EPISODE04 極大射程
深夜。ドレイクシティはまた大雨だ。
最近、大雨の日が続いている。
そう、何か不吉なことが起こる予兆のように・・・
1台のトラック走っていた。
トラックを走らせているのはロック音楽を聴いている若者だ。
「クソッ、雨で見え辛いぜ・・・」
ワイパーを使ってはいるものの、次々と降ってくる雨には勝てない。
若者が愚痴を言いつつ、走らせていると、タイヤが何者かに狙撃された。
「何だ!?誰が撃った?」
彼はスピードを上げ、逃げようとするが、バランスを崩して木に衝突。
なんとか生き延びたが、若者は頭を撃ち抜かれた。
トラックの荷台からは、産業廃棄物が・・・
この事件はニュースで取り上げられた。
「昨夜、ドレイクシティ南西で、トラックを運転していたクリス・ロバートソンさんが何者かに射殺されました。トラックには産業廃棄物が積まれていて、警察は企業に恨みを持つ者が犯行したとみて、行方を追っています・・・」
モニタールームでこのニュースを見ていたサーシャ・ケンジントンは、携帯電話でトビアスに連絡した。
「トビアス、今のニュース観た?」
「ああ、観たよ。何かわかったのか?」
「ええ、犯人は・・・」
30分前にさかのぼる。
サーシャはこの情報について、FBIのネットワークに不正アクセスし、調査していた。
ハッカーはサーシャの他に何人かいて、適当に探していると見覚えのある名前を見つけた。
「ケイン・W・フォックス・・・?」
(彼は4年前に不正アクセスで追放された・・・まさか、本人なの?)
サーシャは彼に送った。
「ハロー。」
「ミセス・ケンジントン。久しいな。」
返事が返ってきた。
「やはり、あなたなのね・・・今回の事件について何か知ってる?」
「ああ、全て知ってるよ。犯人のコードネームはGX563。犯行に使用した銃はH&K SL8。奴の次の標的はロドリゲス警部だ。彼は明日、休暇でドレイクを出る。空港から離れた森で狙撃を行う。」
「なぜ、森なの?」
「狙撃に最もベストな場所だからだ。影に隠れることができるうえ、無人だからな。」
「よくそんなに細かく知ってるわね・・・」
「まあな・・・私の命はそう長く持たん・・・今までのハッキング行為を正義の為に使おうと思ってな。君の友達に伝えておいてくれ。「しくじるなよ・・・」と。」
彼の発言び驚いたサーシャ。
(知ってたのね・・・さすが勘の鋭い男・・・)
時間は現在に戻る。
「トビアス、奴は空港から離れた森で、ロドリゲス警部を狙撃するつもりよ。」
「かなり細かいな・・・わかった。その森に行けばいいんだな?」
「ええ、しくじらないでよ。」
「当然だ。」
「じゃ、おやすみ。」
サーシャは電話を切ると、久しぶりの眠りについた。
翌朝。GX563は森の影に潜み、ロドリゲス警部を待っていた。
タクシーが着くと、ロドリゲス警部と家族が降りてきた。
スコープを覗き、ロドリゲス警部の頭に照準を合わせる。
「警部さん、あばよ・・・」
と言いながら、引き金を引こうとした次の瞬間。
突然スコープが真っ黒に。
見上げた先にはファルコンマンが。
GX536は殴りかかるが、ファルコンマンは避けると、銃を奪い地面に組み伏せた。
「遊びは終わりだ。おとなしく投降しろ!」
「仕方ない・・・だが俺が撃てなかったとしても、まだ終わってないぜ?数秒後には警部は死んでるよ。」
「彼は死なない。」
その頃、ロドリゲス警部は家族と共に飛行機を待っていた。
するとそこに、帽子を目深に被った不審な男が近づいてくる。
男は357マグナムの銃をコートから覗かせる。それに反応するように、ロドリゲス警部はショルダーホルスターから愛用のSIG P226を引き抜き、発砲。
弾は足に命中し、男は倒れた。
ロドリゲス警部は帽子を落とした男の素顔を見て驚愕した。
「この男!?」
男は麻薬捜査官だった。名前は、レイモンド・バーンズ。
「おい!バーンズ。なぜ私を狙った!?」
「あんたが目障りだったからだよ・・・」
彼がそう言うと、ロドリゲス警部はバーンズを殴り飛ばした。
そして携帯電話で連絡する。
「ミラー、馬鹿野郎のバーンズを拘束した。すぐに来てくれ。」
「バーンズ捜査官が!?わかりました。すぐに向かいます。」
「頼んだぞ。」
ロドリゲス警部が電話を切ると、電話が。
「もしもし?」
「俺だ。殺し屋を拘束した。」
「殺し屋?」
「今、あんたが拘束してる奴に雇われた男だ。」
「わかった。そっちにも向かわせる。」
ロドリゲス警部は電話を切った。
数分後。これを聞いたマスコミがやってきて、インタビューにロドリゲス警部は答えた。
「今から休暇だ。悲惨な話は家族の前で話したくないのでね。失礼。」
マスコミはさらに追求しようとするが、ロドリゲス警部は無視して、家族と共に去っていった。
その夜。ノーラン邸では今回の事件解決のニュースを見ながら、電話でサーシャと話すトビアスが。
「それにしてもかなり正確な情報だったな・・・。」
「まあね。友達はこういうときに持ってよかったと思うものよ。」
「ネット友達?」
「うるさいわね!あなた。まあ、警部も無事だったし、解決してよかったわ。」
「そうだな。ところでその友達ってどんな奴なんだ?」
「そうね・・・私と同じ過去を持つハッカーってとこかな?」
「FBIをクビになったけど、今はハッキング能力を世間の為に使ってるってこと?」
「まあ、当たりね。」
サーシャはそう言って、モニターを見るとメッセージが。
「ケンジントン、また会おう。」
フォックスからだ。
サーシャは、
「楽しみだわ。」
と返信して、微笑みを浮かべ、モニタールームを出て行くのだった。
NEXT STORY・・・EPISODE05「残虐な天使」ロシアの新興マフィア「ファウスティン・ファミリー」の構成員が次々と殺害される事件が多発していた。目撃証言では、犯人は小さな少女。やがて、その牙は市民へと向けられ、街は恐怖に包まれる。この狂った街では無垢な少女でさえも悪に染まるのか・・・