TALE10:プリンセスにスカウト
「このタウンのシアターはアイルーン・キャッスルタウンに次ぐ人気なんですって」
街道を歩きながらガイドブックを手にしたレーシアが言った。
「ふーん、そうなんだ」
「だったら、あたし達も見ていきましょーよ」
「こちらの方がシアターで人気のシェレルモーネさんだそうよ」
レーシアがガイドブックに載っているシェレルモーネの肖像画をルヴィアとランディに見せた。
「へぇー、けっこう綺麗な人だね」
肖像画を見たランディが言う。
「ナニ言ってんのよ。このあたしにはおよばないわ」
「あれっ!? ルヴィア妬いてるのかっ!?」
「ちッ! ちがうわよッ!!」
「ムキになってるじゃないかー」
「ナニ言ってんのよッ!! 世界イチうつくしーのはこのあたしなんだからッ!!」
キッパリ言い切るルヴィアだった。
元気なく歩く1人の少年。
深いため息をつく。その表情は暗い。
ふと顔を上げた少年の目に入ったのは前から歩いてくるルヴィア達の姿。
ルヴィアとレーシアの美貌に目を奪われる。
……なんて綺麗な人達なんだろう。2人の周りだけ光が溢れて輝いているような。
ルヴィア達が通り過ぎるのを目で追う少年。
そして思い立ったように走りだす。
少年は巨大なシアターにやってきた。
「座長!!」
「おや? サーフィ君じゃないか。もう、大丈夫なのかね!?」
髭面の男が心配そうにサーフィに駆け寄る。
「あ、いえ、まだ大丈夫とは言えませんけど……。でもさっきすごく綺麗な女の人を2人見かけたんです!」
「はっ!?」
何を言いだすのかと座長が目を丸くする。
「あの2人なら、シェレルが今まで盛り上げてくれたこのシアターを絶対に無駄にはしない!! きっと引き継いでいってくれる!! 僕はそう直感したんです!!」
サーフィが瞳を輝かせて熱弁した。
「サ、サーフィ君……。よくわかったが、その方達がダンサーになることを引き受けてくれたのかね!?」
「いえ、まだです」
目を点にして言うと座長はズッコケた。
「それじゃ今から2人を捜してスカウトしてきます!!」
そう言いサーフィは飛び出していった。
「チケット売りきれなんてついてないわねー」
シアターの前でルヴィアが残念そうに言った。
「仕方ないわよ、人気があるんだもの」
「だったらもーこのタウンにいてもムダね。今夜ココ泊まって明日べつのタウン行きましょ」
話しているルヴィア達を、ちょうどシアターから出てきたサーフィが発見する。
捜さずして会えた事にラッキーと思い、これはもう神様が2人にダンサーになれと言っているのだと思ってルヴィア達にコソコソと歩み寄る。
「ん?」
気配に気づいたルヴィアが振り返るとサーフィと目がバッチリ合う。
「!!」
驚いたサーフィは慌てて物陰にスッ飛んでいった。
「な、ナニッ!?」
顔をしかめたルヴィアにランディは振り向く。
「どうした?」
「なんかヘンなヤツいたのよ」
「エッ!?」
いきなり振り返ったルヴィアにビックリした。
物陰でサーフィは鼓動を沈めながら、そっと顔を出してルヴィア達の様子を伺う。
歩き始めてしまったルヴィア達に焦って物陰から飛び出して追いかける。
「あの!! すいません!!」
サーフィがルヴィア達の背後から呼び止めた。
振り返ったルヴィアはサーフィを指差す。
「あッ!! アンタ今のッ!!」
「何ッ!!? 変な奴ってコイツかッ!!?」
ランディがサーフィの前に立ちはだかる。
「ルヴィアになんの用だッ!!」
「あ、いえ! 僕は怪しい者じゃありません! サーフィっていいます!」
名乗るサーフィにランディは冷や汗を垂らす。
「別に名前なんて聞いてないぞ……」
「あ、あの君達……」
サーフィはルヴィアとレーシアに歩み寄り見惚れて目をハートにする。
「なんなのッ!?」
またもルヴィアが顔をしかめた。
ランディは睨みながらサーフィの前に再び立ちはだかる。
「僕の前でナンパしようとはいい度胸だな」
それを聞いたサーフィは慌てる。
「ちっ、違います! ナンパなんてそんなのじゃありません!」
「じゃあなんだよ」
「スカウトです」
「はッ!?」
ルヴィアとランディの目が点になった。
「あ、あの……。君達ダンサーやってみませんか!?」
唐突なサーフィの発言に今度は目を丸くする。
「はあーッ!!?」
「君達なら絶対に世界一のダンサーになれる!! 僕がバックアップするから一緒にがんばろう!!」
サーフィがルヴィアとレーシアの手を取った。
「ちょッ! ちょっとナニ言ってんのよッ!!」
「何ちゃっかりルヴィアとレーシアちゃんの手を握ってるんだよッ!!」
いきり立ったランディがサーフィの腕を掴み離させた。
サーフィは何をするかと思いきや突然、土下座する。
「お願いします!! 君達にしか頼れないんです!! シェレルに代われるのはもう君達しか!!」
「シェレルって」
「お姉さま、詳しく話を聞いてみたらどうかしら」
レーシアが提案するとルヴィアはため息をつく。
「そーねェ、メンドイけどしかたないわ。聞いてあげるから話してみなさいよ」
「は、はい」
サーフィが顔を上げた。
カフェでルヴィア達はサーフィの話を聞く事にした。
「このタウンのシアターで看板ダンサーだったシェレルは僕の恋人だったんです」
サーフィの発言にルヴィアとランディはビックリ仰天する。
「エエーッ!!? こッ!! 恋人ッ!!?」
「そんなに驚きましたか?」
「だッ、だってシェレルってコの顔見たけど、アンタの恋人ってどー見てもバランスわるすぎるわよッ!?」
ルヴィアがそう言うとサーフィはガビーンとショックを受けた。
「酷いです……」
「お姉さま失礼よ!!」
怒ったレーシアが注意した。
「僕はシェレルに一目惚れをしてしまいレターやブーケ、プレゼントを贈り続け、徹夜で並んで彼女のステージのチケットを取り見に行っていたんです。シェレルも、そんな僕に気づいてくれていたようで、ある時2人で会うことになったんです」
「ウッソ、スゴイじゃない」
驚くルヴィア。
「あの時、僕は信じられませんでした。そしてシェレルと会いました。話をしている内に僕はますますシェレルのことを好きになっていき、思いきって告白しました。そしたらシェレルも僕のことを好きと言ってくれて……。つきあうことになったんです」
「エーッ!? ホントなのッ!? それでどーなったのッ!? すぐわかれちゃったんじゃないのッ!?」
「お姉さま」
レーシアがギロッとルヴィアを睨んだ。
「そんなことはないです……。ですけど2週間ほど前……。ううっ」
突然サーフィが涙を流しルヴィアはうろたえる。
「ど、どーしたのよっ! あたしのせいなのっ!?」
「……違います。2週間ほど前……。シェレルが首つり自殺を……」
「じッ! ジサツゥッ!!?」
ルヴィア達が驚愕した。
「どーしてよッ!!」
「うっ……。わかりません……。僕と会っている時はシェレルに特に変わった様子なんてなかったし……」
「そう思ってただけじゃないのか? 君の知らない時に何か思い詰めてたかもしれないよ。恋人なのに気づいてやれないなんて君も悪いよ」
男には厳しいランディだった。
サーフィはテーブルに突っ伏せ泣きだす。
「うわぁー!! シェレルー!!」
「よけー泣かせてどーすんのよッ!!」
ルヴィア・パンチでランディを殴った。
「ねーアンタ、そんな泣かないでゲンキ出しなさいよ」
「うっ……」
サーフィは涙目でルヴィアを見た。ルヴィアがとても輝いて見えた。
「ルヴィアさん!! 僕が元気になるには君とレーシアさんがダンサーになってくれないとダメです!!」
「エッ!? まッ! 待ってよッ! 急にそんなコト言われてもこまんのよッ!!」
「お待たせしましたー」
ウェイトレスがテーブルにパフェやプリン・アラモード、ケーキを運んできた。
「きゃーっ♪ 待ってましたーっ♪」
瞳を輝かせるルヴィア。
「…………」
サーフィが深刻な表情になる。
「実は来週、シェレルのステージがあるんです。チケットはもちろん完売、遠くから見にいらっしゃる方もたくさんいます。でも、その方達はシェレルの死を知るはずもありません。そんなことを知ったら皆さん悲しんで残念がるでしょう。座長もとても苦悩しているんです」
「仕方ないじゃないか」
ランディがそう言うとサーフィはパフェに夢中のルヴィアをジッと見つめた。
そんなサーフィにランディは感づく。
「まさかそのためにルヴィアとレーシアちゃんをダンサーにッ!?」
「どうかお願いします!! ルヴィアさん!! レーシアさん!!」
サーフィが両手を合わせて懇願したがルヴィアは聞いちゃいない。
「レーシアさんはどうですか!?」
「えッ!」
突然サーフィに尋ねられレーシアはうろたえる。
「すいません、私ダンス苦手で……」
「えっ! そうなんですか!? でもがんばれば大丈夫ですよ!」
「で、でも……。お姉さま!!」
レーシアが声をかけるとルヴィアは顔を向ける。
「んっ? なに?」
「お姉さま、サーフィさんのお願いどうなの?」
「ダンサーになる気でしょ? ないわよ」
ルヴィアがあっさり言うとサーフィは悲しそうな表情をする。
「そんな……」
「なんでこのあたしがそんなメンドイコトしなきゃなんないのよ。ジョーダンじゃないわ」
そう言いルヴィアはパフェをたいらげプリン・アラモードを食べ始める。
「あなたのその美しさを皆さんに披露してみたくはないですか!?」
「えっ?」
「その美しさを披露しないでおくのは惜しいです」
「あーら、もっと言っていーわよ。ホホホホホ」
気を良くするルヴィア。
おだて作戦か、とランディが冷や汗を垂らした。
「ダンサーになってこそ、その美しさが更に華を咲かせるというもの。あなたはダンサーになるしかないんです!!」
「その手にひっかかんないわよッ!!」
ルヴィアがキッと睨みつけるとサーフィはビビる。
「……ルヴィア、そんなに嫌なのか?」
口を挟むランディ。
「トーゼンでしょッ!!」
「どうして? お姉さまはダンス上手じゃない」
レーシアも言う。
それを聞いたサーフィは笑顔になる。
「そ、そうなんですか!? それじゃすぐ1流ダンサーになれますね!」
「ちょっとレーシアッ!! よけーなコト言ってッ!! あんたはどーなのよッ!!」
「私はダンス下手でしょう?」
「ダンサーなんかやる気ないんでしょッ!! だったらだまってなさいよッ!!」
「ルヴィアさん……。どうしてもダメですか?」
「そー言ってんじゃないッ!! シツコイわねッ!!」
「ヒッ!」
ルヴィアにもの凄い形相で睨みつけられサーフィはビビリすくみあがった。
「フンッ! そーゆーワケだから、じゃーね。ココはアンタが払うのよ」
いつの間にか全て食べ終わっていたルヴィアが立ち上がり歩きだすとランディは慌てて追いかける。
「待ってくれよルヴィアっ!」
「…………」
サーフィは悲しそうな表情でルヴィアを見つめていた。
「お姉さまったら……」
レーシアはため息をつき立ち上がる。
「すいません、サーフィさん」
「あの……」
「はい?」
夜。
ホテルの一室。
「ねぇお姉さま、考え直す気はない? サーフィさん、かわいそうよ」
レーシアがベッドに横たわっているルヴィアに言った。
「あたしにはカンケーないわ。イヤったらヤ」
横たわったまま言い放つルヴィア。
「でも……」
「あんただってヤなクセにウルサイわよ」
「私は嫌なんじゃなくて苦手なのよ」
「ドリョクしよーとしないでよくゆーわ」
「悪かったわね!!」
ムッとしたレーシアだが冷静になる。
「お姉さま、サーフィさんから伝言を預かってきたわ。ここからシアターに向かう街道をまっすぐ行くと広場があるの。そこにある大樹の下で今夜7時に待ってますって」
それを聞いたルヴィアは起き上がり顔をしかめる。
「はあッ!? だからッ!?」
「お姉さまを待っているのよ」
「どーしてよッ!!」
「さっきのことでお話があるんじゃない? もうすぐ7時になるから行ってあげて」
「なんで行かなきゃなんないのよッ!!」
「サーフィさん、お姉さまが来るまでずっと待ってるって言っていたわ」
「バッカじゃないッ!? カッテに待ってればいーのよ」
そう言い再び横たわるルヴィアにレーシアはため息をつく。
「もう」
レーシアは置き時計を見た。
もう7時半を過ぎている。サーフィは絶対に待っているに違いない。
なんとかして連れて行かなければ。
立ち上がりベッドでお約束の強烈なイビキをかきながら眠っているルヴィアに歩み寄る。
「お姉さま!」
ルヴィアを起こそうとしたが、ひらめく。
眠っている内に連れていってしまえばいい。
窓を開ける。
眠りこけてグダッとしているルヴィアの背後から腰を抱きベッドから引きずり下ろした。
予想以上に重い。
ルヴィアの腰を抱きレーシアは懸命に立ち上がる。
「『レビテイト』!」
レーシアの体が淡く輝き風をまとって宙に浮き上がった。
大樹の下でサーフィはルヴィアが来るのを信じて待つが、広場の時計を見るともうすぐ8時になろうとしている。
……やはり来てくれないのだろうか。
諦めかけていた時、空からルヴィアの腰を抱いたレーシアが着地した。
広場に居た人は突然、空から現れたレーシアに注目する。
恥ずかしさで顔が赤くなるレーシア。
「あ、あの!」
そこへサーフィが駆け寄ってきた。
「サーフィさん」
「レーシアさん、今空から」
「あ、お姉さまを連れてきました」
サーフィはレーシアに抱かれイビキをかきながら眠ったままのルヴィアを見る。
「レーシアさん、ルヴィアさんを連れてきてくださったんですか。ありがとうございます!」
「いいえ」
サーフィは空いているベンチに抱えているルヴィアを座らせた。
「よく眠っていますね」
「お姉さまは1度眠ってしまうとなかなか目を覚まさなくって……」
「そうなんですか。でもすごいイビキですね」
「はい……。お姉さまのイビキは特殊で……」
レーシアは恥ずかしそうに言ってから一息つく。
「お姉さま!! 起きて!!」
ルヴィアの頬に平手打ちした。それを見たサーフィはギョッとする。
「わッ!! だッ、大丈夫なんですか!?」
「……ッタァ」
ルヴィアがゆっくり目を開ける。
「起きた? お姉さま」
「……ココ、ドコ?」
辺りをキョロキョロと見回す。
「さっき言った広場よ」
「ヒロバ? なんでっ?」
状況が把握できていない。
「お姉さまが眠っていたから、その間に連れてきたのよ」
「はッ!!?」
それを聞いたルヴィアは立ち上がりレーシアに食ってかかる。
「ナニしてんのあんたはッ!!」
「あ、あの……」
黙って見ていたサーフィが口を挟む。
「あたしが寝てたからってなんでこんなトコつれてくんのよッ!!」
「もしもし?」
冷や汗を垂らすサーフィ。
「チョットどーゆーつもりなのッ!!?」
「すいませーん!」
「ウッサイわねッッ!!! 今トリコミ中なのよッッ!!!」
もの凄い剣幕でルヴィアがクワッとアップで迫るとサーフィは縮こまり怯えた。
「ウワァッ!! すッ、すいませーん」
「あれ? アンタ……」
サーフィをマジマジと見つめる。
「サーフィさんよ。ここでずっとお姉さまを待っていたのよ」
「え? じゃーあたしをココにつれてきたのは」
「サーフィさんに会わせるためよ。こうするしか方法がないと思って」
「なーんだそーだったのっ! だったらはやく言ってくれれば…って、あんたよけーなコトしてェーッ!!」
レーシアを睨みつけた。
「仕方ないじゃない。それじゃ私はホテルに戻るわ。ちゃんとサーフィさんとお話するのよ」
「あ、ありがとうございました」
サーフィかお辞儀するとレーシアも会釈して立ち去った。
「ったくゥ。あのコにもまいったわ。ここまでするなんて……」
呆れてため息をつくルヴィア。
「こちらへおかけください」
「え?」
振り向くとベンチに座ったサーフィが隣に手を差し伸べていた。
ルヴィアは仕方なしにベンチに座り足を組む。
「てっとりばやくすませてよ」
「は、はい。あの……先ほどの件なのですが、どうしても嫌でしょうか」
「それならヤッて言ったでしょ」
「そう…ですか。あの、もちろんタダとは言いません。お金なら払いますので」
「このあたしを買うつもり? バッカねェー。お金ならこまってないの。ザンネンだったわね」
舌をペロッと出す。
「そんな……」
「しーてゆーならね」
「おいくらですか!?」
「5000万ラルってとこね」
ルヴィアがそう言うとサーフィは目を見開きビックリ仰天する。
「ごッ!! 5000万ラルー!!?」
「このあたしにそーゆーコトたのむってのは高くつくってコトよ。ムリでしょー? 5000万ラルなんて。じゃーこの話は終わり。バーイ」
立ち上がり去ろうとした。
「待ってください!!」
「へ?」
引き止められ振り返るとサーフィは真剣な表情をしていた。
「わかりました。5000万ラルですね。なんとかします。だからステージに出てください!!」
「ま、マジ?」
ルヴィアが目を丸くした。
「5000万ラルよっ!? 用意できんのっ!?」
「なんとかしてみせます。そのかわり、引き受けてくださいますよね!?」
「……えー」
「お願いします!!」
懇願するサーフィにルヴィアは参ってしまった。
でも用意するとまで言われてしまったら、もう断れない。そこまであたしが必要なのか。
思ったルヴィアはため息をつく。
「……わかったわ。払えるもんならね」
あまり気が進まないがルヴィアは承諾した。
それを聞いたサーフィの表情は明るくなる。
「あ、ありがとうございます!!」
次の日。
「エッ!!? ダンサーを引き受けたァーッ!!?」
ホテルのレストランで食事をとりながら驚きの声を上げたのはランディだ。
「どッ! どうしたんだよッ!? あんなに嫌がってたのに」
「お姉さまってば、サーフィさんに5000万ラルもの報酬を請求したんですよ」
レーシアがそう言うとランディは更に驚く。
「エエッ!!?」
「あきらめさせるために言ったのよ。でもなんとかするってゆーからしかたなしにィ……」
ため息をつくルヴィア。
「でもそんな大金、本当に払えるのかなぁ?」
ルヴィア達はシアターの座長に会った。
「座長、こちらの方が昨日話したルヴィアさんです」
サーフィが紹介した。
「どーも」
「これはこれは!! 本当に美しいお嬢さんだなぁ」
座長がマジマジと見つめるとルヴィアは得意顔になる。
「トーゼンよ」
「それで!? あなたがステージに出ると!」
急にルヴィアのテンションが下がる。
「……はぁ……」
「でも本番は6日後なんだが大丈夫かね!?」
「がんばってみるわ……」
元気なく答えるルヴィアだった。
【TALE10:END】