バッカスの依頼
プールで泳いだ次の日。
あたしは筋肉痛でダウンしていた。
全身が痛くてピクピクする。
ありゃ~。
ムリムリ。
もうだめ。
だめだめです。
動くと体がすっごく痛いから。
ベッドでぐたぁーとしていた。
布団と一体化していた。
「ご主人しゃま~ご飯でスラ~」
スラちゃんが、頭の上に料理の皿を載せて運んでくる。
中々器用なスラちゃんだ。
頭の上にちょこんと皿を乗せている。
皿の上のスープが全く揺れていないバランス感覚。
素晴らしい。
「いつもありがとね、スラちゃん」
あたしは皿を受け取り、ベッドの上で昼食を食べる。
朝食も同じようにベッドの上で食べた。
その時もスラちゃんが料理を運んでくれた。
運ばれてきた料理を食べる。
昼食はハンバーグセット。
まずは、ハンバーグの横にあるふかし芋から。
ヒョイ パクッ
うーん。
中々美味しい。
口の中がホカホカする。
心まで温かい気分になる。
次はっと。
ヒョイ パクッ
ハンバーグをもぐもぐする。
うんうん。
美味しいー。
ホテル生活も慣れてきたけど・・・
このホテルのハンバーグはあたしのオススメ。
じゅーしーなお肉がたまらない。
頬がとろけそう。
ヒョイ パクッ
ヒョイ パクッ
あたしは食事を続けて・・・
「ご馳走様でした」
お皿をスラちゃんに返す。
頭の上にチョコンとのせる。
「スラースラー」と言いながら、スラちゃんは陽気に部屋を出て行った。
ふぅー。
満腹満腹。
お腹いっぱい。
今日も良い食事でした。
それじゃー。
ご飯も食べた事だし。
食後の運動をしようかな。
このまま食っちゃ寝していると。
お牛さんになっちゃかもしれないから。
あたしは近くにある枕を持つ。
上に持ち上げたり、下に持ち下げたりと。
何回も繰り返す。
30往復ぐらい上下させる。
えんやこらー、えんやこらー、さっさっ。
えんやこらー、えんやこらー、さっさっ。
ふぅー。
運動終わり。
終了。
ジ・エンド。
筋肉痛の中、中々頑張ったと思う。
うんうん。
あたし頑張った。
よーし。
これで大丈夫。
だいぶエネルギーを消費したと思うから。
お牛さんにはならないと思う。
スサッ ゴロン。
あたしはフカフカベッドに横になった。
運動したから休憩~。
暫く寝ていると・・・
トントン
ドアがノックされ。
あたしが返事をすると。
バッカスが入ってきた。
「マリア、元気かー」
「はいっ。そこそこ元気です」
「そうか、それは良かった。実はマリアに相談があってきたんだ」
うん?
えっ?
嘘っ!?
なんだろう?
今まで相談なんて一度もなかったと思うけど。
バッカス、勇者の相談か・・・
ちょっと気になるなー。
なんだろう?
「何ですか?」
「実は、近所の花屋が大変なんだ」
「大変といいますと?」
「花の中に魔物が潜んでいるかもしれないんだ。
一日経つと、店の花がいくつか消えているって話だ。
それで調査して欲しいって依頼を受けている」
ふーん。
お花屋さんかー。
お花がお花を食べてるのかもしれないなぁ。
「メギドに聞くと、こういうの場合は、光属性魔法使いに頼むって話らしい。
生命の光を見て、偽物の花を当てるんだと。それでマリア、お願いできるかな?」
うーん。
どうかな?
あたしにできるかはわからないけど。
どうだろう?
でも・・・
多分大丈夫かなっ。
オーラを見ることはできるから。
怖い魔物じゃないといいけどなー。
「分かりました。今は筋肉痛で動けませんが、明日、お店に伺いましょう」
「よかった。マリア、じゃあ頼むね」
「任せてください」
バッカスは「やりぃ~」と口づさんで部屋を出て行った。
あたしは「んん?」っと思ったけど、気にしないことにした。
明日のお花屋さん訪問に備えて、体力を温存する必要があるから。
屈んだときに、筋肉痛で痛い想いをするのは辛いから。
今日はぐっすり休みましょう。
筋肉痛が消えるを祈って。
zzzzzzzzz
zzzzzzzzz
zzzzzzzzz
あたしは再び眠りに落ちていった。