表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

EPISODE05 残虐な天使

ドレイクシティ。夜のレッドライト・ディストリクト(赤線地区)にて。


この地区は昼も夜も、金の為に体を売る女がいっぱいだ。


年齢は様々。20代~30代、果ては子供まで・・・


皆、露出度の高い服を着て、男たちを誘惑する。


この地区に来るのは、殆んどマフィアやチンピラだ。


特に最近は、ロシアンマフィアの客が多かった。


そんなロシアンマフィアの構成員であろうスキンヘッドの男が、20代前半と思われる売春婦に声をかけられた。


「そこのいい男、私と遊ばない?」


「おお・・・なかなかいい女じゃねえか。アジア女は大好きだぜ。」


男は売春婦についていった。


モーテルに着くと、部屋に入り、女はシャワーを浴びに行った。


「ああ・・・楽しみだ・・・」


男が1人妄想に耽っていると、女が気になって、シャワーを覗きに行った。


男がニヤニヤしつつ、シャワーに立つと、影が見えない。


「どうしたんだ?貧血で倒れちまったか?」


男がドアを開けると、そこにはナイフで切り刻まれ、惨殺された売春婦が・・・


「まずいぞ・・・サツに疑われちまう・・・」


男が慌てて、後ろを向くと、少女が立っていた。


少女は金髪のポニーテールで、ドレスを着ており、手を後ろに組んでいる。


「おじさん、私と遊ばない?」


「はあ?笑わせんなよ。お前みたいな女と遊んでる暇はねえんだ。」


「そんなこと言わないで。さっきのお姉ちゃんは遊んでくれたよ?おじさんも遊ぼうよ・・・きっと楽しいから・・・」


少女は可憐な表情から、影の表情へと変わり、後ろに持っていたナイフを取り出した。


恐怖に駆られた男は銃を取り出そうと、ジャケットに手をかけるが、ふと見ると少女はいない。


「出てきやがれ!クソガキめ!」


男は銃を撃ちまくるが、弾切れに。


「クソッ!」


すぐにバタフライナイフを取り出し、警戒するが足に切られた感覚が。


素足の男のアキレス腱はナイフでバッサリと切られ、大量の血が出ていた・・・


「うう・・・このクソガキめ・・・こんなガキごときに・・・」


「遊んでくれてありがとう!楽しかったよ。じゃあね・・・」


少女はサイレンサー付きの拳銃で男の頭を撃ちぬいた。


数分後。


モーテルには警察とマスコミでごった返しだった。


そこにロドリゲス警部がやって来た。


ミラーとジェンキンスに状況を聞く。


「被害者は?」


「売春婦と、ファウスティン・ファミリーの構成員です。」


ミラーが説明すると、ロドリゲスは事件のあった部屋に入った。


「こりゃあ、酷いな・・・犯人はイカレてる・・・」


「警部、敵対マフィアなら猟奇的な犯行はしないわ。彼らなら普通に銃で撃って殺しますから・・・」


ジェンキンスが説明する。


「なら、誰がやったと言うんだね?殺し屋か?」


ロドリゲス警部が聞くと、ミラーは答えた。


「目撃者がいるんです。」


「目撃者?」


「ええ、モーテルの駐車場で車を停めて友人を待っていた男性です。」


「で、彼は何と言ってた?」


「小さな女の子だそうです。9歳ぐらいの・・・金髪のポニーテールでドレスを着ていてこの部屋から出てきて・・・」


「子どもに殺人などできるわけがない・・・」


「かなり大きいカバンを持っていたらしいです。」


「ただの見間違いだろ・・・間違えて入ったんだよ。入ったのがセックスをおっぱじめようとしてるクズどもの部屋だっただけだ。かわいそうに・・・


「警部、目撃証言を否定するんですか?部屋から出てきたのがその証拠でしょう!?」


「うるさい!子どもに殺人などできるわけがない・・・無垢な子供に・・・」


ロドリゲス警部はミラーに怒鳴ると、他の警官からの視線を浴びたが、何も言わずに帰っていった。


「どうして信じないんだ・・・」


ミラーがつぶやくと、ジェンキンスが言った。


「ティム、警部はご子息をお持ちだから、小さな子どもが犯罪を犯すなんて考えたくないのよ・・・

わかってあげて?」


「確かに俺だって思いたくないさ・・・これからの将来を担う子どもたちが犯罪を犯すなんて・・・

でも、世界は残酷じゃないか・・・大人の勝手な都合で子どもたちの自由を奪われたり・・・だから怒りを向ける先がわからず犯罪に手を染めることだって・・・」


ミラーはそう言い残すと部屋を出て、車で帰っていった。


それを複雑な表示で見つめるジェンキンス。


すると、新聞記者の女性が歩いてきた。


「すみません、刑事さん!」


「どうかされましたか?」


「私、記者のメアリー・スミスと言いますが・・・」


「あなたですか。警部から話は聞いています。やっぱり美人ですね!」


「いや、そんなこと・・・ところで、今回の事件は・・・」


「ええ、我々も信じられません・・・まさか少女の犯行とは・・・」


「そうですよね・・・でも、なぜマフィアを・・・?」


「それはまだ我々もわかりません・・・相手が少女となるとどう対処するのかも・・・」


「ファルコンマンは動いてくれるのかしら・・・」


「さあ・・・彼にも難しい問題でしょうね・・・暴力を振るえる相手ではないですから・・・」


「彼も打つ手無し・・・か・・・ありがとうございました。わざわざ取材に付き合っていただいて・・・」


「いえ。いつでもどうぞ。」


ジェンキンスがそう言うと、メアリーは車に乗り、走り出して行った。


その夜。あるバーでは、ファウスティン・ファミリーの構成員たちが集まっていた。


酒を飲む者、ポーカーをする者。様々だ。


「おい!聞いたか?ミハイルを殺した奴、ガキなんだってよ~」


「おお、ロリコンの金持ちにはたまらねえな。」


「全く、ガキにあんな大男を殺せるわけねぇだろ?」


構成員たちが会話をしていると、バーのドアが開いた。


客は、あの少女だった。


マスターは彼女に話しかける。


「なあ、お譲ちゃん。君、いくつだ?」


「9歳。」


「悪いが、ここは子どもが来るとこじゃねぇんだ。すまねぇな。家はどこだ?おじちゃんが送ってやろう。」


「いいよ。別に。」


「えっ?まさか家出でもしたのか・・・?」


「ううん。家なんてないよ。遊びたいだけ・・・」


「おっ、おい!」


マスターが止めようとするが、少女はマフィアたちのもとへ向かった。


「こんばんは。お兄さんたち。」


「何だ?お前。」


「可愛いな。名前は?」


「アリス。」


「おお、アリスちゃんか~ 何しに来たんだ?」


「遊びに来たの!」


「何して遊びたい?」


「コレで遊びたいの・・・」


アリスはそう言いながら。大きなカバンから、サブマシンガンを取り出した。


「このガキ!例の奴だ!てめぇら気をつけろ!」


構成員たちは皆、席から立ち上がると、彼女に銃を向けた。


アリスはサブマシンガンを彼らに向け、引き金を引いた。


次々と連射される凶弾に倒れる構成員たち。反撃の隙を与えなかった。


「お兄さんたち、面白~い!アリス嬉しいよ!」


アリスは撃ち終わると、はしゃいでバーを出ようとした。


そのとき。


「待ちな!」


アリスが振り向くと、ショットガンを構えたマスターが。


「できれば、撃ちたくねぇんだ・・・警察は呼んだ。さあ、おとなしくその銃を捨てて・・・」


マスターが言いかけると、足を撃ちぬかれた。


倒れるマスター。


「このガキ・・・」


「ふふふふふ・・・おじさんって面白くないね~ アリスがっかりしちゃった。」


アリスはそう言い残すと、バーを出たが、周囲は警察に囲まれていた。


「さあ、おとなしく銃を捨てなさい!」


「ああ、お巡りさんが一番つまらないわ・・・これあげる!」


アリスは手榴弾を投げた。


爆発、炎上するパトカー。


アリスはその隙に逃亡した。


裏路地を通るアリス。


サブマシンガンを抱えて走っていると、ある人物が立ちふさがった。


ロドリゲス警部だ。


「お譲ちゃん、そんな危ない物捨てなさい。おじさんは何もしないから。さあ、武器を捨てて・・・」


彼が言うと、アリスは銃を捨てた。


「よし、いい子だ。」


アリスはロドリゲス警部に手を挙げたまま近づく。


「おじさん・・・」

アリスはロドリゲス警部に抱きついた。


そのときだ。


ロドリゲス警部の腹にはナイフが突き刺さり、血が滴り落ちていた・・・


「なぜ・・・ナイフを・・・」


「やっぱり刑事さんはつまんないわ~ もっと楽しまないと・・・」


アリスはロドリゲス警部に抱きついて言った。


「でも、いいわ。許してあげるね!」


アリスはロドリゲス警部にキスをする。


バタリと倒れ込むロドリゲス警部。


アリスは警部の腹からナイフを抜くと、サブマシンガンを拾い、歩き出した。


そんなとき、空から羽が降ってきた。


それを拾うアリス。


それと同時に気配を感じ、サブマシンガンを発砲。


降りてきたのはファルコンマンだった。


「警部に手を出すなっ!」


ファルコンマンは、ペン型の手裏剣をアリスに投げた。


頬に傷をつくるアリス。


それを見たロドリゲス警部が力ない声で叫ぶ。


「やめろ・・・ファルコンマン・・・!その子は・・・」


「警部、声を出すな・・・仲間には連絡しておいた・・・」


ファルコンマンはロドリゲス警部の傷口を押さえる。


それを見たアリスがあざ笑うように言った。


「せっかく楽しいとこだったのに・・・邪魔しないでよね。あんたには用ないんだから・・・」


「黙れ!おとなしく投降しろ。」


「つまんないの・・・」


アリスは逃げ出した。


そこへ、ミラーとジェンキンスが。


「警部!」


ロドリゲス警部に駆け寄るミラー。


「何てことだ・・・全て僕のせいだ・・・」


「ティム、自分を責めている場合じゃないわ。警部を安全な病院に連れて行かないと・・・ファルコンマン、あなたは?」


「俺は奴を追う。警部を頼んだぞ・・・」


「わかったわ・・・」


ジェンキンスは答えた。


ファルコンマンはジェットポーターを呼び出し、それに乗りこんで走り去った。


数分後の病院にて。


重体のロドリゲス刑事の傍で、ロドリゲス夫人が泣いていた。


「どうして・・・どうしてあなたがこんな目に・・・」


ミラーとジェンキンスは黙って見ていることしかできなかった・・・




NEXT STORY・・・EPISODE06 「混沌の国のアリス」連続殺人鬼アリスによって、ロドリゲス警部は重体に。ファルコンマンとミラー、ジェンキンスは行方を追う。しかし、サーシャの調査によって、アリスの悲しい過去が明らかに・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ