思いがけない報酬
冒険者ギルド受付。
「・・・・ということなんです」
あたしは事件の経緯を冒険者ギルドの人に説明した。
「なるほど・・・毒薬の育成に、大量の危険な植物ですか」
「はい」
「お手柄ですね。すぐにギルドの者が倉庫に向います。
それと、犯人の二人についてはこちらで引き取ります。
褒章については、後日正式に査定してお知らせします」
「お願いします」
説明が済むと。
あたし達は冒険者ギルドを後にした。
帰り道。
「やったなー。多分これで、マリアの冒険者レベルもあがるんじゃね」
「えっ、でも、一つの事件を解決しただけだよ」
「大きな事件だと、特例で昇格するじゃん。 多分、マリアは一個ランクあがるべ」
「そうなんだー」
へぇー。
新米冒険者。
F級冒険者生活ももう終わりかな。
まだ一つのクエストをこなしたばかりなのに。
なんだかちょっと寂しいかな。
もうちょっと薬草探ししたかったのになー。
「マリア凄いフラー。フラフラ~」
「もう、凄いのは花ちゃんだよ。花ちゃんのおかげで解決できたんだから」
「だなー。花ちゃんも、ただの話す花じゃなかったじゃん」
「フラ~フラ~」
嬉しそうに葉っぱをクルクル回している花ちゃん。
元気いっぱいだ。
「そうフラ~。マリア~これ、お土産」
「え、何々?」
お土産って。
どこかに旅行でも行ったとは思わないけど。
チョコン
花ちゃんから、一つの木の実?を渡させる。
んん?
何だろう?
これ?
「花ちゃん、これは何?」
「知恵の実フラ~。あの倉庫にあったから、こっそり取ってきたフラ~。とっても貴重フラよ」
「ま、マジかよ!」
驚いているリューイ。
なんだか凄いものなのかもしれない。
「えっと、これって良いものなの?木の実にしか見えないけど」
「凄いフラよー」
「そうそう、凄いじゃん。俺も欲しかったなー。花ちゃん、俺っちの分ある?」
「ないフラよー」
「ガーン。そうだと思ってたけどよー、悲しいぜ」
落ち込むリューイ。
彼の反応を見るに・・・
かなり良いものみたい。
「花ちゃん、これはどういうものなの?」
「フラ?とっても賢くなる木の実フラ。食べると魔力があがるフラよ」
「そうそう。俺っちの氷剣を強化できるじゃん。マリアっち、いらないなら、ちょーだい」
手を出してニコニコしているリューイ。
あたしは彼を無視する。
ふーん。
そうなんだー。
良い木の実ゲットしちゃったかも。
「花ちゃん、これってスグ食べないとダメなの?日持ちする?」
「いつ食べても大丈夫フラ」
「だな。腐ったって話は聞いたことない」
そうなんだー。
ならっ。
あたしはアイテムボックスに知恵の実をしまった。
今すぐ食べる必要はないから。
きっと必要な時がくると思うから。
「ありがとね、花ちゃん」
あたしは肩に乗っている花ちゃんを撫でた。
「フラ~フラ~」
気持ちよさそうに葉を揺らす花ちゃんだった。