と、己の血脈。

 稲妻の紋章…………。


 俺の中で、東方区領主の家庭教師であったネイという男と、ソラ君が見せてくれた記憶の景色で垣間見た、稲妻の紋章を刻まれた寝台上にいた男の顔が重なった。青くくすんだ瞳に、薄紫色の薄い唇。幽霊のように希薄な存在感。

 歳の頃は違えど、蒼ざめた印象はぴったり一致した。


 彼はジューダムの魔術師であったのと同時に、「太母の護手」の信徒でもあった。そしてスパイとしてサンラインの東方区領主の館へと侵入し、領主を洗脳して、紡ノ宮であの「呪われ竜」の事件を起こした。


 その彼が今、信仰の危機に立っているらしい。

「太母の護手」の精神的支柱…………否、その信仰の真の求心力とも言うべき、エルフの男に抗う程の強い衝動が、彼を自壊させかけているのだ。


(何が彼をそうさせている?)


 俺は今までに見てきた景色を丹念に思い起こし、考えつく限りのことを検討した。

 俺の傑作のことにはすぐに思い至ったが、それと同じくらいすぐに却下の判断を下した。

 俺はまだあの物語を完成させていない。あの青春の波動がもたらす熱い想いは、彼にとってまだそんなに致命的では無いはずだ。


(じゃあ、何が…………?)


「私のせい…………?」


 ふいに、ナタリーがポツリとこぼす。

 彼女は未だに意味不明な言葉で叫んで頭を抱えている男から目を逸らさず、話をした。


「あの人、ミナセさんが戻ってくる直前に妙なことを私に伝えてきたんだ」

「妙なこと…………?」

「今から思うと、さっきミナセさんが考えていたジューダムの魔術師の身の上話だった。ナメクジと一緒に力場へ流れ込んできた景色だったから、気持ちを保つのに精一杯で、あんまり気に留められなかったんだけど…………」


 ナタリーが少し肩を縮込め、溜息を吐く。

 彼女は手探るように、淡々と話し継いだ。


「10歳ぐらいの子供が…………ひどく虐待されていた。お母さんに。それでその子はある時、家族の住んでいる部屋を飛び出て、暗い廊下をずーっと走って逃げて、どこか広い部屋に隠れたんス。けど、そしたら暗がりから白い大きな手が沢山伸びてきて、彼を捕まえた。そして尋ねたの。「お前は王を愛するか?」って」


 ナタリーの表情が曇る。

 彼女はもう一度息を吐き、首を振った。


「その後は、あんまり良い展開じゃなかった。その子は「はい、信じております」って、精一杯勇気を振り絞って答えたんだけど、それって全然正直な心じゃなかったし、その子を捕まえたヤツらは、それを別の意味にとって、その子を…………、…………。…………惨たらしく痛めつけた。…………そいつらは、王に反乱を起こそうとしている連中だったの」


 言い淀んだのはきっと、お父さんのことが頭をよぎったからだろう。

 ナタリーは続きを簡単に語った。


「本当にギリギリで助けが来て、その子は助かった。彼を虐めた連中は連行されて、そのまま王に処刑された。でも…………その子も王の前に連れ出された。信じられない話だけど、彼も一味だと疑われていたんス。

 …………その子は血まみれのまま、王への忠誠を強く誓った。胸にも、全身にも、ひどい痛みが走っていた。魂が灰色に染まっていくのが、私にも伝わってきたぐらい。王と彼のお母さんは、とても喜んでいたけど…………」


 ナタリーが噴き上げてきた炎を避けて、俺に身を寄せる。

 彼女は火炎の渦の中で悶え苦しむ男に、同情的とも言える眼差しを向けていた。あれ程に傲然と輝いていたエルフの姿は、今やすっかり煤と汗にまみれて無惨である。手にした氷柱のピアスが掌に深く食い込んで、赤々とした血の川が幾筋も白い肌に走っていた。

 ナタリーは引き結んでいた唇をゆっくりと開き、再び話した。


「それでね…………景色が消えた直後に、あのエルフが私に囁きかけてきたんス。「貴方は私を愛してくれますか?」って…………。

 …………正直、耳元に息が吹き込まれたからゾッとしたし、それにあの時は、あのエルフが興奮しておかしくなって、私とあの人の「母様」をごっちゃにしているんだと思った。だから…………」


 俺は彼女の言葉を引き取った。


「拒絶した」


 ナタリーは瞳を閉じ、小さく頷いた。


「…………心の底から嫌だったの。ミナセさん以外の人が自分の中に入ってくるなんて、本当に耐えられなかった。…………本当はね、違和感はあったんだ。あのエルフらしくない切実な眼差しと声音が、胸に引っ掛かった。「だめ」って、ザワザワしていた。でも…………無視しちゃった。私はあの人を、思いきり拒んだ。…………あの人のお母さんが彼をはたいたよりも、男達が彼を殴りつけたよりも、ジューダムの王サマが彼を見下したよりも、もっと冷たく、激しく…………」


 俺が慰めを口にしても、彼女の面持ちは変わらなかった。

 ナタリーは俯き、唇を噛んでいた。後悔の必要なんて、どこにもないのに。

 彼女は振り切るように、最後を語った。


「それから、エルフの機嫌が急に悪くなりだしたんス。仕草や喋り方が明らかに乱暴になって、変な虫を私のあちこちになすり付けてくるようになった。何か急いでいるみたいな、そんな感じだった。

 そしてミナセさんが戻ってきてからは、知っての通り。あの人は本当に壊れた。きっと、自分とエルフとを繋いでいた本が真っ白になって…………」


 宮殿がいよいよ激しく音を立てて振動し始める。

 エルフは檻の中の獣の如く忙しなく炎の中を動き回り、異国の言葉…………エルフ語なのか、ジューダム語なのか、あるいはどちらもが入り乱れているのか、わからない…………を捲し立てて、ひたすらに巨人を暴れさせていた。


 俺はナタリーを抱き寄せて、呼吸を落ち着かせた。

 まずい。もう時間が無い。

 早くこの力場から脱出しなくては、アイツに巻き込まれてしまう…………!!


 俺は今こそと覚悟を決め、ナタリーに訴えた。


「ナタリー、俺と一緒にレヴィを呼ぼう!」

「でも、牙の魚がいるよ」

「勝負を懸けるなら、飼い主が弱っている今だ!」


 激闘続きで憔悴しているナタリーは、それでも勇ましく瞳を光らせた。


「…………わかった、やる!」


 俺は彼女とより深く共力場を編んだ。肌を寄り添わせれば、翠玉色の海が魂に満ちていく。

 優しく暖かな流れに、自然と緊張が和らいだ。



 ――――――――…………。

 赤々と炎を纏った巨人の足が、海を深く重く踏み抜く。

 それと共に絶え間なく降り注いでくる瓦礫の雨の中を、俺は最早慣れたネオンテトラの姿になって躱した。


 ナタリーは無数の虹色の泡に囲われて歌っていた。

 舞い散る火の粉も、瓦礫も、この海で彼女を侵すことはできない。泡は触れる者全てを同じ輝く泡に変えていく。


 薄灰色の哀しみを帯びたメロディが遠く長く響き渡る。

 四方から聞こえてくる男の叫び声は、いつしか哀切な泣き声に変わっていた。怒りも憎しみも越えて、それは孤独な獣の遠吠えと化していく。


 俺はひたすらに泳ぎ、戦場中へ染み渡らせるように、重ねて歌った。

 ナタリーがレヴィへ、そして男へ綴る思いを汲み取って、そのまま歌へ映して滑らせていく。


 …………ナタリーは巫女なんかじゃない。

 ましてや、「母」じゃない。

 全てを受け入れることなんてできない。

 だけど、全てを拒絶することもできない。

 誰もがそうであるように。



 ――――ppp-n-ppp-n……

 ――――rrr-rrr……

 ――――tu-tu-tu-n-tu-tu-tu……



 遠吠えが、海を突き破る。

 それを彩って大きく広がった少女の歌声が、虹色の泡を海いっぱいに弾けさせる。

 巨人の炎がたちまち泡の波に飲まれ、どうしようもなくわだかまった熱が暖かい海へ爆散する。


(――――熱い…………)


 俺は人型に戻った全身をヒリヒリとさせながら、泡に触れて粉々に砕けていく瓦礫と、散っていく火の粉を眺めていた。

 気付けば、無数の牙の欠片がパラパラと周囲を舞っている。

 勇壮な尾ひれを翻す巨鯨のシルエットが、頭上をなだらかに流れていった。


 差し込む陽光が眩しい。


 歌の余韻がなおも漂う中、大いなる勝利の雄叫びが白波を立てた。



 ――――――――Oooo-Ooo-o-n…………



 俺の傍には、ナタリーがいた。

 弾む胸をぴったりと添わせ、翠玉色の瞳を真っ直ぐに俺へ向けている。

 彼女は真夏のヒマワリのように笑顔を綻ばせ、俺へ向けて力強く拳を突き出した。

 俺は自分の拳をコツンとぶつけ返した。

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