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冒険者ギルド

 次の日。



「マリア、そろそろ冒険者ギルドにいくか?」

「え?」


 えっ?

 あたしはキョトンとしてしまう。

 バッカスが何をいってるのかよく分からなかった。 

 だっていきなり冒険者ギルドなんてワード・・・


「ギルド登録した方が色々便利なんだよ。まだ登録していないんだろ?」

「ええ・・・はい」


 確かにしていない。

 聖女だった時も冒険者ギルドには登録していない。

 特にする必要もなかったから。


「なら、した方が良い」

「そうですね。マリア譲、私もお勧めします。

 マリア譲の腕でしたら。すぐに冒険者の階級も上がるでしょう。

 高ランクのギルドカードがあれば、どの施設でも優遇が効きます。

 強い身分証になります」


「そうじゃけん。我らもいるじゃけん」

「マリアっちは今のところ住所不定&身分不詳だからな。

 身分証は必須しょ。

 俺らといっしょにいれば、簡単にランクは上がるんじゃね」


 皆同じ意見のようだ。

 うーん。

 冒険者か~。

 呪いの解く旅に出るんなら必須かな。

 確かに身分証が必要だし。

 今のままだと勇者パーティーの謎の人物状態だから。

 それに収入の面も考えないと。

 ずっと皆におんぶにだっこというのもいただけない。


「分かりました。冒険者になりましょう」

「そうと決まれば、さっそく行くか。ギルドカードを作りに」

「はいっ」


 あたしはバッカスと共に冒険者ギルドに向った。

 









 王都を歩く。

 ギルドの場所を知っているバッカスについていく。

 一緒に行きたいとお願いされたので、スラちゃんも一緒についてきている。

 透明化して見えないけど・・・

 多分近くにいると思う。

 きっといるはず。

 でも・・・

 冒険者ギルドに魔物がいくのはちょっとシュールかな。

 討伐されないといいけど。


「マリア緊張する必要ないぞ」

『そうスラー。スラがついているスラ~』

「うん」


 そうなんだよねー。

 実はあたし・・・ちょっと固くなっていた。

 冒険者ギルドはワイルドな人たちが集まると言われているから。

 小さい女の子のあたしが行くとどうか・・・

 少し心配。

 だけど・・・

 勇者のバッカスがいるなら面倒なことには巻き込まれないかな。


「もし、絡まれたら相手を倒せば良い。それで実力を示せば他の奴も絡んでこないからな」

『そうスラねー。魔物社会も同じスラ~力を示すスラ』


 イヤイヤイヤ。

 あたしは無難に過ごそうと思っているの。

 争いごとは避けようと。

 もしワチャワチャしても話し合いで解決です。


「アドバイスありがとうございます」

「なに。おやすいごようさ。まぁ、多分大丈夫だろう」


 うん。 

 そうだといいんだけど・・・

 何事もなければ。


「おっ。ついたみたいだな。じゃあ入るか」


 あっ。

 いつのまにか・・・

 目の前には大きな建物。

 周りには目線が鋭そうな人たちがチラホラ。

 どの人も腕に覚えありという感じかな。

 奇妙な座り方をした人が、「ぐおおお」ってこっちを睨んできてる。

 えっ?

 なんで?

 なんであたし睨まれてるの?


「ほらっ。マリア行くぞ。あまり周りの視線は気にするな。挨拶みたいなもんだ」

「う、うん」

『スラ~スラ~』


 あたしは色んな視線を浴びていたけど・・・

 バッカスについて冒険者ギルドに入った。







 カランッ

 ドアについていた鐘がなる。

 中には多くの人々。

 ガヤガヤと騒がしい店内。

 入ってきたあたし達に視線が集まっている。


「マリア、受付はこっちだよ」


 バッカスについて店内を進む。

 しかし・・・

 うーん。

 やっぱり多くの人にジロジロ見られてるよ。

 バッカスではなく、明らかなあたしが見られている。

 ちょっと緊張しちゃうなー。

 でも気にしない。

 大丈夫大丈夫。

 何も問題無し。

 心に言い聞かせる。



 テクテク

 数歩進むと・・・

 ああっ・・・

 大きな人が道を塞ぐ。

 ドカッて感じでとうせんぼする。

 顔に傷のあるスキンヘッドの大男。

 顎に髭もフサフサ生えている。


「奇麗なお譲ちゃん。ここは保育園じゃないぜ。分かったら帰んな」

「彼女は俺の連れだ」

「ほーう。見なれねー顔だな。だがよー、ここは託児所じゃねーぜ。

 餓鬼をつれてくる場所じゃねー。紳士のサロンだ」


 あれ?

 目の前の人はバッカスに気づいていないかもしれない。

 ただの冒険者だと思ってるみたい。


「通してくれないか?」


 穏やかにバッカスが頼むけど・・・

 スキンヘッドの大男は動かない。


「餓鬼を連れ出しな。話はそれからだ」


 ニヤリと笑う大男。

 歯が欠けている。

 スカスカだ。

 危険オーラがプンプンだ。

 大男もあれだけど・・・

 あたしはバッカスが妙な事をしないか心配だった。

 いきなり暴れださないといいけど・・・


「どいては・・・くれないようだな」

「餓鬼を出すまでわな」


 バッカスが背中を大剣の柄に手をかける。

 相手の大男も腰の剣を抜こうとする。

 ピリピリとした緊張空間。


 って。 

 ありゃ~

 こりゃダメだ・・・

 このまま続けば争いごとになってしまう。

 もぅ。

 すぐにバッカスは戦いたがるんだから。

 ならっ、あたしがとめないと。

 でもどうしようかな・・・

 多分、この目の前のツルピカの人があたしをただの子供だと思っているのが原因なんだと思う。

 ならっ。

 実力を示せばいいのかも。

 

 あたしは両手に魔力を込めて。

 覚えたての魔法を行使する。


『フラッシュ』

 部屋は白い光に包まれる。


「な、なんだ?」

「マリア・・・」

『スラー?』

 

 光が収まると。

 ポカンとした顔の大男。

 あたしは光の中で、大男の剣をさっと奪っていた。

 驚いた隙を狙ったのだ。


「お、俺の剣が・・・今のは譲ちゃんがしたのか?」

「はい。物騒なことになりそうだったので。この剣はお返ししますね」

「お、おう・・・・すまねぇ」


 おずおずと剣を受け取る大男。

 剣をふって確かめている。

 別にあたしは偽者とすり替えたりしてないけど。


「ではっ、道を空けてくださりますか」

「そ、そうだな・・・お譲ちゃんの実力は分かった。悪かったな」


 サッと隅による大男。

 周りの冒険者達もあたしの事を驚きながら見ている。


「ありがとうございます。さっ、バッカスも行きましょうか。受付に」

「あ・・・あぁ」


 あたしはバッカスと共に受付に向った。

 ギルド内はシーンと静まり返っている。

 あっ。 

 あれ?

 あたしやりすぎちゃったかもしれないな・・・

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