王城へ
朝起きて顔を洗う。
ささっと宿のパジャマから着替えて赤いドレスに。
赤いドレスは何着か持っている。
実はあたし。
オーク洞窟で見つけたアイテムボックスを隠し持っている。
アイテムボックスとは、袋の中にたくさんの物をいれられる品。
空間魔法で中の空間がつくられているらしい。
専門じゃないので詳しい事はよく分からないけど。
アイテムボックスの中に赤いドレスとお金をいれてある。
オーク洞窟にあったものだから盗品かもしれないけど・・・
まぁ、いいかな。
部屋のラウンジに向うと・・・
「おはよう」
「おはようじゃけん」
「おはようございます。マリア譲」
「はよう~マリアっち」
「おはようございます」
皆既に起きて机についていた。
朝食は部屋に運び込まれているみたい。
あたしは席について朝食を食べる。
パンと野菜。
ナイフとフォークを使い食す。
「今日の予定ですが・・・まずは王城に赴きます。その後は自由行動になります。
私はマリア譲と王立図書館に行き、呪い関連について調べようかと」
「俺は図書館に行こうかな。闇属性の魔導書をみたいからな」
「我もじゃけん。防御魔法を研究するけん」
「俺も~氷属性の魔導書を見るのはいいんじゃね」
「では、結局皆いっしょになるようですね」
「だな~」
「じゃけん」
「そうじゃね」
行動予定は決まったみたい。
あたし達は食事を終えると、宿を後にした。
◇
テクテクと皆で王城へと向う。
うーん。
ちょっと緊張するなー。
誰かにあたしの正体がばれないか、ひやひやしちゃう。
従者トーマス曰く、襲撃の犯人は第三王女様みたいだし。
あたしの正体がばれれば大変な目に会うかもしれない。
多分、こんなに見た目が変わっていれば・・・
ばれないと思うけど・・・
「どうした?マリア、王城に行くのは緊張するのか?」
バッカスが歩きながら尋ねる。
「ううん。大丈夫」
「そうか。まぁ、気にするな。ちょっと事務報告をするだけだ。
大体はメギドが調整してくれるよ。俺達は特に問題を起こさなければいいだけだ」
「はい、マリア譲。特に心配する事はありませんよ。
大抵は顔見せの挨拶をするぐらいですから。最近は目立った任務もありませんし」
へぇー。
そうなんだぁー。
それなら知り合いに会うことはないかもしれないな。
「うんっ。ありがとう。因みに王族にお会いするのですか?」
「いえいえ。マリア譲。普段は事務方に報告して終わりですよ。
何か特別な用事でもなければ会いません」
ふぅー。
一安心。
「なんだ、マリア?王族に会いたいのか。
それなら手配して会うこともできるかもしれないぞ。
適当に理由をつければいい。新メンバーが入ったとかで」
バッカスが妙な気の利かせ方をする。
「ううん。いいよー。あたしは平和に暮らしたいから」
「そうだなー。のんびりが一番だ」
「マリア譲は、落ち着いた女性ですからね」
「おっ。王城の入り口が見えてきたぜ」
「ではっ、私が手続きをしてきますので。皆さんはここで」
サッとメギド王城の受付へ向った。
何やらお城の人とお話して戻ってくる。
「ではっ、入りましょうか」
「おう。久しぶりの王城だな」
「じゃけんのうー。この城は変わらんじゃけん」
「俺はあんまり好きじゃねぇーけどな」
あたし達は王城に入った。
◇
お城の人に案内され。
見慣れた王城内を進む。
「この部屋でお待ち下さい」
あたし達は待合室に通された。
お茶とお菓子がささっと机の上に出される。
チョコンと椅子に座っていると・・・
皆の様子がちょっと変だ。
ソワソワしている。
「どうしたの?」
「いや。あれだな・・・いつもと違う部屋だからな」
「そうですね。何か私達に用事もあるのかもしれません」
「面倒くせーことじゃねーといいけどな」
「じゃけん」
まさか・・・
知り合いに会っちゃうのかな。
それとも・・・
まさかまさか・・・
あたしの正体がバレタとか・・・
やばいかも・・・
ドキドキする。
暫くすると・・・
ガチャ
度が開く。
お城の人が入ってきたかと思うと・・
思いをよらない人だった。
飲んでいたお茶を噴出しそうになった。
「勇者パーティーの皆様。始めまして、私はミハエル公爵と申します」
そう・・・
そうなの。
あたしの婚約者・・・・
ミハエルが部屋に入ってきた。