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EPISODE14 血のバレンタイン

ドレイクシティ中心街を歩くメアリー。


「寒いわ... 早く帰らないと...」


仕事を終え、帰路についているときだった。


誰かにつけられている気がする。


「やだ... また...?」


メアリーは速足でアパートへ向かった。


心臓の鼓動が鳴る。


なんとか自分の部屋までたどり着くと、コートを脱ぎ、バスルームへ向かった。


カッターシャツとスカート、下着を脱ぎ、シャワーを浴びる。


彼女はシャワーを浴びながら考えるのであった。


(いったい誰が... 私を狙ってるの...?)


バスルームを出て、バスローブを羽織ると、メアリーはテレビの電源を入れた。


ニュース映像だ。


「今日未明、イーストアベニューに住むローラ・シンプソンさんが遺体で発見されました。警察によりますと、被害者は刃物で切り裂かれ、心臓を抜き取られており、数日前から噂されている連続殺人鬼リーパーの仕業によるものとして、捜査を続けている模様です。」


メアリーは思った。


「まさか... 私...」


恐怖に駆られ、テレビを消し、ベッドに潜り込んだ。


翌日、警察本部ではロドリゲス警部たちが今回起きた連続殺人鬼を整理していた。


「最初に殺害されたのが、ヘレナ・ワインスタインさん、28歳。刃物で身体を切りつけられ、心臓を抜き取られていた。2人目のミシェル・モーガンさん、25歳、3人目のローラ・シンプソンさん、27歳も同様の手口で。被害者は全員共通して、ブロンドの白人。犯人は彼女らに何らかの恨みがあるのか、はたまた彼女らを殺害することにより快楽を感じているのか...」


ロドリゲス警部が説明をしていると、一人拍手をしている男が。


「ふむふむ、なかなか上手いまとめ方だ、ロドリゲス警部。」


男はメガネをかけ、ハンサムな容貌をしている。


ロドリゲス警部はその男に目を向けて言った。


「あなたには負けますが...ね。 オーウェン警視。」


「おや、君らしくないですね。ロドリゲス警部? 」


「そうですか...? まあ、とりあえず話を戻しましょう。犯人は鉄仮面で顔を隠し、マントを羽織っている。そのため素顔を見た目撃者はゼロ...と。」


「鉄仮面... マント... ロドリゲス警部、犯人はファルコンマンでは?」


「何を言うんですか!? ファルコンマンは幾多の事件に協力してくれた我々の...」


「救世主... とでも言いたいのかね?」


オーウェン警視は鋭い目つきで問いかけた。


「甘いですね、ロドリゲス警部。グリーンベレーのエリートだとは聞いていたが... あんな犯罪者に肩入れするとは... 呆れたものです。犯人はファルコンマンでしょう。」


「そんなまさか彼が殺人なんて...」


「そのまさかですよ。ロドリゲス警部。あの男は法を無視して犯罪を抑止していました。主に強盗、殺人、組織犯罪。殺害された被害者たちは皆、少女売春に関わっていた人物です。」


「待ってください!いくら犯罪者だからといってファルコンマンが殺人なんて...」


ミラーが意見した。


「さすがミラー刑事。かなりの熱血漢だ。だが、熱くなり過ぎは禁物ですよ。ファルコンマンが殺人をしないとは限りません。市警のレポートによると、テロリストのラフィングマンを殺したとか...」


「あれは自殺だ...」


ミラー刑事は必死にファルコンマンを正当化しようと試みる。


「まあ、とにかく、ファルコンマンは犯人と考えられます。鉄仮面とマント、こんな奇抜な格好を好むのは彼だけだ。

普通の犯罪者ならわざわざそんな格好はしない。どうですか?ロドリゲス警部。彼を信頼できなくなるのも時間の問題ですよ。所詮、彼はクライムファイター。我々の敵でもあることも忘れてはいけません。では失礼します。」


オーウェン警視は退室した。


珍しく冷静さを欠いた表情をするロドリゲス警部。


「今日はここで終わろう...」


それぞれ退室していく刑事たち。


ミラーはそんな彼を見てジェンキンスに言った。


「なあ、アマンダ。ロドリゲス警部が論破されたなんて... 何なんだあのイヤミか警視は...」


「あなた、彼を侮らないほうがいいわよ。彼は16歳でハーバード大学を首席で卒業後、24歳にしてグリーンベレーでロドリゲス警部の上司になり、そのままニューヨーク市警で「白い狼」と呼ばれる名刑事に。そして警視まで一気に昇格。ドレイク市警内で絶えない汚職事件に業を煮やし、自ら志願してここに来たってわけ。」


「グリーンベレーでロドリゲス警部の上司だと... あの若さで...」


「ええ、ロドリゲス警部も頭が上がらない存在よ。」


「そうだったのか... でもあの男に先手を取られるのは何としてでも... ファルコンマンが犯人ではないことを証明しないと...」


「今回ばかりは無理かもね。彼の眼を見たでしょ。あの鋭い眼。全てを見透かしたような... ファルコンマンの正体を見破っているかもしれない...」


「ロドリゲス警部しか知らないファルコンマンの正体...か。」


ミラーは恐怖と不安に駆られた。


一方、デスクに戻ったロドリゲス警部はオーウェン警視の存在を忘れるためかの如く、黙々と仕事を続けていた。


しかし、忘れることなどはできない。


(やはり、ファルコンマンは我々の敵なのか...)


そんなことを考えていると、ロドリゲス警部の電話が鳴った。


「もしもし...?」


「ロドリゲス警部ですか? メアリー・スミスですが...」


「おや、あなたは... 新聞記者の...」


「実は最近、ストーカーにつきまとわれていて...」


「ストーカー... ですか... わかりました。今夜の8時、自宅にお伺いします。よろしいですか?」


「ええ、大丈夫です。」


「では...」


ロドリゲス警部は電話を切ると、妙な感覚がした。


(まさか...あの殺人鬼が彼女を...)


ロドリゲス警部は不安に駆られつつも、時間が経つのを待つのであった...











NEXT EPISODE...EPISODE15 疾走する疑惑 姿の見えない連続殺人鬼、リーパー。鉄仮面とマスクからオーウェン警視はファルコンマンが犯人ではと睨む。ファルコンマンを信じるロドリゲス警部は、彼が犯人ではないことを証明しようと試みるが、オーウェン警視は予想外の行動に出るのだった...

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