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従魔さんに名前をつけました

 バッカスが大剣を持ち、あたしにかけよる。


「大丈夫か?マリア。怪我はないか?」


 あたしの肩に手をおき、足の下から頭の上までじっと確認する。

 少しでも異変がないか確かめていると思うんだけど・・・

 そんなにジロジロ見られると恥ずかしい。


「どうしたの?バッカス」

「むっ、何やら気配がしたんだ。

 図書館で感じたのと同じ気配・・・・気のせいかもしれない・・・」


 バッカスは部屋を見回すが・・・

 スライム師匠の姿は見えない。

 光魔法で上手く消えたんだと思う。


「気のせいだよ、バッカス。あたしは大丈夫だよ」

「・・・そうか・・・・そうだよな」


 頷きながらも・・・・

 彼は再び部屋を十分に見回す。

 腑に落ちない点があるのかもしれない。


「やはり・・・・何か感じる・・・」


 険しい顔で入念に部屋をチェックするバッカス。

 だけど何も見つからなかったようだ。

 彼は部屋の出口に向かい。


「マリア、休んでいるところを邪魔したな。悪い」

「ううん。大丈夫」


「俺はすぐ部屋の外にいるから、何かあった呼んでくれ。何もなくても呼んでくれていいから」

「ありがとう」



 バッカスが部屋を出て行った。

 ふぅー。

 あたしが一安心すると。


「スラッ。ご主人しゃまー」


 あっ。

 やっぱり師匠は隠れていたみたい。


「あの男、バッカスは何者スラ~?。

 姿を隠すのと同時に、気配遮断も使ってるのに気づかれそうになったスラ」


 うーん。

 バッカスは色々本能派だから。

 時々よく分からない能力を発揮するからね・・・

 多分その一つだと思う。


「勇者だよ。悪魔騎士のバッカスとも呼ばれているの」

「ス、スラッ~。そうスラか~。今度の勇者は凄そうなのね」


 スライム師匠は物思いに耽っているご様子。

 だけど、パッと思い出したように顔をあげる。


「ご主人しゃま、スラに名前をつけて欲しいスラ~。従魔契約では必須スラ」


 名前か・・・

 どうしようかな。

 うーんと。 

 ええっと。

 そうだな~。


 スラちゃん・・・スラ吉・・・スラ太郎。

 そのままスライム・・・いや、スライム師匠。


 迷うな~。

 決められない。

 それなら・・・

 一番最初に思い浮かんだのにしよう。


「スラちゃんでいい?」

「良いスラよ~」


「よろしくね、スラちゃん」

「ご主人しゃま、よろしく~」


 スライムの触手?と握手する。

 プニプ二するスライム感触。

 癖になりそうだ。


 あっ。

 この感触で思い出したけど・・・

 そういえばあたし、図書館で魔導書を読んだんだ。

 タイトルは「瞬間閃光魔法」。

 強力な光を出して、相手に目くらましをする魔法。

 

 知識は頭の中に入ったけど・・・

 果たして使えるのだろうか。


「スラちゃん、吸収した魔導書を読んだけど、魔法は使えるのかな?」

「やってみればいいスラよ。始めは小さな光しか出ないスラ」


 そうだね。

 なら試してみようかな。

 閃光魔法ならこの部屋で使っても大丈夫だろうし。

 物を壊すことはないと思う。

 

 あたしは意識を集中する。

 頭の中で魔導書にのっていた魔法式を処理し。

 魔力を右手に集める。

 

「フラッシュ!」


 パカンッ

 部屋をうめつくす程の強力な光が発生した。

 まるで爆発でもおきたような光の嵐。



――「マリアァァァァアア!。な、何が起こった?」



 部屋の外で待機していたのか。

 バッカスが飛び込んできた。

 大剣をもってキョロキョロしている。

 スラちゃんの姿は見えない。

 上手く姿を隠したようだ。

 いつもながら上手いスラちゃん。


「ごめんなさい。図書館で読んだ魔導書を試してみたら、やりすぎちゃったみたい」

「そ、そうか・・・でも今の魔法・・・かなり強力だった気が・・・」

「力んだみたい」


 バッカスは部屋を見回してから。


「そうか・・・なるほど・・・なるほど。ほどほどにな」


 あっさりと部屋を出て行った。

 もっと色々聞かれると思ったけど拍子抜けだ。

 彼にしてはちょっと変だ。


「スラッ、ご主人しゃまの魔力は凄いすらね~。まさしく閃光の様な魔力だったすら」


 再び現れるスラちゃん。

 もう、突然あらわれても全然驚かない。

 慣れてきてしまった。

 それより先程の閃光魔法だ。

 あんな出力の魔法・・・あたしにできるはずないのに。


「あたしの魔力は平凡なはずなんだけど・・・」


「これまでは色々障害があって抑えていたスラ。

 スラと契約した事で少しづつ枷が外れていくよ~」


 へぇー。

 そうんだ~、と思った瞬間。



 ――バシュ!

 


 空気の刃が目の前を通り過ぎる。

 部屋のドアが切り裂かれ、目の前のスラちゃんはマップたつになった。

 プルンと水色のゼリーが2つ。


「やっと姿を露したか・・・この魔物が!

 俺を欺けると思ったようだが甘いな。マリアの魔力変化に気づかないとでも思ったか」


 ドアの外から現れたのは・・・

 勇者のバッカスだった。


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