幽霊の正体
ピョーン ピョーン
スラちゃんが飛び跳ねている。
ベッドの上でピョコピョコ飛び跳ねる。
泣いてスッキリしたのか、元気いっぱい。
「スラちゃん、どうして泣いていたの?」
「スラッ?」
キョトン顔のスラちゃん。
ピョコピョコ飛び跳ねたせいか。
泣いていたのを忘れていたのかも。
「スラちゃん、泣いていたでしょ?」
「そうスラねー」
思い出したようにスラちゃんは頷き。
口を開く。
「実はスラー、皆で隠れんぼしていたスラ」
「うんうん」
確かにね~。
スラちゃんはリューイとよく一緒に遊んでいたから。
隠れんぼしていてもおかしくはないかな。
しているとこ見たことあるし。
「それでこのタンス。マリアの部屋のタンスに隠れたスラ。
ここなら見つからないと思ったスラ」
「うんうん」
って・・・
えっ!
思わず頷いたちゃったけど・・・
あたしのタンスに隠れるのはNGかな。
「でも、長い間、誰も、誰も探しに来なかったスラー・・・・グスン」
「あ・・・・」
あ・・・。
しか言えなかった。
本当に、「あ・・・」しか声が出なかった。
もっと他のこと言おうと思ったんだけど、言葉が出なかった。
これねー。
隠れんぼで取り残されることは良くあるけど・・・
まさかスラちゃんがそんな目に会うとは・・・
思ってもみなかった。
ありゃー。
うんうん。
でも。
何はともあれ、あたしが発見できてよかったかも。
発見が遅れていれば、大変な事になっていたかもしれないし。
「スラちゃん、それで、長い間っていうのはどれぐらい?」
「今日は何日スラ?」
「えっと・・・」
あたしはカレンダーを見て。
「20日だよ」
「ならー、1週間程スラね」
うわっ。
おおおー。
なるほどなるほど。
1週間かー。
うーん。
確かにですねー、ちょっと厳しいかも。
人なら生命の危機に瀕してると思うし、色々大変になっていたと思う。
タンスの中に隠れ続けたスラちゃんも相当なものだ。
「にしてもスラちゃん。1週間もタンスの中でよく無事だったね」
「大丈夫スラよー。スラは眠るのが得意スラ~。
じーっとしていても、1年程なら問題ないスラ」
お、おうー。
1年ときたもんよ。
さすがスラちゃん。
スラちゃんというか、スライムは地味にサバイバル能力が高いのかもしれないね。
あれっ?
でもでも。
なら疑問が。
何故スラちゃんは泣いていたんだろう?
不思議。
「でも・・・時々皆の楽しい声が聞こえてきて、とっても寂しかったスラ。
スラは狭いタンスで一人ぼっちスラ」
あっ。
スラちゃん・・・
それは悲しい。
ジーンとするね。
心が震える。
泣いちゃうね。
サスサス
あたしはとりあえず。
スラちゃんの頭を撫でることにした。
プニプニ感触のスラちゃんを撫でた。
気持ちいい。
「スラースラー」
スラスラするスラちゃん。
のほほーんとしている。
さっきまでの悲壮感が吹き飛んでいる。
元気になってよかったね。
うーん。
後は・・・
やる事は一つ。
同じ間違いを繰り返しちゃいけないから。
大事な事を聞かないと。
「でっ、スラちゃん、皆って、誰と隠れんぼしていたの?」
「うーんと・・・リュ-イとゴルスラ~」
ほう。
ふむふむ。
やっぱりかー。
予想はしていたけど。
リューイは普段からだらしないから、そんな気もしたけど・・・
ゴルもか・・・
まぁ、ゴルも所々適当だからね。
敏感なところもあるから、今いち分からないけど。
じゃあ。
ならばっ。
シャキっと注意しておかないとね。
「スラちゃん、あたしについてきて」
「スラッ?」
不思議顔のスラちゃん。
あたしがこれから何をするのか分からないみたい。
スラちゃんはポカーンしているけど。
あたしはスラちゃんを抱えて部屋を出た。
いざっ。
スラちゃんのために。
深夜の部屋を歩き出す。
◇おまけ~スラちゃん、タンス生活(1週間)~~~~~~~
一日目。
良い場所見つけたスラ~
まさか、リューイもゴルも、マリアの部屋のタンスの中に隠れていると思わないスラ。
スラッ、スラッ、スラッ。
二日目。
誰も来ないスラねー。
おかしいスラ~。
でも、隠れ続けるスラよ。
三日目。
スラ~~~。
眠ってしまったスラ。
でも、まだこないスラねー。
zzzzzz
四日目。
スラ~スラ~スラ~。
歌を歌ってみたけど、誰もきづかないスラ。
マリアも出かけてるのかも。
五日目。
外が騒がしいスラねー。
それに、皆の楽しい声が聞こえるフラ。
ちょっと、出てみようスラかねー。
ううん、だめ、だめスラー。
隠れんぼ中スラ。
六日目。
グスン。
なんだか寂しいスラ・・・
七日目。
寂しいスラー。
スラは一人ぼっちスラー。
うええええん。うえええええーん。
パカッ
スラっ?
タンスの扉が開いて、マリアが現れた。
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タイトル:『チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに』




