生活の流れが変わる瞬間
突然すぎてすまないが俺の自己紹介をさせてもらおう。
俺の名前は崎井 啓利。
今年で高校3年になる現17歳である。
あの女の子と会って数ヶ月が経ち…今では……
「おにぃーちゃん♪!おはよっ♪」
朝からこんな感じである。
彼女の名前は崎井 姫華。
今年で高校1年になる15歳。
…実は姫華とは、俺が中学3年、姫華が中学1年の時まで一緒に住んでいた。
俺は高校生になるとともに家を出て、東京で一人暮らしをしていた。
しかし、まさか妹が来るなんて……
俺が借りていたマンションの部屋は二人で使うことになり、いつの間にやら二人暮らしと化していた。
「おはよ姫華ってまたリボンがズレてるぞ?ったく……」
そういいつつ、妹のリボンをなおしてやる。うん、これでよし。
妹の白い肌がみるみる赤くなっていき俯いていた。
頭からはプシューとばかりに音を立てて、煙が出ているようにも見えた。
「ひ、姫華?今お兄ちゃんなにかしてしまったか?大丈夫か?」
声をかけるがずっと顔を赤くしたままである。すると……
「……ね」
とつぶやくものの、何を言ってるのかがわからない。
俺は妹に尋ねてみる。
「姫華、何って言ったのかわからなかったんだ。よかったらもう一回言ってくれないか?」
すると妹は少し顔を上げて
「…あ、ありがとね、お兄ちゃん…」と言ったのが聞こえた。
妹の声に思わずキュンとしてしまった。可愛いから仕方ないよね…ってすませる兄でごめんなさい。
ご飯を食べて、片付けをしたあと、カバンを持ち玄関へ。
二人で顔を見合わせ
「「いってきます!」」
と揃えて言う。いつの間にかこれが俺たちの決まりになっていた。
妹が入学して一ヶ月と10日が過ぎ、学校にも慣れてきたであろう時期がきた。
妹が来るまでの二年間は朝の登校はほとんど一人だったから…
恥ずかしながら俺は妹が来て、すごく嬉しいのである。突然来た時は驚いたけども。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
いろいろ考えてると、妹もいろんな意味で成長していて、それに今では同居までして、クラスの連中うるさいし……………まあ、気にしてないけども。
「いや、なんでもないぞ。ちょっと考えごとをな」
妹は一瞬考えているような顔にしたものの、すぐにパッと明るくなるなり微笑みながら俺に質問を投げかけてくる。
「私にまた会えて…嬉しい?」
な、なんて質問を……
まあ、妹の質問に答えないわけにはいかない。
「ああ、すっげぇ嬉しいよ。お前がうちに来てくれて、一緒に住めて、一緒に学校に通えて、すごい幸せだ」
俺は自分の言葉をそのまま言った。
すると妹の顔はまた赤くなってしまい、「そ、そか…」と恥ずかしそうに言った。
なんだよ、俺だって答えるの結構恥ずかしかったんだぞ……でも、正直に伝えることができたしいっか。
穏やかな気分のまま、学校の門の前まで着いた時にある人物の声が聞こえた。
「おはようございます!生徒会長のルエン・フェルールです!今日も一日頑張りましょう!」と快活な日本語ペラペラのフランス人がいた。
名前は「ルエン・フェルール」だが正確には「ルエン・エパード・エン・フェルール」と言うらしい。
…………長ぇな名前。
名前を短くしている理由としてはここの生徒達が呼びづらいであろうと思い、先生と相談して短くしているらしい。
クラスは俺と同じで、一年の時も同じだったから仲はそれなりにいい。
「おはよう、啓利!今日も妹とラブラブ登校かな?」………頼むからそれを毎度言うのをやめてくれないだろうか…
俺、超恥ずかしいんだけど!
周りからも視線…い、痛い…痛い痛い痛い痛い。
その上ここには…
「ラ、ラブラブですか!?
そう見えます!?お、お兄ちゃん…ギュー…」
と妹が俺に抱きついてくる。
まてまてまてまて!確かにすごいおいしいよ?妹に抱きつかれるってすごくおいしいことだけど…ここ門前だよね?見られたら俺の死亡フラグ立つよね?
「姫ちゃんはほんとに啓利が好きだな。微笑ましい限りだ!」
仲はいいけど…今の状況知らせていい?
妹の胸に顔が埋まって……息が…でき…な…………
こうして、朝の記憶はおいしい思い出と共に消え去り
俺の記憶に残ることはなかった…