覚醒!赤髪の能力!
ヒョコヒョコ動いているスライムさん。
コテっと首?をかしげている。
あたしがいったことに驚いているのかもしれない。
「スラの弟子になりたいの~?」
「はい。光属性魔法をもっとうまく使えるようになりたいんです」
「スラ~スラ~」
ゼリー状の物体をひねって考えているポーズらしいスライムさん。
中々器用な動きをするみたい。
それにかわいい。
「良いスラよ~」
「本当ですか?」
「でも条件があるスラよ~」
う~ん。
なんだろうか。
魔物であるスライムのことだ。
悪魔の契約を持ちかけてくるのかもしれない。
ははっ・・・
それなら注意しないと。
「何ですか?スライムさん?」
「ご飯を毎日用意して欲しいスラ~」
「あっ。はい」
拍子抜けした答えに逆にビックリしてしまう。
食事を用意するのは簡単。
旅の途中では、いつもあたしがバッカスに料理を作っていのんだから。
でもでも。
スライムさんって何を食べるのだろうか?
人間とかいわれたらどうしよう?
うーん。
ちょっと怖いな~。
とりあえず聞いてみようかな。
「あの~スライムさん」
「なにスラ~」
「どういったものを食べるんですか?」
「スラは~スラは~・・・・・・・・・・・・何でも食べるよ」
良かった。
好き嫌いが無いスライムさんらしい。
そういえば、雑食と聞いたことがあったかも。
ピョコ ピョコ
スライムさんが足にタックル?してくる。
何何?
どうしたの?
いきなりピョコピョコ攻撃?された。
「どうしたの?」
「上の本とってほしいスラ~」
スライムさんが頭の先の触手?を、とある本に向けていた。
ツンツンと本を指しているので、あたしは本をとりスライムさんに渡す。
「ありがとスラ~」
パクッ
スライムが魔導書を食べ始めた。
むしゃむしゃ食べている。
げっ。
なっ・・・・なんてことを。
なにをしてるんだろう・・・・スライムさん。
大事な魔導書の本を食べてるんだもん。
「スライムさん、そんなことしちゃだめだよ」
「大丈夫すら~。後で元通りにするすら」
えっ、できるの?
ってそれより・・・・
「なら、なんでそんなこと・・・・」
「食べると本の内容を覚えられるスラ~」
そうなんだ~。
納得。
だから高度な魔法が使えるのかもしれない。
「マリアさんも食べないスラ~」
「あたしはいいわ」
食べても意味ないだろうし。
あれ?
それよりどうしてだろう?
「何であたしの名前を知っているの?」
「ここにずっといたから、話しているのを聞いたスラ」
どうやらお爺さんとの会話を聞かれていたみたい。
もうっ、盗み聞きはよくないよー。
スライムさん。
「でも、マリアさんも食べれば覚えられるスラよ」
えっ。
紙を食べてもお腹を壊すだけだと思うけど・・・
何をいってるのだろう?
「そんなことないと思うけど・・・」
「スラッ?マリアさん聖印持ちでスラ。それなら大丈夫スラ」
「どういうこと?」
「マリアさんは、魔物魔法を使える才能があるスラよ~。赤髪の人は時々できるスラよ~」
ええっ!
そうなの。
初めて聞いた。
オーク洞窟にあった妙な腕輪をつけて赤髪になった。
第三王女に会う前に、メギドは赤髪が不吉なものだといっていたぐらい。
赤髪=精印というのは初聞きだ。
「スラの吸収魔法を覚えれば良いスラ。スラにタッチしするの~」
ヒョコヒョコ動いているスライムさん。
ちょっと抵抗があったけど・・・・
スタッ
言われて通りスライムさんの頭の上に手を置くと。
あがががががががっ!
うああああああああっ!
突然頭に走る電撃の様な痛み。
頭の中の回路を無理やり変えているような感覚。
痛みに苦しんでいると・・・
「はい、出来たスラ。これでマリアさんは吸収魔法が使えるスラよ」
頭痛の奥に聞こえる声。
あたしは引いていく痛みを感じる。
痛みはさったようだ。
「どの本でもいいから、食べるスラよ~」
試しに本棚から本を一冊とる。
右手で本に触れると。
手から水色の幕の様なものが出て魔導書をつつみだし・・・
右手と一体化する。
スラッ スラッ スラッ
頭の中で音がし、情報が凄い勢いで頭に入ってきた。
1ページ1ページが高速で脳内を駆け巡る。
脳の中にしみこんでいく。
画像としてページがすりこまれていくみたい。
「うがっ!」
あっ。
変な声だしちゃった。
でも・・・気づくと本から手が離れていた。
随分長い間本に触れていた気がする。
目の前のスライムさんは、本を食べ終わったのか。
元通りになった本が床に置かれている。
「目覚めたスラね~。頭に入った記憶は定着するのに時間がかかるスラ~。
最初のほうは一晩かかるスラよ~」
情報が急激な速度で入ったためか、物凄く重い頭。
頭の上に錘でものっけている気分。
「この本を本棚に戻してほしいスラ~」
「あっ、うん」
あたしは重い頭の動かしながら、スライムから渡された本を元に戻した。
寝起きの様に頭の中がモヤモヤしていると。
「マリアァァァーー??無事か??大丈夫か?怪我はないか?」
ものすっごい叫びと共に。
本棚を倒さんばかりの勢いでバッカスが駆け込んできた。
悪魔騎士なバッカスが大剣を手に握っている。
あっ。
でもスライムさんが見つかるとまずいかも・・・
だってスライムさんは魔物だし。
一応勇者パーティーだから。
魔物とは敵対していると思うし・・・
同時連載中の「ビューティフルざまぁ」ですが。
一週間以内に完結しますので。
宜しければご覧下さい。