マネージャー
学校へと向かう足取りは何となく重いが、今日は一大イベントである部活動紹介と新入部員の勧誘合戦があるのだ。
何としても戦力を確保しなくては。
そもそもうちは有名な高校というわけでもなく、去年の夏ベスト4、秋の関東大会ベスト8という成績を残したのみに過ぎない。
立派な成績ではあるが、偶々だと言われたらそれまでだ。
有望な選手は大抵有名校に行ってしまうので、そこに入れなかった、もしくは入らずにうちに来てくれた新入生を確保せねば。
部活紹介の大役をこなすのは、何を隠そう俺である。
責任重大だ。
などと武者震いしながら歩いていると、後ろから小走りに近づく足音が聞こえたので、振り向くとそこには同学年の女子がいた。
「やっ!おっはよートータ!」
「ああ、おはよう・・・マネージャー。」
「なーによー、いい加減名前で呼んでよ。」
知り合って丸一年経つというのに本当に申し訳ないが、やはり女子の名前を呼ぶのは恥ずかしい。
といっても、流石に名前で呼ばなければならない時などは、何とか呼べるようにはなってきたのだが。
呼ばないで済みそうな時は呼ばない様にしているのだ。
そもそもあまり女子と話す機会もないし、顔くらいは覚えても名前まで確認とかはあまりしないから、うっかり名前を呼んで間違えてしまっては目も当てられない。
そんな恥ずかし失礼な事をする可能性は出来る限り排除すべきである。
今朝会った有希ちゃんも名前を呼んだことはなかったな、そういえば。
敢えて名前を呼ばない会話は何か不自然だ。
そういう意味ではマネージャーという呼び方は実に便利である
一人しかいないし。
ただ、呼び方という点でいうと、彼女は俺の名前をどうもカタカナで呼んでいるような気がしてならないのだが・・・気のせいかな?
「未だにマネージャーとか言ってるのトータくらいだよ。もう一年も経つっていうのにさ。」
ごめんなさい、名前を知らないわけではないのです。
確か間寧寺 弥子…嘘ですごめんなさい。
「そう…だったな、悪かった弓原さん。」
弓原 静葉。
それが彼女の名前だ。
さすがに女子とはいえ我が部の仲間の名前くらいはちゃんと覚えている。
「初めて名前で呼んでくれた…。言わなきゃ呼んでくれないというのはこの際我慢して、ちょっと嬉しいな。」
うーむ、随分と喜んでくれている。
もっと早く勇気を出すべきだったな。
今まで失礼な事をしてきたのだろうな、反省しよう。
明日有希ちゃんに会ったら名前で読んでみよう、もちろん苗字の方でだが。
ちょっと短かったかな?最低1000文字は下回らないようにしたい。




