【婚約者】 突撃っ!オーク洞窟
【ミハエル公爵視点】
聖女マリア・マーマレード伯爵令嬢の婚約者。
ミハエル公爵はオークの洞窟を訪れていた。
だが・・・
時既に遅し。
タイミングを逃したようだ・・・
俺は従者をつれて森を捜索した。
足跡や痕跡を追ってオークの洞窟を発見。
突撃したまでは良かったが・・・
オーク洞窟の中にマリアはいなかった。
いたのは弱ったオークのみ。
何者かの襲撃を受けたようで、オークたちは皆ヨロヨロだった。
それに、オーク洞窟付近にはゴブリンの死体もあった。
明らかに強力な者がこの付近に訪れたのだろう。
ゴブリンの死体を見ると耳を切り取られていたので・・・
きっと冒険者だろう。
耳を切り取り、後で換金するはず。
魔物語が話せる者に、オークから話を聞きだすと。
「デタラメに強い奴が現れたようです・・・
ええっと・・・黒剣の悪魔騎士だとか・・・」
黒剣・・・
悪魔騎士・・・・
その言葉から連想されるのは、一人の男しかいない。
「黒剣のバッカス」、「悪魔騎士バッカス」の異名を持つ男。
国が選ぶ、王下七剣士に一人。
基本7大属性。
火、水、風、土、雷、光、闇。
各属性の最強剣士に者に与えられるのが、王下七剣士の座。
闇属性がバッカスだ。
貴重な闇属性使いの騎士か・・・
今でも闇属性魔法は分からない部分が多い。
使い手も一人一人異なった魔法を使用すると聞く。
確かバッカスは・・・
今は勇者と名乗っているらしいが・・・
あまり良い噂は聞かないな。
勇者のはずなのに、他国からは懸賞金までかかっていたはず。
一体何をやったのか。
だが、今は奴のことよりもマリアのことだ。
彼女のことオークに聞くと。
「姫はいなくなった・・・気づくといなかった。
襲撃前には消えていたそうです」
どういうことだ?
てっきりバッカスにマリアが浚われたと思ったが・・・
その前に既にマリアは逃げ出したのか・・・
分からないことが多い。
さらにオークを聞いても。
「同じ答えです。いなくなたっとしか・・・」
答えは得られない。
くっ・・・心が揺れる。
マリアはどこに行ってしまったのか。
賢いマリアのことだ。
もしかして一人で逃げ出して、今頃家に戻っているかもしれない。
又は・・・バッカスと浚われた線も考えられる。
バッカスには会った事がないが・・・
マリアの身が心配でならない。
無事で過ごしているだろうか?
ご飯は食べているだろうか?
不安で一杯だ。
マリアが自力で洞窟を抜け出したにしろ。
バッカスに浚われたにしろ。
ここにはもういないだろう。
なら、マリアの家には使いを出し。
バッカスには俺自ら対峙するのが良いだろう。
奴の居場所ならすぐに見つけられるはず。
奴は目立つからな。
黒服に大剣スタイルの者など、そうはいないだろう。
それに確か・・・
国の用事で王城に呼ばれていたはず。
ならば王城で待ち構えていれば直に会うことができるだろう。
入れ違いをさけられるはず。
「皆のもの、王城に戻るっ!」
俺は直ぐにオーク洞窟を後にした。
待っていてくれ・・・
マリア。
今君を救いに行くっ!