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TALE6:ルヴィアとランディが!? II

 ルヴィア(ランディ)とレーシアはホテルへ向かって走る。レーシアは息を切らして苦しそうだ。

「レーシアちゃん、大丈夫?」

 ルヴィア(ランディ)が足を止めて尋ねた。

「……はい……」

 片手を胸に当てたレーシアが苦しそうに言う。

「もう少しだからがんばれ」

「どうしたの? 苦しそうだね大丈夫?」

「ちょっと休んだほうがいいんじゃない?」

 苦しそうなレーシアを見て2人の若い男が声をかけてきた。

「気にしないでください」

 ルヴィア(ランディ)が2人に言った。

「だって苦しそうじゃん」

「ランディさん、私は平気です。行きましょう」

「うん」

 走りだそうとしたルヴィア(ランディ)の腕を男が掴んだ。

「何するんだよッ!!」

 もう1人の男はレーシアの腕を掴む。

「キャアッ!」

「レーシアちゃんッ!! おまえふざけるなッ!! 手を離せよッ!!」

「彼女、ずいぶん勇ましいねー」

「離せって言ってるだろッ!!」

「いいじゃん少しくらい遊ぼうぜ−」

「いー加減にしときな」

 突然ルヴィア(ランディ)の背後から男の声が聞こえた。

 4人が振り向く。そこに1人の少年が居た。

 サラサラのカーキの髪は耳が隠れる程の長さで、こちらでいうチャイナ服のような格好。歳は15、6といったところか。


「なんだテメエは!」

「嫌がってる女性にしつこく迫ってんじゃねーよ。みっともねー」

「なんだとコラ。ガキは引っ込んでろよ」

 男が睨むと少年はピクッと反応する。

「大人の遊びにガキが出しゃばってくんじゃねぇってんだよ」

「ほ〜らキャンディやるぜ〜」

 2人が笑った。

 顔を伏せた少年の体から怒りのオーラが発する。

「テメーら……。オレのことガキっつったな……」

「あっ!? なんだよ聞こえねぇよ」

「ガキっつったなッ!!?」

 顔を上げて男をギロッと睨みつけた。だが2人はひるまず逆に笑い始める。

「だってガキじゃねぇか。しかもダッセェ服!」

 少年の額に怒りの青筋がピキピキッと幾つも立ち体をワナワナと震わせる。

「オレのことだけじゃなく……妹が作ってくれた服までバカにしやがったな」

 ついにブチッとキレた。

「もー許せねーッッ!!!」

 男に飛び蹴りを食らわせた。

「がはッ!!」

 男は吹っ飛び店に突っ込んで商品をめちゃくちゃにして倒れた。

 強い!

 ルヴィア(ランディ)が目を見張る。

 少年はレーシアを捕まえている男に向き直り睨みつけた。

「う、動くな! 動いたらこの女を……」

 男がレーシアの首を絞める。

「うッ!」

「レーシアちゃんッ!!」

「卑怯者が」

 少年が男を睨んだ。

 自分にできる事はないのか、と悔しがるルヴィア(ランディ)。

「キミ、少しだけあの男の気を引けねーか?」

 少年が小声でルヴィア(ランディ)に言った。

「えっ?」

「一瞬でいい、頼む」

「わ、わかった」

 ルヴィア(ランディ)がうなずいた。

 男の気を引くといったらこれしかない。自分以外の男に見せたくはないが。

 服のボタンを外してバッと開いて見せた。

「おおっ!!」

 男がルヴィアの大きな胸に釘づけになり目をハートにした。

 少年はスキをついて走りだし飛び上がって男の顔面に飛び蹴りを食らわせた。

「ぐわッ!!」

 男に離され倒れそうになったレーシアをルヴィア(ランディ)は駆け寄り受け止める。

「レーシアちゃん、大丈夫っ!?」

「……はい……」

 ルヴィア(ランディ)の腕に抱かれたレーシアはホッと一息ついた。

 何気なくルヴィア(ランディ)の胸元を見て驚く。

「きゃあッ!! は、早く隠してください!」

「あっ、そうだった」

 ルヴィア(ランディ)が慌てて服のボタンを直す。

 レーシアは立ち上がり少年にお辞儀した。

「助けていただいて、本当にありがとうございました」

「いや、たいしたことねーよ。だけどな、この辺あーいう連中多いみてーだから気ィつけたほうがいーぜ」

「はい、気をつけます」

「なんなら、オレ護衛すっけど」

 少年が照れながら言うとルヴィア(ランディ)は立ち上がる。

「いえ、大丈夫ですから。それじゃ僕達急ぐんで。レーシアちゃん、行くよっ!」

「は、はいっ」

 ルヴィア(ランディ)とレーシアは走り去った。

「……なんか気になるな、あの2人……」

 2人の後ろ姿を見つめて呟く少年。

「ちょっとあんた!!」

「へッ!?」

 突然、声が聞こえ振り向くと、そこに額に青筋を立てたおばさんが居た。

「あんたのせいでウチの店の商品めちゃくちゃだよ!! どうしてくれんだい!! 弁償してもらうよ!!」

 おばさんが指差すほうを見ると店はグチャグチャで男は伸びたままだった。

「あッ!! すッ、スンマセン……」

 冷や汗を垂らして頭を下げる少年だった。



 ホテルの一室。

「あと5時間のシンボーよ。それまでココでおとなしくしてんのよっ! いーわねっ!」

「そうだな」

 あーあ、どうしてこんな目に。

 ランディ(ルヴィア)が深いため息をつきベッドに座っている自分の姿を見つめた。

 でも自分の姿を他人の目から見る機会なんてそうそうない。

 やっぱあたしってイイ女ね〜。

 自分の姿に見とれたランディ(ルヴィア)が両手を握り合わせてウットリした。

 そんな自分の姿を見たルヴィア(ランディ)はギョッとする。

「ど、どうしたんだよ」

「ウフっ! あたしってばちょーイイ女なものだから、ついみとれちゃってたの。ランディやホカの男どもが、あたしのコトほっとかないワケよね」

「…………」

 ルヴィア(ランディ)が冷や汗を垂らすとランディ(ルヴィア)は半目でジトッと見る。

「なんかモンクある」

「いや、そのとおりだよ。だけどルヴィアの目から見た僕の姿もなかなかイケてるぞ」

「なんか言った?」

 顔を背けてランディ(ルヴィアが)が聞こえない振りをした。



「ふー、やっと1時間たったわ。でもまだ4時間もあるのねェ」

 置き時計を見たランディ(ルヴィアが)が肩をガックリ落とした。

 一方ルヴィア(ランディ)は下を向き何をするかと思いきや胸を揉み始める。

「!!」

 それを見たランディ(ルヴィア)がビックリ仰天して駆け寄る。

「アンタッ!! ナニやってんのよッッ!!!」

「いやぁ、暇だったんでついっ」

 ルヴィア(ランディ)が片手を頭の後ろに回してオチャメに笑う。

「ナニよそれッッ!!! あたしのカラダ、カッテにさわんじゃないわよバカッッ!!!」

「いいじゃないか、今は僕の体なんだし。それにしても久しぶりに触ったな」

 再び胸を揉みだすとランディ(ルヴィア)はカッとなる。

「ナニしてんのよッッ!!!」

 思わず殴りかかろうとしたが顔の手前で寸止めする。

「……く、くゥ〜〜」

「ヘヘン、どうだ。殴れないだろう。自分の顔だもんなぁ」

 意地悪そうに笑うルヴィア(ランディ)。

「アッタマ来たッ!!」

 ランディ(ルヴィア)がルヴィア(ランディ)をベッドにうつ伏せに押し倒した。

「なっ、何をっ!? いやーんっ、優しくしてねっ」

「バーカッ!!」

 手にしていた物はジュエル・ウィップだ。ルヴィアの腰から外したのだ。

「そんな物持ってどうする気だッ!? ハッ! まさかSMプレイをッ!」

「アンタ、ホントにバカじゃないのッ!? なんであたしがジブンをイジメなきゃなんないのよッ!」

 ルヴィア(ランディ)の両手をジュエル・ウィップを使い腰の後ろで縛った。

「わあッ!! 何するんだよッ!! やっぱりそうじゃないかッ!!」

「ちがうわよッ!! アンタがあたしのカラダさわんないよーによッ!!」

「わかった。もうしないから外してくれよ」

「イヤ」

「……なぁ、僕思ったことがあるんだけどさ……」

 ポツリと言うルヴィア(ランディ)。

「アンタが思うコトってロクなコトじゃないのよッ!!」

「そうかなぁ……。ルヴィアは男の立場でHしてみたくないか?」

「はあッ!!?」

 何を言いだすのかとランディ(ルヴィア)がビビッた。

「僕は女の立場でしてみたいんだ……。ルヴィア、僕を抱いてくれっ!」

 発言は変態極まりないがルヴィア(ランディ)の目は真剣だ。

「アンタ……。マジで言ってるワケ」

 ドン引きしたランディ(ルヴィア)が尋ねるとルヴィア(ランディ)は真顔でうなずく。

「もちろん」

 ランディ(ルヴィア)は青ざめた顔で震える。

「イヤ……。イヤァーッッ!!! もー信っじらんないッッ!!! どーにかしてよコイツゥーッッ!!! キモイわよッ!! ちょーヘンタイすぎるわよォーッ!!!」

 両手で頭を抱えて叫んだ。

「そこまで言わなくても……。僕の声でそういうこと言うほうが気持ち悪いよ」



「やっと2時間……。先はながいわ……」

「なぁルヴィア。僕、トイレに行きたくなったんだけど……」

 急にルヴィア(ランディ)が体をモジモジと動かし始めた。

「トイレーッ!? そんなウソついてもだまされないわよッ!」

「本当だって。早くしないともらしちゃうよっ」

「……しかたないわねェー。ほらサッサと行きなさいよ」

 ランディ(ルヴィア)が両手首を縛っていたジュエル・ウィップを外してあげた。

「ありがとう」

 トイレに向かうルヴィア(ランディ)にランディ(ルヴィア)はハッとして重大な事に気づく。

「チョット待ちなさいよッ!!」

 慌てて捕まえた。

「ダメよ行っちゃッ!! あたしのカラダなんだからッ!!」

 ランディ(ルヴィア)の顔は赤かった。

「そんなこと言ったってもれちゃうだろっ! 何恥ずかしがってるんだよ」

「ウッサイわねッ!! ガマンしなさいッ!!」

 するとドアをノックする音が聞こえた。

 ランディ(ルヴィア)がドアを開けると、そこにレーシアが居た。

「レーシア」

「お姉さま、ランディさん。どうしてる?」

「うん、まーなんとかね」

「もうお昼だし、ランチに行かない?」

「そーね、おなかもすいてきたし。ランディ、行くわよ」

「う、うん」



 レストランでもの凄い勢いで料理をたいらげるのはランディ(ルヴィア)だ。

「見て、さっきのオカマよ」

「あのオカマ、すげぇ食欲だぜ」

 先程のランディを見ていたと思われる客の何人かがヒソヒソと話していた。

 それが耳に入ったランディ(ルヴィア)の額に青筋がピキッと立つ。

 立ち上がり話をしていた男に向かう。男は歩み寄ってきたランディ(ルヴィア)を見て息を呑む。

「あた、おれはオカマじゃねーッッ!!!」

 鉄拳でテーブルを突き破る、つもりだった。だがガンッと鈍い音がしただけでランディ(ルヴィア)の拳は真っ赤に腫れ上がる。

「イッターッッ!!!」

 涙目になり左手で右手首を握った。

 そこへルヴィア(ランディ)が駆け寄る。

「何やってるんだよっ!!」

「アンタ鍛え方たんないわよッ!! あたしだったらこんなコトにはッ!!」

「……やっぱりオカマじゃねぇか」

 男がボソッと呟きランディ(ルヴィア)の額に青筋が立つ。

「ちがうってーのッッ!!!」



「おなかがくるしィ〜〜」

 アイルーン・アーマーを外したランディ(ルヴィア)がベッドに横たわった。

「ランディさんの体で食べ過ぎなのよ!」

 怒っているレーシア。

「だってェ〜〜」

「…………」

「ランディさん?」

 静かなルヴィア(ランディ)にレーシアが顔を向ける。

「顔色がよくありませんね。大丈夫ですか?」

「ト、トイレに行きたくて……」

「トイレ!? 我慢していたんですか!? 行けばいいじゃないですか!」

「バカ言わないでよッ!! あたしのカラダなのよッ!!」

「それはわかっているけど、こんなになるまで我慢させたらお姉さまの体にもよくないじゃない!」

 レーシアの正論にランディ(ルヴィア)は納得する。

「……そ、それもそーねェ。だっ、だけど……。うゥ〜〜」

 まだ抵抗があった。

「だッ!! ダメだァ――ッ!!! もう我慢できなァ――いッ!!!」

 ルヴィア(ランディ)が一目散にトイレに駆け込んだ。

「ああ゛〜〜!!! ア、アイツゥ〜〜行っちゃったのねェ……」

 追いかける事もできずランディ(ルヴィア)がベッドに泣き崩れた。



 30分後。

 ルヴィア(ランディ)は嫌に気分爽快スッキリした表情で2人の前に現れた。

「よっ! 具合はどうだ? ルヴィア」

「ア、アンタ……。トイレにしては、ズイブンながすぎるんじゃーないの……」

 相変わらず苦しそうな表情のランディ(ルヴィア)がベッドに寝込んだ状態で言う。

 ルヴィア(ランディ)は目線をそらし、すっとぼける。

「そうかなー?」

「アンタァ、カラダがモトにもどった時がアンタのサイゴよ。カクゴしときなさいよねェ〜〜」

 怨念の眼差しで睨みつけるとルヴィア(ランディ)は恐怖で怯え顔が真っ青になった。



「もーチョットよ。もーチョットでこのくるしみからのがれられるわ。ランディー、カクゴできてんでしょーねェー」

 ランディ(ルヴィア)がルヴィア(ランディ)をギロリと睨みつけた。

 ソファーに座っているルヴィア(ランディ)はガタガタと震えている。

「お姉さま! ランディさんをいじめないで」

 見かねたレーシアが言う。

「そんなコト言われても、コイツがワルイんだから」

「ランディさんは悪くないわ。お姉さまとランディさんが入れ替わってしまったのも事故だし、トイレに行きたくなるのだって当然のことなんだから!」

「…………」

 正論を言われては反論できない。

「だっ、だけどねっ! あんなながい間コイツがあたしのカラダになにもしてないと思うッ!? やっぱゆるすワケにいかないわァ〜〜」

 再びランディ(ルヴィアの)が恐ろしい形相になる。

「そんなこと、してませんよね? ランディさん」

「えっ、も、もちろん」

 レーシアに尋ねられルヴィア(ランディ)が答えたが説得力がない。

 すると2人の体が光り輝き、その光は入れ替わった。


「あ……」

 ルヴィアが目をパチクリさせ、すぐ下を向き体を確かめた。

 立ち上がり自分を抱きしめる。

「もどったわーっ!! あたしのうつくしー声っ!! うつくしーカラダっ!! ただいまーっ!!」

 満面の笑顔で言うルヴィア。

「うぐおーッ!!! お腹がッ!! 苦しい――ッ!!」

 ベッドのランディが青い顔で悶えた。

 そんな事もお構いなしにルヴィアは睨みつける。

「さァ〜ランディちゃん。オシオキの時間よ」

「ルッ、ルヴィアッ! 今はやめてくれェーッ!!」

「おだまりッ!!」

 飛び上がりヒールでランディの腹部を踏み付ける。

「ウゲッ!!!」

「キャー!! お姉さまやめてー!!」

 レーシアが止めるが今のルヴィアの耳には入らない。

「ジューブンあたしのカラダ、タンノーしたんでしょーねェ。さぞかしたのしかったでしょーねェーッ!!!」

「グエエ〜〜」

 力を込めて思いっきりギュウ〜と踏み込みヒールがランディの腹に食い込む。

「吐くッ!! 吐くゥッ!! やめろォ〜〜!!」

「やめて!! お姉さまのバカ!!」

 レーシアがルヴィアの足を掴みベッドから振り落とした。

「キャアッ!!」

 ルヴィアは床に倒れたが、すぐ立ち上がる。

「ナニすんのよッ!! どーしてランディのミカタするワケッ!!?」

「お姉さまが酷いことをするからよ!!」

「ランディがワルイんじゃないッ!!」

「…………」

 黙って睨むレーシアにルヴィアは怒りが込み上がる。

「あっそー。アッタマ来たッ!! もー知んないッ!!」

 そう言い捨てルヴィアは部屋を飛び出していったのだった。



【TALE6:END】

今回のお話は珍しくシリアスな展開で終わりました。


【格闘術大会編】に入ります。


今までのお話は続いてますが1話完結的でしたが今回からは数話続きます。

引き続きお読みくださると嬉しいです♪

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