兄弟説
2人の友達である「水田くん」は言いました。
「やっぱり2人は兄妹じゃないかな」
大地くんと月子ちゃんは、血のつながった兄妹で、今まで一緒にすごしてきた、と水田くんは言うのです。
これにはみんなが賛成しました。
2人はいつでも一緒。どこでも一緒。
やさしいお兄ちゃんと、恥ずかしがり屋な妹。
もっともらしい考えです。
しかし、みんなが納得していた時、誰かがこう言いました。
「でも2人は全然似てないわ」
彼女は日輪さんです。
「兄妹っていうにはあまりにも違いすぎるんじゃないかしら」
日輪さんはそう言うのです。
たしかに、2人は仲良しですが、似ている部分はほとんどありません。
大地くんは元気で活発ですが、月子ちゃんはもの静かでおとなしい。
大地くんはがっちりしていて丈夫ですが、月子ちゃんはとても軽くて、少し貧血気味でもあります。
また、その顔も全然似てないのです。
水田くんは反論することができませんでした。
周りのみんなも日輪さんの言い分を納得せざるを得ませんでした。
じゃあ兄妹でないなら、2人の関係はどんなものなのでしょう。
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さて、水野くんの主張はあっさり論破されてしまいました。
それもそのはず、実際に地球と月は似た星では無いからです。
星は、宇宙に散らばるガスやちりが集まってくっつき、出来あがります。
兄弟説は、地球と月が同じガスやちりの塊から出来あがったのではないか、とするものです。
同じ塊から出来て一緒に成長して行ったと言うところから「兄弟」と言われるわけです。
「兄弟説」は他にも双子集積説、共集説と呼ばれます。
同じものから出来た星同士なら、当然その中身である「元素存在比(どの元素がどのくらいあるかの割合)」も似通っているはずです。
まず地球と月との物理的特徴の違いを見ます。
地球は中心から順番に、鉄多く含む「核」、かんらん石で出来た「マントル」、花崗岩・安山岩・玄武岩などから出来た「地殻」があります。
月にも同じように、地殻、マントル、核から構成されていると考えられています。
地球のマントルと月の表面の岩石(アポロが取ってきたものですね)は、その化学組成がよく似ています。
表面やマントルを見れば、地球と月はとてもよく似た星なのですが、ここで問題になるのは、月の核です。
月の核は地球に比べ、相対的に非常に小さいものだとされています。
そのため月は地球に比べ鉄が少なく、全体的な元素存在比はかなり異なります。
鉄が少ないから月子ちゃんは貧血なんですね。
もし地球と月が同じガスやちりから出来たなら、月の鉄の少なさを説明できません。
この兄弟説は1960年前後に提唱された説ですが、鉄欠乏を説明できないことから今ではあまり人気がありません。
地球と月、大地くんと月子ちゃんが兄妹でないとすると、2人はどんな関係なんでしょう。
次章では、「親子説」について説明します。




